ただ真実を話すには信憑性が無いので生徒が死んでしまった〝証拠〟を見つけ出そうと2人で話した。
「記事になった家族の苗字は鈴鳴さんか……だから、僕たちの手元に残ったのは鈴だったのかな」
怪異は消滅し、代わりに鈴が残った。
あれから狐と狸の姿も見かけない。
「そういえば異空間に閉じ込められた時の写真ってどうなった?」
慧護がふと思い出したように言う。
「他の人にはどう見えるかわからないけど……あの時のまま、変わってないよ」
血みどろの校舎。
腸の中のような廊下。
怪異に取り込まれた生徒。
「怪異の写真は田沼たちは中にいる人間たちは見えなかったみたい……だから他の人にもしっかり怪異として写っているのかも」
「……でもこれが自分の子供だと見せつけられて納得する親いるかな」
「……鈴鳴くんだという証拠もないし」
探偵でもない僕たちはすぐに行き詰まる。かんかん照りの屋上は長時間滞在は厳しいので校内に戻り今後の対策を練っていく。
「……体育館裏に、鈴鳴くんは埋められた……もう肉体はなくても、骨や当時来たままの制服とか……残ったりしてないかな」
「……縁。掘り起こすのか」
慧護が真面目な顔で僕を見つめる。
「僕たちが出来るのは、残された家族に鈴鳴くんの最期と……鈴鳴くんを家族の元へ返してあげる事しかないと思う」
「……。わかった。シャベルを持ってくるよ」
死体を掘り起こすなんて。
人生で一度もそんなことはしないと思っていた。まさか高校2年生で刑事でもない僕たちがそれらしいことをするとは。
倉庫からシャベルを持ってきてくれる慧護を待ちながら、体育館裏に向かう。
(夢で見た回想通りなら、殺されてしまった鈴鳴くんはここに眠っているはず……)
探すのは見つけるものではない。発見されました、と言葉にされるものだ。
どんな姿になっているかなんて、ただ17年のうのうと生きていた僕には想像もつかない。
それでも、やるしかない。
鈴鳴の存在に気付いているのは僕たちしかいないのだから。
「縁、持ってきたよ」
慧護がシャベルを1本こちらに渡す。
「ありがとう」
「……本当にやるんだな?」
目を閉じて、深呼吸をして。頷く。
「……もし、発見して僕がパニックになった時は……よろしく」
「……任せろ」
死体を掘るというのにこの場には似つかわしくない穏やかな笑みを浮かべてから、慧護は先に前に出てシャベルをザクッと土を掘り起こしていく。
「……よし」
僕も腕まくりをしてシャベルを手にし、穴を掘っていく。
*
午前から午後に変わる頃、僕たちは骨と制服、眼鏡、靴を発見した。
僕が呆然と立ち尽くしている間に慧護は鈴鳴以外の気になるものを見つけてさらに深く掘り返していく。
慧護がふと動きを止めると、僕を振り返って名前を呼ぶ。
「……縁」
「……なに?」
何も言わなかった。それでも、慧護の目が語っている。
穴に近づいて覗き込む。
人間の骨ではない形のものが2つほどある。
狐と狸も、同じ穴に埋められたのだ。
証拠隠滅のために、不良たちが全てをここに隠した。
生憎その不良たちは怪異になった鈴鳴に食われて行方不明のままだ。
(ずっと、最期まで一緒だったんだ)
怪異になっても、守護神になっても。
どちらもお互いのことを考えての行動だった。
もう今更。僕は鈴鳴を責めようとは思わない。彼は僕たちを元の場所に戻してくれた。肝試しに来た生徒たちも元の場所に戻してくれた。
「縁。写真、頼めるか」
頷いてシャッターを切る。
写真を確認しても心霊現象が起こることはなく、ただ動物2匹と人間の骨や制服が映っているだけだった。
「……やっと、現実が撮れたんだ」
「通報、しよう。今更かもしれないけど。ちゃんと事件があったって知ってもらおう」
慧護の言葉にもう一度頷く。
警察が来て僕たちは長時間事情聴取をされることになる。
第一発見者なため僕たちが怪しまれそうにもなったが、骨の感じからして何十年も前のものだと判明された。
付き添ってくれた若い教師に鈴鳴の名前を出してもピンと来ていなかったが、一緒にいた年配の教師は「どうして君たちが過去の生徒の名前を?」と目を丸くしていた。
当時はまだ教師ではなかったが、生徒が複数名行方不明になったことは地元では有名で「神隠しにでもあったんじゃないかと言われていたんだ」と返ってくる。
「神隠しなら、よかったんだけど……」
現実は、とても醜くて残酷だ。
鈴鳴の遺体は見つけても不良たちは行方不明のままこの事件は終わった。
夢で見た回想を伝えてもやはり伝わらなかったからだ。
鈴鳴の遺体は家族の元へ帰って、不良たちは永遠に闇の中なのなら。
僕は鈴鳴はよく成敗したなと、思う。
「記事になった家族の苗字は鈴鳴さんか……だから、僕たちの手元に残ったのは鈴だったのかな」
怪異は消滅し、代わりに鈴が残った。
あれから狐と狸の姿も見かけない。
「そういえば異空間に閉じ込められた時の写真ってどうなった?」
慧護がふと思い出したように言う。
「他の人にはどう見えるかわからないけど……あの時のまま、変わってないよ」
血みどろの校舎。
腸の中のような廊下。
怪異に取り込まれた生徒。
「怪異の写真は田沼たちは中にいる人間たちは見えなかったみたい……だから他の人にもしっかり怪異として写っているのかも」
「……でもこれが自分の子供だと見せつけられて納得する親いるかな」
「……鈴鳴くんだという証拠もないし」
探偵でもない僕たちはすぐに行き詰まる。かんかん照りの屋上は長時間滞在は厳しいので校内に戻り今後の対策を練っていく。
「……体育館裏に、鈴鳴くんは埋められた……もう肉体はなくても、骨や当時来たままの制服とか……残ったりしてないかな」
「……縁。掘り起こすのか」
慧護が真面目な顔で僕を見つめる。
「僕たちが出来るのは、残された家族に鈴鳴くんの最期と……鈴鳴くんを家族の元へ返してあげる事しかないと思う」
「……。わかった。シャベルを持ってくるよ」
死体を掘り起こすなんて。
人生で一度もそんなことはしないと思っていた。まさか高校2年生で刑事でもない僕たちがそれらしいことをするとは。
倉庫からシャベルを持ってきてくれる慧護を待ちながら、体育館裏に向かう。
(夢で見た回想通りなら、殺されてしまった鈴鳴くんはここに眠っているはず……)
探すのは見つけるものではない。発見されました、と言葉にされるものだ。
どんな姿になっているかなんて、ただ17年のうのうと生きていた僕には想像もつかない。
それでも、やるしかない。
鈴鳴の存在に気付いているのは僕たちしかいないのだから。
「縁、持ってきたよ」
慧護がシャベルを1本こちらに渡す。
「ありがとう」
「……本当にやるんだな?」
目を閉じて、深呼吸をして。頷く。
「……もし、発見して僕がパニックになった時は……よろしく」
「……任せろ」
死体を掘るというのにこの場には似つかわしくない穏やかな笑みを浮かべてから、慧護は先に前に出てシャベルをザクッと土を掘り起こしていく。
「……よし」
僕も腕まくりをしてシャベルを手にし、穴を掘っていく。
*
午前から午後に変わる頃、僕たちは骨と制服、眼鏡、靴を発見した。
僕が呆然と立ち尽くしている間に慧護は鈴鳴以外の気になるものを見つけてさらに深く掘り返していく。
慧護がふと動きを止めると、僕を振り返って名前を呼ぶ。
「……縁」
「……なに?」
何も言わなかった。それでも、慧護の目が語っている。
穴に近づいて覗き込む。
人間の骨ではない形のものが2つほどある。
狐と狸も、同じ穴に埋められたのだ。
証拠隠滅のために、不良たちが全てをここに隠した。
生憎その不良たちは怪異になった鈴鳴に食われて行方不明のままだ。
(ずっと、最期まで一緒だったんだ)
怪異になっても、守護神になっても。
どちらもお互いのことを考えての行動だった。
もう今更。僕は鈴鳴を責めようとは思わない。彼は僕たちを元の場所に戻してくれた。肝試しに来た生徒たちも元の場所に戻してくれた。
「縁。写真、頼めるか」
頷いてシャッターを切る。
写真を確認しても心霊現象が起こることはなく、ただ動物2匹と人間の骨や制服が映っているだけだった。
「……やっと、現実が撮れたんだ」
「通報、しよう。今更かもしれないけど。ちゃんと事件があったって知ってもらおう」
慧護の言葉にもう一度頷く。
警察が来て僕たちは長時間事情聴取をされることになる。
第一発見者なため僕たちが怪しまれそうにもなったが、骨の感じからして何十年も前のものだと判明された。
付き添ってくれた若い教師に鈴鳴の名前を出してもピンと来ていなかったが、一緒にいた年配の教師は「どうして君たちが過去の生徒の名前を?」と目を丸くしていた。
当時はまだ教師ではなかったが、生徒が複数名行方不明になったことは地元では有名で「神隠しにでもあったんじゃないかと言われていたんだ」と返ってくる。
「神隠しなら、よかったんだけど……」
現実は、とても醜くて残酷だ。
鈴鳴の遺体は見つけても不良たちは行方不明のままこの事件は終わった。
夢で見た回想を伝えてもやはり伝わらなかったからだ。
鈴鳴の遺体は家族の元へ帰って、不良たちは永遠に闇の中なのなら。
僕は鈴鳴はよく成敗したなと、思う。
