肝試しは夏休み序盤だった。警察騒動があったものの、残りの休みは普通に過ごしている。
僕と慧護は現実世界に戻って来たあと、今更だけれど連絡先をやっと交換して数日後に学校で待ち合わせる。
狐と狸、それから怪異のその後が気になったからだった。
まず調べるのは図書室の隠し通路。普段は鍵がかかっているが事前に教師に一言伝えれば鍵を渡してくれた。
月の光がなければ真っ暗闇だった図書室は、今は電気をつけなくても明るい。
2人きりの静かな空間。暗闇の時とはまた少し違う胸のドキドキを感じながら隠し通路があった本棚まで歩いていく。
……しかし。
「狐と狸の資料はあるけど、特別重くも無いし、中に石も無いし……」
「というか、この本棚自力で動かせるし……奥の扉には……本が、沢山あるだけ……」
何かトリックを使って開かれるわけでもない。しばらく通路を歩いたはずなのに、扉の向こうはすぐ小さな部屋で本が沢山あるだけだった。
「……僕たちが目にしたのは、やっぱり異空間の学校だったのかな」
「かもな。屋上行ってみるか」
慧護の言葉に頷きついていく。予め行きたいところを教師に伝えて鍵をもらっていてよかった。
警察騒動に巻き込まれた生徒2人だったこともあり「調べたいことがある」と言えば鍵を貸してくれたのだ。
ガチャ、と扉を開け屋上に出る。
真夏の屋上。地面は太陽に照らされて寝転んだら火傷してしまいそうだ。
石を置く時は謎に窪みがあった部分は今はない。不思議だものだな……それが怪異現象というものか……と思っていれば、慧護はふらふらとフェンスの方へ行き、真下の地面を見つめる。
「……あの怪異……人間だった生徒は、不良に突き落とされた」
「……うん」
僕たちが何故知っているのか。
慧護と僕が纏めて首を噛まれ気を失った時に見た夢だったから。
虐められていた生徒は学校に棲みついた狐と狸と友達になった。2匹は不良に目をつけられ命を落とし、復讐しようとした生徒は願い叶わず屋上から落とされて亡くなった。
怨み募ったままの生徒は体育館裏に埋められたあと怪異になり不良たちを食べた。初めは成敗のつもりだったけど、怪異として人間を食べるようになった。
守護神となった狐と狸に抑えられていたけど、今年は田沼が怪異の逆鱗に触れてしまって肝試しに来た生徒たちが巻き込まれたのだろう。
「田沼くんは、肝試しに来た時の記憶が無いみたいだよ……でも、直前の狸に悪いことしたことは覚えている」
「事の発端は田沼だが、いずれは悪さする生徒が荒らして怪異は目覚めていただろうな……」
悲しい事件があったのは何十年前なのだろう。屋上から生徒が死に、その後不良たちが立て続けに行方不明になっているのなら報道されたりしていないだろうか。
スマホでぽちぽち地元の事件を検索してみる。
「慧護くん」
「ん?」
「……一緒に、真相確かめてみない?」
スマホの画面を見せながら問いかける。誘うことは少し勇気が必要だった。断られたら残念だし、興味無いのだろう……ということになるから。
僕は一学期、同じ言葉を慧護に言われて即答で断ってしまった。……慧護も、少しの勇気を持って誘ってくれていたのだろうか。悪いことをしてしまった。
焦りと期待と、断られる痛みに心臓の鼓動がどんどん高鳴っていけば……画面の内容を見た慧護は僕を見てニィッと笑う。
「言っただろ? 写真部と新聞部は合同になるべきだって」
『残された家族の切なる想い──〝30年前の詳細を探しています〟』
僕と慧護は現実世界に戻って来たあと、今更だけれど連絡先をやっと交換して数日後に学校で待ち合わせる。
狐と狸、それから怪異のその後が気になったからだった。
まず調べるのは図書室の隠し通路。普段は鍵がかかっているが事前に教師に一言伝えれば鍵を渡してくれた。
月の光がなければ真っ暗闇だった図書室は、今は電気をつけなくても明るい。
2人きりの静かな空間。暗闇の時とはまた少し違う胸のドキドキを感じながら隠し通路があった本棚まで歩いていく。
……しかし。
「狐と狸の資料はあるけど、特別重くも無いし、中に石も無いし……」
「というか、この本棚自力で動かせるし……奥の扉には……本が、沢山あるだけ……」
何かトリックを使って開かれるわけでもない。しばらく通路を歩いたはずなのに、扉の向こうはすぐ小さな部屋で本が沢山あるだけだった。
「……僕たちが目にしたのは、やっぱり異空間の学校だったのかな」
「かもな。屋上行ってみるか」
慧護の言葉に頷きついていく。予め行きたいところを教師に伝えて鍵をもらっていてよかった。
警察騒動に巻き込まれた生徒2人だったこともあり「調べたいことがある」と言えば鍵を貸してくれたのだ。
ガチャ、と扉を開け屋上に出る。
真夏の屋上。地面は太陽に照らされて寝転んだら火傷してしまいそうだ。
石を置く時は謎に窪みがあった部分は今はない。不思議だものだな……それが怪異現象というものか……と思っていれば、慧護はふらふらとフェンスの方へ行き、真下の地面を見つめる。
「……あの怪異……人間だった生徒は、不良に突き落とされた」
「……うん」
僕たちが何故知っているのか。
慧護と僕が纏めて首を噛まれ気を失った時に見た夢だったから。
虐められていた生徒は学校に棲みついた狐と狸と友達になった。2匹は不良に目をつけられ命を落とし、復讐しようとした生徒は願い叶わず屋上から落とされて亡くなった。
怨み募ったままの生徒は体育館裏に埋められたあと怪異になり不良たちを食べた。初めは成敗のつもりだったけど、怪異として人間を食べるようになった。
守護神となった狐と狸に抑えられていたけど、今年は田沼が怪異の逆鱗に触れてしまって肝試しに来た生徒たちが巻き込まれたのだろう。
「田沼くんは、肝試しに来た時の記憶が無いみたいだよ……でも、直前の狸に悪いことしたことは覚えている」
「事の発端は田沼だが、いずれは悪さする生徒が荒らして怪異は目覚めていただろうな……」
悲しい事件があったのは何十年前なのだろう。屋上から生徒が死に、その後不良たちが立て続けに行方不明になっているのなら報道されたりしていないだろうか。
スマホでぽちぽち地元の事件を検索してみる。
「慧護くん」
「ん?」
「……一緒に、真相確かめてみない?」
スマホの画面を見せながら問いかける。誘うことは少し勇気が必要だった。断られたら残念だし、興味無いのだろう……ということになるから。
僕は一学期、同じ言葉を慧護に言われて即答で断ってしまった。……慧護も、少しの勇気を持って誘ってくれていたのだろうか。悪いことをしてしまった。
焦りと期待と、断られる痛みに心臓の鼓動がどんどん高鳴っていけば……画面の内容を見た慧護は僕を見てニィッと笑う。
「言っただろ? 写真部と新聞部は合同になるべきだって」
『残された家族の切なる想い──〝30年前の詳細を探しています〟』
