スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

『仲良くなりたい……友達になりたい、という欲望は悪いことではないと思う』

 縁に諭され、なら俺のモヤモヤした気持ちは何なのだろう。

 死体探しも、家まで訪ねたのも、縁のやりたい行動であって俺は着いてきただけだ。

 縁は俺に感謝しているようだけど……俺はそこまで鈴鳴を助けようとは思っていない。

 友達として……友達として?

 縁に付き合っていた……のか。

 自分自身でもよくわからない。

 カメラを構えてシャッターを切る姿。
『記事を破っていない』と必死に見上げてくる顔。
 怖くても怪異の姿をカメラで撮ろうとしたり、死体を見つけ出そうとしたり。

 俺は縁に惹かれて、ついていってしまう。

 ……それは、友人として?

 縁が他の人と仲良くなることは想像出来なかった。嫌だ、と思った。

 縁が仲良いのは俺だけでいい。
 そのために孤立させて、田沼からの犯人扱いに便乗する。

 ──これは本当に友情なのか。

 考えて、違うと気づく。

 綺麗な感情じゃない。

 醜い独占欲だ。

 縁を誰にも渡したくない。
 その笑顔は俺だけのもの。

『悪い子だーれだ』

 怪異は……鈴鳴は、気付いていたんだ。

 俺が縁を独り占めしようとしていることに。俺自身でさえ今気づいたのに。

(こんな感情、縁にはないだろうな)

 俺の友人になれたことを嬉しく思ってはくれているけれど。
 この独占欲を曝け出したら。怖がってしまうだろう。だから。

 別れを告げて、先に駅に戻る。走ってくる気配がしたから俺も走って逃げる。

 ──途端。

「う、わあああああ⁉︎」

 縁の悲鳴が聞こえ思わず振り返る。しかし彼の姿は見えない。辺りをキョロキョロしていればチリン、と鈴の音が聞こえた。それから目の前には狐と狸。

 着いてこい、と目線で訴えられているようで2匹が歩く方向へ着いていくと……何故か突然出来た穴に落ちた縁がいた。

「……何してんだよ」

 ため息を吐きながら手を差し出せば縁は「ごめん」と言いながら掴んで素直に引っ張り上げられる。

 地面に這い上がった縁は立ちあがろうとした時に「いたっ」と声を上げ……右足首を捻ってしまったようだった。

「やっちゃった……ほんと、ドジだよなあ……」
「……。ほら、乗れよ」

 縁の前に背を向け屈み込み、背負う準備をする。縁と触れ合うのは、今度こそこれが最後。そう心に決めて。

「……でも、慧護くん。もう僕とは関わらないって」
「その足で1人で帰れるのかよ」
「……し、失礼します……」

 一学期よりも、気まずい時間。
 それでも縁は、俺を頼って背中に凭れ掛かる。体を起こして背負い駅までの道を歩いていく。

「重いよね、ごめんね」
「別に、平気」
「……迷惑かけて、ごめんね」

 穴が空いたから。足を怪我したから。仕方がないことだ。縁は申し訳なさそうに体を縮こませて、体も強張っているようだった。

 あんな言い方して別れようとしたから、突然か。縁は多分俺が嫌いになったと勘違いしている。

 違うのに。正反対なのに。
 でもその気持ちを、俺は勇気を持って伝えることは出来ない。