スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

 同級生たちが神山の席に群がっていれば次第に朝のHRが始まるチャイムが鳴った。担任が教室に入ってきて、委員長の号令でのろのろと立ち上がる。「おはようごさいまーす」と皆も適当に挨拶して着席すれば、担任も眠そうにしながら今日の予定を話していく。

 淡々と聞いていれば、ふと目が合ってしまった。まずい、と思った時にはもう遅い。

「今日提出の課題は神谷が集めて職員室まで持ってくるように。期限は放課後まで。いいな?」
「……はい」

 せめて昼休憩が終わるまでにしてほしかった。放課後だと最後まで提出しない人がいそうだし、何よりすぐに家に帰ることが出来なくなる。

 朝のHRで提出じゃなかったことに「急いでやったのに〜」「期限伸びた! ラッキー」と周りの同級生が盛り上がる一方、僕の気分はどんよりと重くなる。

(今日はついてない……)

 同級生に突き飛ばされるわ、花は踏み潰されるわ、教師の手伝いさせられるわで散々だ。





 *





「ごめん、あともうちょっとだけ待っててもらっていい?」
「……はい」

 案の定。まだ課題を終えてない同級生が放課後に必死に問題を解いている。今そんなに頑張っているなら数日前にも出来たでしょ……と言える訳もなく。教室に居残ってその子が問題解き終えるのを待つ。

 その間、暇だったから窓際に行き空を見つめる。昼間とは違う夕焼け色。グラデーションが綺麗で、思わず1枚パシャリと撮る。

「……神谷くんさあ、ちょっと手伝おうとは思わないの?」

 問題を解いていた同級生が少し恨めしげにこちらを見ながら声をかけてくる。

「え?」
「いや、写真撮ってる暇があるなら課題手伝ってくれてもよくない?」

 もう殆ど全員が僕に提出した。諦めて提出しない人も中にはいた。まだその方が僕にはありがたかった。そもそも事前に終えていたらすんなり僕は家に帰ることが出来ていたのに、往生際が悪い生徒1人のために居残っているのにその言い草は何なのか。

「いや……この課題、1週間前に出されていたものだよ。僕は事前に終えていたし、提出間近になって今頃やり出す人の神経がわからないんだけど……」
「なんだよ? あーあ、ミヤマの時は手伝ってくれて助かったのにな〜。陰キャのお前じゃ苦労するわ〜」
「……」

 腹が立つ生徒だ。言い返すことも面倒になり窓際の席に座って空を眺めることにした。

 夕焼けの空に藍色が混じってきた頃、机の上にドン、とプリントの束を叩きつけられる。

「ったく、これだから陰キャは……」

 ぶつぶつ言いながら教室を出ていく。待たせてごめん、くらいの一言はないのか。

 ため息を吐いてプリントの束を抱え、職員室に向かう。