スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

 怪異は別の階にいるのか先程から全く出会(でくわ)す様子は無い。

 歩く狐の後ろをテトテト……と狸は着いていき、その後ろを僕たちは追っていく。

 あれから生徒たちには出会っていない。先程の教室にいた生徒たち以外はもう怪異の中にいるのだろうか。

 歩きながら怪異の頭上にいる2匹を撮った写真をもう一度眺める。
 ……田沼の身代わりになった男子生徒が怪異の中に詰められて気を失っていた。

(生き残りたいからって、咄嗟に判断した田沼くんも肝が据わっているというか……僕だったら、あのまま終わってるだろうな。慧護くんだったら……どうするのかな)

 隣で歩き続ける慧護を視界の端で感じる。途中、視界が明るくなる。月光だ。廊下に差し込む月の明かりが心を少し穏やかにしてくれる。

 偽物の月なのか、本物の月なのかはわからないけれど。

「……月が、綺麗だね」
「縁はロマンチストなんだ」
「え? ……あ! いや、そういう意味ではなく!」
「何焦ってるんだよ」

 少し調子を取り戻したのか慧護は僕をいじってくる。一学期の間は声かけられることすら迷惑だと思っていたけれど。

 この状況で会話して、少し空気が緩むのも悪くない……と思った。

「告白とかじゃなくて……窓から見える月の光が、綺麗だなって。思ったんだ」
「……うん。確かに」

 2人で立ち止まって月を眺める。
 月光に当たっているとやはり気持ちが穏やかになる。怪異とは対照的だからだろうか。

「なんだか、癒されるね……」
「うん。いつも気にしたことなかったけど、月の光って大事なのかもな」
「……ね」
「あ〜、屋上に出て月の光を浴びれたらな〜」

 慧護がボヤく。仮に屋上に向かえたとしても怪異に見つかった時のリスクが大きい。
 薄気味悪い怪異が徘徊している中、僕も浄化してくれそうな月の光を浴びたいのはごもっともだったので「無事に元の場所に帰ることが出来たら目一杯浴びよう」と言う。

「縁も付き合ってくれんの」
「うん。僕も今日で月の光が好きだって気付いた」
「やっぱ俺たちってシンパシー感じ合えるんじゃね⁉︎」

 過去にも何処かで聞いたようなセリフ。あの時は苦笑いで誤魔化していたけど。……案外僕たちは似た者同士なのかな。
 ……そうだったら、いいな。

 なんて。慧護の近いポジションでいたい、と思ったことにこれが友人というものなのか……とトクンと高鳴る鼓動を体で感じた。