改めて皆に情報を共有する。
あの恐ろしいナニカ──怪異は、人間を丸呑みにするということ。見つけたらずっと追いかけてくるということ。移動速度はゆっくりなのに、追いかけてくる時はとても早いこと。
授業中でも見ない真剣な顔で慧護の話を皆は聞いていく。
「あと、皆にも見てほしいんだけど……」
慧護が僕を見る。写真のことだろうと駆け寄り慧護に渡せば、皆に写真を見せていく。
血みどろの校舎。
腸の中にいるような廊下。
怪異を撮ると、中には呑み込まれた生徒たちがぎゅうぎゅう詰めで気を失っているということ。
そのどれもを見せても他の人には伝わらず「ミヤマの頭がおかしくなったのではないか?」と疑問に思われていた。
写真でわかることは僕と慧護にしか本当にわからないようだった。
「それで、どうする? 俺こんなところさっさと出たいんだけど」
田沼が言うと皆も口々に「帰りたい〜」「お腹空いた〜」と呟く。
慧護も先程までは逃げ回っていた。解決策などすぐに見つからない……と思っていたが。
「この異空間から逃げられないなら。あの怪異を学校の外に追い出す……という案は、どう?」
1つ考えていたようだった。いつの間に思いついたのだろう。
「出来るの? そんなこと」
尋ねる1人の生徒に、慧護は口角を上げる。
「やってみなきゃわからないだろ?」
*
慧護の思いついた作戦は以下の通りだ。
生徒たちは他の場所へ避難し、怪異を教室に誘き寄せる。
誘発する人は窓際に寄る。
そして真っ直ぐ走ってきたところを瞬時に避けて、窓に激突させるというものだった。
かなり危険だと思う。判断が遅れたら呑み込まれてしまうから。
「でも、何もやらないよりはいいはずだ。囮は俺がやる」
その言葉に驚くのは僕だけで、他の皆は「ミヤマがやるなら安心」と誰も異を唱えない。
「け、慧護くん……足、大丈夫なの?」
それぞれ会話し出して緩い空気になる中、1人覚悟を決めてる慧護に話しかける。
「足?」
「うん。……怪我、してるんだよね」
慧護はきょとんとしたあと「ああ」と思い出したように笑う。
「縁、覚えてたんだ。5月くらいに校門前で話したこと。大丈夫だよ。体育の授業は普通にやってるの見たことあるだろ? 少し走るくらいなら平気だから」
だから心配すんな。
肩にぽん、と手を置かれる。
そういう行動をさせてしまうくらい、僕は心配な顔をしていたのか。
「よし、じゃあ別の教室に隠れようぜ〜」
田沼の言葉を筆頭に、生徒たちは群れて雑談しながら教室を出ようとする。
……なんだか、嫌な予感。
それを感じたのは慧護も同じようで。
「……待て! 扉開ける前に外の気配を感じてから──」
「え?」
田沼が聞き返しながらガララッと大きな音を立てて扉を開ける。途端に教室に充満する腐敗臭。
田沼たちの目の前には、出てくるのを待ち構えていたように怪異が立ち塞がっていた。
あの恐ろしいナニカ──怪異は、人間を丸呑みにするということ。見つけたらずっと追いかけてくるということ。移動速度はゆっくりなのに、追いかけてくる時はとても早いこと。
授業中でも見ない真剣な顔で慧護の話を皆は聞いていく。
「あと、皆にも見てほしいんだけど……」
慧護が僕を見る。写真のことだろうと駆け寄り慧護に渡せば、皆に写真を見せていく。
血みどろの校舎。
腸の中にいるような廊下。
怪異を撮ると、中には呑み込まれた生徒たちがぎゅうぎゅう詰めで気を失っているということ。
そのどれもを見せても他の人には伝わらず「ミヤマの頭がおかしくなったのではないか?」と疑問に思われていた。
写真でわかることは僕と慧護にしか本当にわからないようだった。
「それで、どうする? 俺こんなところさっさと出たいんだけど」
田沼が言うと皆も口々に「帰りたい〜」「お腹空いた〜」と呟く。
慧護も先程までは逃げ回っていた。解決策などすぐに見つからない……と思っていたが。
「この異空間から逃げられないなら。あの怪異を学校の外に追い出す……という案は、どう?」
1つ考えていたようだった。いつの間に思いついたのだろう。
「出来るの? そんなこと」
尋ねる1人の生徒に、慧護は口角を上げる。
「やってみなきゃわからないだろ?」
*
慧護の思いついた作戦は以下の通りだ。
生徒たちは他の場所へ避難し、怪異を教室に誘き寄せる。
誘発する人は窓際に寄る。
そして真っ直ぐ走ってきたところを瞬時に避けて、窓に激突させるというものだった。
かなり危険だと思う。判断が遅れたら呑み込まれてしまうから。
「でも、何もやらないよりはいいはずだ。囮は俺がやる」
その言葉に驚くのは僕だけで、他の皆は「ミヤマがやるなら安心」と誰も異を唱えない。
「け、慧護くん……足、大丈夫なの?」
それぞれ会話し出して緩い空気になる中、1人覚悟を決めてる慧護に話しかける。
「足?」
「うん。……怪我、してるんだよね」
慧護はきょとんとしたあと「ああ」と思い出したように笑う。
「縁、覚えてたんだ。5月くらいに校門前で話したこと。大丈夫だよ。体育の授業は普通にやってるの見たことあるだろ? 少し走るくらいなら平気だから」
だから心配すんな。
肩にぽん、と手を置かれる。
そういう行動をさせてしまうくらい、僕は心配な顔をしていたのか。
「よし、じゃあ別の教室に隠れようぜ〜」
田沼の言葉を筆頭に、生徒たちは群れて雑談しながら教室を出ようとする。
……なんだか、嫌な予感。
それを感じたのは慧護も同じようで。
「……待て! 扉開ける前に外の気配を感じてから──」
「え?」
田沼が聞き返しながらガララッと大きな音を立てて扉を開ける。途端に教室に充満する腐敗臭。
田沼たちの目の前には、出てくるのを待ち構えていたように怪異が立ち塞がっていた。
