スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

「神谷? どうしたんだ、こんなところに来て」
「……神山くんこそ。どうしてここに?」
「俺? 俺はぁ、なんか今日呼ばれた気がして」
「へ?」

 間抜けな顔しているであろう僕に突っ込むこともせず、神山は比較的真面目な顔で「この前の狐と狸が気になったんだよね」と言う。

「……それは、僕も同じだよ」
「何の会話もしてないのに同じ日に確認しに来るって。俺たち意外とシンパシー感じ合うタイプ?」
「は、はは……」

 タイプの違う神山とシンパシー感じても……な僕は愛想笑いで誤魔化す。

「なー。やっぱりこの狐と狸って、お化け……なのかな」
「……生きてる動物じゃないよね。山奥とかじゃなくて、どうして学校にいるのかも不思議」
「……なー神谷。新聞の記事にはしないからさ。俺と2人で真相確かめてみない?」

 神山から突然そんな事を言われる。目をぱちぱちさせ、僕は即答で「お断りします」と返す。

「な、なんだよ。いいじゃんかよ。お前だって、この2匹が気になってこの場所に来たんだろ?」
「それはそうだけど……神山くんとやるメリットは、僕には無いかなって……思ったんだよ。神山くんだって、僕といたところでつまらないでしょ」
「なんで?」
「え?」
「なんで? 俺たちそんなに会話すらしたことなくない? つまらないと思うにはまだ早いと思うんだけど」

 ……この言葉を、平気で真顔で言う神山は、まさに正統派な明るい人なのだろう。僕にはそれがとても眩しくて、そして火傷してしまいそうだ。

「7月になったのにまだよくわからないクラスメイトって神谷だけなんだよね。狐と狸に興味もあるけどそれは口実でもあって。俺はシンプルに、神谷と仲良くなってみたいんだよね」

 神山の考えていることがわからない。
 こんな陰キャな僕のこと、放っておいてくれたらいいのに。

「……僕は、そこまで神山くんとシンパシーは感じないので……」
「なぁ、今度から神山のこと(えん)って読んでもいい?」

 縁。えん。
 僕の下の名前。あまり好きじゃない。
 だから突然のことに慄いて「はぁっ⁉︎」なんて素っ頓狂な声が出る。

「あ、俺のことは慧護(けいご)でいいよ」
「な、なに……これが陽キャの距離感の縮め方ってやつ……こ、こわい……」
「誰も俺を慧護って呼ばねーよ。大体〝ミヤマ〟なのは知ってるだろ?」

 〝かみや〟と〝かみやま〟

 名前が被るから神山はミヤマと呼ばれている。知ってはいるけれど。

「真相を確かめるのは……縁の気が向いた時にでもいいよ。だから今日は俺帰るわ。じゃ!」

 神山──慧護は、あっさりと背を向けいなくなっていく。僕は名前呼び名許可してないのだけれど⁉︎

「陽キャってほんと、何考えてるかわからないな……」

 そう呟くも、狐と狸は気にもせず眠り続けていた。