スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

 屋上の扉。職員室から持ってきた鍵を差し込み回せば……ガチャンと音がして開いた。

 ホッと一息吐き……外からは何の気配もないことを確認してから扉を開ける。

 何もない屋上。
 グラウンドを見下ろすも黒いモヤがかかり確認は出来ない。わかるのは月の光を直接浴びることが出来るということ。

 ポゥ、と抱きかかえていた狐の体が青白く光る。もぞもぞと動き出すので地面に歩けば僕を導くように歩いていく。

 狐は屋上の端に移動すると僕を見つめてその場で座る。あの場へ向かえということか。

 近づいていくと昼間に見た時は何もなかった場所に石を配置出来るような分かりやすい窪みがあった。

 石を、置いた。

 淡い光を放っていた石は月の光を浴びてさらに強い光を放つ。

 グラウンドを覆う黒いモヤが少し減った。そして僕には確認しようがなかったが、学校全体も青白い光に若干包まれる。

 それが怪異や僕たちにどう影響があるのかはまだ詳しくはわからないけれど。

「屋上に行って月の光を浴びたいって慧護くん言ってたけど、まさか本当に来ることになるなんて」

 屋上は月に照らされて明るい。今通って来た扉の奥を見ると真っ暗闇で、僕たちはこんな暗闇の中を彷徨っていたのだと気付く。

 僕がずっと正気を保てていたのは慧護の存在が大きい。

「……慧護くんは、大丈夫かな」

 心配だった。
 僕よりは鈍臭くはないとわかっているけれど。1人で怪異に追われるのは恐ろしいはずだから。

「……よし」

 意を決して暗闇の中に戻ろうとすれば狐が僕のズボンを咥えて引き止める。

「……僕は動いたらいけないの?」

 何のリアクションもないがじっと見つめられる。僕にはまだやらなければならないことがある? それとも、足手纏いになるということ?

 呆然と見つめていれば、狐は今何にも襲われていないのに後ろ足が真っ赤に染まる。え、と声を漏らしてしまえば狐は顔を歪めて蹲ってしまう。

「な、何が……っ、狐さん、狐さんっ」

 苦しそうに呻いている。狐は今屋上にいて安全なはずなのに。何処かで攻撃を受けている?

(──慧護くんの受けた傷が、狐に伝わっているとしたら)

 今大怪我を負っているのは慧護かもしれない。

 応急手当て出来る物なんてない。オロオロすることしか出来ない。

(どうしよう……どうしたら、いいんだ)

 戸惑いと焦りは涙に変わっていく。

 狐のそばに寄って、体を撫でることしか出来ない。

「僕に出来ることって、なに……っ」

 ぐったりと動かなくなってしまった狐の、真っ赤に染まった後ろ足に溢れた涙が頬を伝って傷口に触れていく。