スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

 狐と狸は首にチリンと鳴る鈴の首輪を付けながら、学校以外にも鈴鳴が眠っている墓がある海辺を散歩出来るようになった。

 体に憑依させてくれた生徒2人は仲良いはずなのに離れ離れになろうとしていたから『エイヤッ』と不思議な現象を起こして一緒に帰らせた。

『狐くん、道に穴あけちゃうのはどうなんでしょう。エン、という子足怪我しちゃいましたよ』

 狸は狐に話しかける。

『悪いとは思ってる……けど、ここまで我々を届けにきてくれた2人が変な意地っ張りで絶縁してしまうのは違うと思って……』
『それは狸も同意です』

 エンを背負って歩いていくケイゴを、2匹は見つめていく。

 2人は2匹の姿がもう見えないようだった。

 そして、2匹も鈴鳴を見つけることは出来なかった。あのまま魂ごと消滅してしまったのだろうか。

 しかし鈴が残っている。願っていた通り、首輪になった。

『あの2人は仲直り出来るでしょうか、狐くん』
『フン……次見かけた時は、今までよりも親密になっているんじゃないか?』

 まだよくわからないように『はて?』と首を傾げる狸に、狐は『我々も眠ろう』と体育館裏に向かう。

 あのエンとケイゴが卒業するまでは、見守っていようと思う。
 そのあと、狐と狸も鈴鳴が眠る墓に戻る予定だ。





 *





「いない……な」
「もう見かけなくなっちゃったね」

 草木をそっと分けられる音に目を覚ます。巣穴を覗き込んでるエンとケイゴがいた。しかし狐と狸の姿は見えないようだった。

「新聞部と写真部の初めての記事が、誰にも見せることなく終わるなんて前代未聞だよ」
「公開は出来なくても、見せる相手は決まってるから……そこにいると信じて。俺たち、仲良かった2匹と1人がこの学校に存在していた記事を書いたんだ」

 ケイゴがA4サイズの紙をこちらに見せる。狐と狸の姿は見えないのに、角度も完璧だった。

 小さな紙だったが、内容は十分だった。

 見出し。
『学校の七不思議⁉︎ 棲みついた動物2匹と友人になった生徒』

 本文は、鈴鳴と狐たちの物語だった。怪異だった鈴鳴が2人の首を噛んだことで過去の回想が共有された……その話。
 写真はエンが撮ったものが載っている。

「世の中や学校は忘れてしまったかもしれないけど、僕たちは記憶に残し続けるから」
「あぁ、あと……縁を穴に落としたのもお前らの仕業だろ? 大胆っていうかなんか……まあ、でもすれ違ったままにならずに済んだよ、ありがとう」

 ケイゴが、エンの手を握った。

『狐くん、見てください。2人の関係何か違いますよ!』

 フンフンと興奮しながらこちらを見る狸に『やはりな』と返す。

『やはりってなんですか? 狐くん、気付いてたんですか?』

 狸はまだわからないようだった。

『この記事、鈴鳴にも見せてやろう』
『狸も同意です』

 2匹が念を込めれば突風が吹き記事は空に舞い上がる。見上げる生徒2人の前で青白い炎で焼かれ消えてなくなった。

「……不思議な現象だね」
「きっと、見てくれたんだろうな」
「……帰ろう、慧護くん」

 2人手を繋いで帰る後ろ姿を、狐と狸は見つめる。





【スクープ!】
《学校に棲みつく2匹と、姿を消した生徒の行方》完