木に吊り下げられた狸を助け、異空間に巻き込まれ。怪異に襲われ、田沼に教室を追い出され……夜から様々な出来事が身に降りかかり縁と2人きりの教室でドッと疲れが出て机に伏すと一気に意識が沈んでいった。
縁に肩を揺すられ目を覚ますと背中が重かった。起き上がると乗っかっていたものが地面に飛び退く。
振り返ると狸がちょこんと座っていた。
体育館裏にいた狸だとすれば、漏れなく宙吊りになっていた狸である。
俺と縁はよくわからないままに狐と狸の後を着いていき、図書室に辿り着く。
からくりが好な縁に助けられながら隠し通路を見つけ出し。手に持つと青白く光るパワーストーンのような石を持って狐が奥へ進んだ道を行く。
その先にある部屋で俺たちがやらなければならない役割を壁画で教えられる。
『悪い子だーれだ』
その言葉が聞こえた俺は食われる対象だと思っていた。
しかし狐と狸に導かれて、石も手にしているということは。
俺はまだ間に合うということだろうか。
縁に嘘をついたり、田沼を利用しようとした悪い考えで怪異に狙われる対象であるとしても、狐たちは俺に賭けてくれるということだろうか。
縁も頷いてくれた。必死に僕に着いてきてくれようとするその気持ちだけで俺は十分救われて、その手を握り締めて走り出す。
狐と狸が俺たちの体に憑依してくれたため人間が走るスピードよりも早く怪異の側を駆け抜けていく。
それでも多くの人間を食べて力が増したのか怪異が追いかけてくるスピードも早い。
『悪い子だーれだ』
声が聞こえる。
悪い子は、俺だ。
縁を巻き込むわけにはいかない。
階段を登る時に縁が転んでしまった。
振り返ると縁の目の前に怪異。握る手を緩められて……縁は俺だけでも助けようとしていた。
田沼とは違う行動だった。
食べられる恐怖もあるだろうに、俺を見上げて「逃げて」と言う。
……駄目だよ、縁。
俺はずっと縁を助けるために動いていたのに。
縁がいなくなってしまったら、俺が頑張る理由は失って、それこそ俺も食べられてしまうだろう。
「縁は、駄目だ!」
小さく蹲りぶるぶる震えている縁の体に覆い被さり、吠える。精一杯の威嚇だった。狐の狸を守ろうとしている気持ちに、俺も縁を守ろうとする行動に変わっていく。
守護神の力なのかバリアが張られたが怪異の突撃に割られてしまい、俺は縁と離れ階段から落ちてしまう。
縁を屋上に行かせて俺は囮になった。
怪異は縁には見向きもせず俺を追いかけてくる。
よかった。怪異が『悪い子』だけを食べる奴で。
「こっちだ!」
怪異に声をかけて廊下を一目散に走り抜ける。
廊下の突き当たりで立ち止まり怪異を振り返る。車のスピードで追い上げてくる怪異に……直前で階段を駆け降りていけば壁に強く衝突する音が聞こえた。
中にいる生徒たちが押し潰されたようなバキバキ、と骨が折れる音と痛そうに呻く声。多くの目玉がギョロリとこちらを見つめ、再び追いかけてくるのを確認して俺も逃げていく。
(大きな木が何処なのか全くわからない……!)
図書室に隠し通路があったなら、学校の何処かに地下はあるはず。しかし逃げながら探すのは困難。
あれ以降他の生徒には出会すことはなく、残りの『悪い子』は俺だけなのかもしれない。
一度教室に隠れて呼吸を整える。
縁が目的を達成させるためにも、常に怪異は引き付けておく必要がある。
まだ怪異はダメージを受けているのか階段を降りてくる気配はない。と、抱えていた狸の体がポゥ……と光り出す。
もぞもぞと動き出すので床に下ろすと歩き出す。
狸は俺を見た後、扉を通り抜けていく。……俺を導いている?
狸は昇降口まで行くと扉をカリカリする。今までどんな壁もすり抜けていたが、狸も外には出られないようだ。
(石を配置する場所は、外なのか……)
「でも出られない……」
呟くと狸は「はて?」という顔で俺を見上げる。「何を難しい顔をしている?」と言っているような。
「……窓に突撃作戦はあながち間違ってはいない……ということか?」
狸は前足で俺の足を突く。……肯定されたようだった。
(……よし)
そのためにはもう一度怪異と鉢合わせして扉に激突させなければならない。
『悪い子だーれだ』
追いつかれた。今更漂う腐敗臭。
怪異が力を溜めて、一気に走ってくる。
俺は……振り返ることはせず、タイミングを測って。
食べられる瞬間、真横に走って逃げる。
ガシャン! と大きな音がしてガラス張りの扉が割れた。勢いよく飛び出した怪異はグラウンドに放り出される。外は黒いモヤで覆われていたはずなのに視界は薄くなっていて月の光が届いている。
怪異は月の光に弱いのかジュウ……と焼けるような音がして大人しい。
外に出られるようになった。今のうちに俺も外へ出よう……と一歩踏み出した時、足に猛烈な痛みが走って蹲る。
見ると、ガラスの破片で右足の脹脛を切ってしまったようだった。
「いってぇ……」
確認しない方がよかった。
赤い血がタラタラと流れていくのを見てしまえば、力が抜けてへたり込んでしまう。
あの恐ろしい怪異は目の前にいるというのに。
縁に肩を揺すられ目を覚ますと背中が重かった。起き上がると乗っかっていたものが地面に飛び退く。
振り返ると狸がちょこんと座っていた。
体育館裏にいた狸だとすれば、漏れなく宙吊りになっていた狸である。
俺と縁はよくわからないままに狐と狸の後を着いていき、図書室に辿り着く。
からくりが好な縁に助けられながら隠し通路を見つけ出し。手に持つと青白く光るパワーストーンのような石を持って狐が奥へ進んだ道を行く。
その先にある部屋で俺たちがやらなければならない役割を壁画で教えられる。
『悪い子だーれだ』
その言葉が聞こえた俺は食われる対象だと思っていた。
しかし狐と狸に導かれて、石も手にしているということは。
俺はまだ間に合うということだろうか。
縁に嘘をついたり、田沼を利用しようとした悪い考えで怪異に狙われる対象であるとしても、狐たちは俺に賭けてくれるということだろうか。
縁も頷いてくれた。必死に僕に着いてきてくれようとするその気持ちだけで俺は十分救われて、その手を握り締めて走り出す。
狐と狸が俺たちの体に憑依してくれたため人間が走るスピードよりも早く怪異の側を駆け抜けていく。
それでも多くの人間を食べて力が増したのか怪異が追いかけてくるスピードも早い。
『悪い子だーれだ』
声が聞こえる。
悪い子は、俺だ。
縁を巻き込むわけにはいかない。
階段を登る時に縁が転んでしまった。
振り返ると縁の目の前に怪異。握る手を緩められて……縁は俺だけでも助けようとしていた。
田沼とは違う行動だった。
食べられる恐怖もあるだろうに、俺を見上げて「逃げて」と言う。
……駄目だよ、縁。
俺はずっと縁を助けるために動いていたのに。
縁がいなくなってしまったら、俺が頑張る理由は失って、それこそ俺も食べられてしまうだろう。
「縁は、駄目だ!」
小さく蹲りぶるぶる震えている縁の体に覆い被さり、吠える。精一杯の威嚇だった。狐の狸を守ろうとしている気持ちに、俺も縁を守ろうとする行動に変わっていく。
守護神の力なのかバリアが張られたが怪異の突撃に割られてしまい、俺は縁と離れ階段から落ちてしまう。
縁を屋上に行かせて俺は囮になった。
怪異は縁には見向きもせず俺を追いかけてくる。
よかった。怪異が『悪い子』だけを食べる奴で。
「こっちだ!」
怪異に声をかけて廊下を一目散に走り抜ける。
廊下の突き当たりで立ち止まり怪異を振り返る。車のスピードで追い上げてくる怪異に……直前で階段を駆け降りていけば壁に強く衝突する音が聞こえた。
中にいる生徒たちが押し潰されたようなバキバキ、と骨が折れる音と痛そうに呻く声。多くの目玉がギョロリとこちらを見つめ、再び追いかけてくるのを確認して俺も逃げていく。
(大きな木が何処なのか全くわからない……!)
図書室に隠し通路があったなら、学校の何処かに地下はあるはず。しかし逃げながら探すのは困難。
あれ以降他の生徒には出会すことはなく、残りの『悪い子』は俺だけなのかもしれない。
一度教室に隠れて呼吸を整える。
縁が目的を達成させるためにも、常に怪異は引き付けておく必要がある。
まだ怪異はダメージを受けているのか階段を降りてくる気配はない。と、抱えていた狸の体がポゥ……と光り出す。
もぞもぞと動き出すので床に下ろすと歩き出す。
狸は俺を見た後、扉を通り抜けていく。……俺を導いている?
狸は昇降口まで行くと扉をカリカリする。今までどんな壁もすり抜けていたが、狸も外には出られないようだ。
(石を配置する場所は、外なのか……)
「でも出られない……」
呟くと狸は「はて?」という顔で俺を見上げる。「何を難しい顔をしている?」と言っているような。
「……窓に突撃作戦はあながち間違ってはいない……ということか?」
狸は前足で俺の足を突く。……肯定されたようだった。
(……よし)
そのためにはもう一度怪異と鉢合わせして扉に激突させなければならない。
『悪い子だーれだ』
追いつかれた。今更漂う腐敗臭。
怪異が力を溜めて、一気に走ってくる。
俺は……振り返ることはせず、タイミングを測って。
食べられる瞬間、真横に走って逃げる。
ガシャン! と大きな音がしてガラス張りの扉が割れた。勢いよく飛び出した怪異はグラウンドに放り出される。外は黒いモヤで覆われていたはずなのに視界は薄くなっていて月の光が届いている。
怪異は月の光に弱いのかジュウ……と焼けるような音がして大人しい。
外に出られるようになった。今のうちに俺も外へ出よう……と一歩踏み出した時、足に猛烈な痛みが走って蹲る。
見ると、ガラスの破片で右足の脹脛を切ってしまったようだった。
「いってぇ……」
確認しない方がよかった。
赤い血がタラタラと流れていくのを見てしまえば、力が抜けてへたり込んでしまう。
あの恐ろしい怪異は目の前にいるというのに。
