毎日声かけられるのは煙たがれるだろうから、縁が席に着く時に目が合ったら、挨拶。「おはよ」と軽く言えば声をかけられたことに驚いたように目を丸くして「はよ、ございます」とぺこりと頭を下げて縁は席に着く。
まずは俺に慣れてもらわないと。
「神谷、おはよ」
「おはよう、ございます」
「おはよ〜」
「……おはようございます」
「おはよう」
「……おはよう」
敬語が取り払われただけでも成長した。でも会話は基本それくらい。教師から配られたプリントを縁が後ろに回す時も、俺は縁を見てるのに縁は目を伏せてこちらを見ない。
(そんなに俺って怖く見えるのかな)
休憩中も他の生徒たちが俺の元に集まっているから。前の席にいる縁は居心地悪そうに写真を眺めているか、予習をしているか。
(別の場所に移動した方がいいかな)
数人を連れ立って購買へ向かう。最後に振り返って見てみれば、縁は少し楽になったようだった。
(色々、考えないと)
縁に嫌われない方法。
縁に話しかける方法。
……話しかけられるように仕向けるべき?
*
「……何か探してるの?」
それが、校門前で『学校の七不思議を探している』という口実だった。縁が運悪く宿題を提出する係になってしまい普段より帰る時間が遅くなった時のこと。このタイミングが良いと思った。
七不思議を探しているうちに体育館裏で仲良く眠っている狐と狸を見つけたのは偶々だった。その2匹が、縁に写真を撮ってもらうまで姿が見えなくなるということも知らなかった。
縁と仲良くなる絶好のチャンスだと思った。
しかし縁は怖がりだったようで、真実を掴むことは断られてしまった。
その後は上手く話しかけるタイミングも見つからないまま。5月から7月に入ってしまう。
俺は神山のままでも良いのに〝かみや〟と〝かみやま〟は被るから〝ミヤマ〟と呼ぶことをどうでもよく思いながら、1人で体育館裏で眠っている2匹を見つめる。
「どうしたらお前らみたいに仲良くなれるんだろうな……」
呟く。
俺だけが仲良くなりたくて、縁は俺のこと何とも思っていないのだろう。だから進展がない。
気付いてしまうと流石に俺もヘコむ。
変な絡みが怪しまれて距離を置かれてしまうなら。
初めから飾り気も無しに「友達になりない」「仲良くなりたい」と言えば良いのだろうか。
「そんなこと言って良いのって小学生までじゃない?」
眠っていた狸がこちらを見る。「え、言わないんですか?」みたいな目で俺を見つめている。
「……言ったら、さらに警戒されそうじゃない?」
狸に言葉など通じるかわからないが悩みを打ち明けて見ると首を傾げられた。
「2匹はどうやって仲良くなったの」
逆に尋ねてみれば、狸は眠っている狐に擦り寄って甘えた。狐も目を覚まして狸の頭を舐めていく。
「うーん……やっぱ仲良くなりたいならシンプルに気持ち伝えて、俺から近づかないといけない……感じ?」
狸に聞いたのに、もう眠ってしまっていた。……そっと手を伸ばして触れようとすれば狐に指をガブッと噛まれる。痛くはないけど牽制された。
「なぁんか良い方法ないかな〜」
スマホで2匹を撮影しても姿は映らなかった。でも手を噛まれた感覚はあった。不思議なことがあるもんだと、呑気に思っていた。
まずは俺に慣れてもらわないと。
「神谷、おはよ」
「おはよう、ございます」
「おはよ〜」
「……おはようございます」
「おはよう」
「……おはよう」
敬語が取り払われただけでも成長した。でも会話は基本それくらい。教師から配られたプリントを縁が後ろに回す時も、俺は縁を見てるのに縁は目を伏せてこちらを見ない。
(そんなに俺って怖く見えるのかな)
休憩中も他の生徒たちが俺の元に集まっているから。前の席にいる縁は居心地悪そうに写真を眺めているか、予習をしているか。
(別の場所に移動した方がいいかな)
数人を連れ立って購買へ向かう。最後に振り返って見てみれば、縁は少し楽になったようだった。
(色々、考えないと)
縁に嫌われない方法。
縁に話しかける方法。
……話しかけられるように仕向けるべき?
*
「……何か探してるの?」
それが、校門前で『学校の七不思議を探している』という口実だった。縁が運悪く宿題を提出する係になってしまい普段より帰る時間が遅くなった時のこと。このタイミングが良いと思った。
七不思議を探しているうちに体育館裏で仲良く眠っている狐と狸を見つけたのは偶々だった。その2匹が、縁に写真を撮ってもらうまで姿が見えなくなるということも知らなかった。
縁と仲良くなる絶好のチャンスだと思った。
しかし縁は怖がりだったようで、真実を掴むことは断られてしまった。
その後は上手く話しかけるタイミングも見つからないまま。5月から7月に入ってしまう。
俺は神山のままでも良いのに〝かみや〟と〝かみやま〟は被るから〝ミヤマ〟と呼ぶことをどうでもよく思いながら、1人で体育館裏で眠っている2匹を見つめる。
「どうしたらお前らみたいに仲良くなれるんだろうな……」
呟く。
俺だけが仲良くなりたくて、縁は俺のこと何とも思っていないのだろう。だから進展がない。
気付いてしまうと流石に俺もヘコむ。
変な絡みが怪しまれて距離を置かれてしまうなら。
初めから飾り気も無しに「友達になりない」「仲良くなりたい」と言えば良いのだろうか。
「そんなこと言って良いのって小学生までじゃない?」
眠っていた狸がこちらを見る。「え、言わないんですか?」みたいな目で俺を見つめている。
「……言ったら、さらに警戒されそうじゃない?」
狸に言葉など通じるかわからないが悩みを打ち明けて見ると首を傾げられた。
「2匹はどうやって仲良くなったの」
逆に尋ねてみれば、狸は眠っている狐に擦り寄って甘えた。狐も目を覚まして狸の頭を舐めていく。
「うーん……やっぱ仲良くなりたいならシンプルに気持ち伝えて、俺から近づかないといけない……感じ?」
狸に聞いたのに、もう眠ってしまっていた。……そっと手を伸ばして触れようとすれば狐に指をガブッと噛まれる。痛くはないけど牽制された。
「なぁんか良い方法ないかな〜」
スマホで2匹を撮影しても姿は映らなかった。でも手を噛まれた感覚はあった。不思議なことがあるもんだと、呑気に思っていた。
