スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

「この世のモノではない、ナニカ……?」

 慧護の言葉をそのまま口にする。慧護は頷いて、どう説明しようか考えているようだった。

「……一言で伝えるなら怪異。月明かりに照らされて見えた形は、小さなモノが集まって大きくなっていて。その一部をよく見ると人の腕や足、目玉が血みどろで集結していて……生きている人間を追いかけて呑み込もうとしているようだった」
「……そんな、ものが。学校内を徘徊しているなんて」
「スマホは全く機能しない。幸いなのは、あのナニカの移動速度が遅いことだな」

 動揺しながらも、説明をしていくうちに落ち着いた様子を見せる慧護。僕とは違う人だな……と感じながら「じゃあ、先生に連絡も出来ないね」と返す。

「この校内だけが異空間で、先生たちは何の異変も感じられずにグラウンドで待っている可能性もある」
「閉じ込められた生徒たちは逃げ惑っていて……何とかして、現実に戻らないと」

 しかし怪異現象に詳しくない僕たちが突破口をすぐに見つけることは出来ない。
 教室から出ると窓から月の光が差し込む。外は暗く澱んでいるというのに、夜空に浮かぶ月だけは綺麗に輝いていた。その光がこの異空間の中の唯一の癒しになる。

「慧護くん。去年も肝試しは参加したの? その時は何もなかったんだよね?」
「ああ。去年はただ暗闇の校舎を回るだけで終わったな。驚かし要素があるわけでもなく」
「どうして、今年は違うんだろう。何か……きっかけがあるはず」
「──写真」

 慧護がふと呟く。「え?」と聞き返すと「今見える景色と、カメラで撮った景色は違って見えたよな」と僕を見て言う。

「う、うん」
「……あのナニカを、写真越しに見たら何かわかるかもしれない」

 それは。もう一度あの恐ろしいモノに近づく必要がある。
 このまま逃げ続けて、でも永遠と閉じ込められて死ぬか、食われるか。

 危険を犯してでも突破口を探し出すか。

 僕にはどちらもリスキーだった。
 成功するとは思えない。

 でも、僕だけじゃなくて慧護がいる。
 頼っても、いいのかな。
『1人じゃないのは心強い』と言ってくれた彼のために出来ることは、慧護に着いていくことだ。

 このまま何もしないよりは……きっといい……はず。

ゴクリと生唾を飲み込み、少し背の高い慧護を見上げる。

「……撮って、みる」

 僕の返答に「縁ってやっぱ最高だな」と慧護は笑った。僕にはよくわからないけど、僕がいることで慧護の心が穏やかになるのなら嬉しい、と思う。