まずわかるのは、写真さえ撮らなければこの空間は普段と変わらない校舎だということ。フィルター越しに周りを見ても、シャッターを押さない限りは何も変わらないということ。
過呼吸になりかけた僕に状況を教えて背中を摩ってくれる慧護のおかげで、だんだんと落ち着いて来た。
深呼吸して、周りを見渡す。……何も変わらない学校。それから視線を移して慧護を見る。
「大丈夫そ?」
「うん。……ごめん、パニックになっちゃって」
「まあ、誰だってこんなことになったら取り乱すよな」
「……でも、慧護くんは平気そう。どうして?」
「縁が俺よりも動揺してたからかな。おかげで落ち着けたよ」
「ゔ……」
笑ってるけど、嫌味ではない。慧護は本当に明るくてしっかりしていて、周りにいる子を助けてくれる人だ。これが本物の陽キャというものだろう。別の軸だったら彼はヒーローに違いない。
僕はきっと鈍臭くて、今みたいに動けないでいるところを慧護に助けてもらうモブキャラだ。
だから僕と慧護は不釣り合いなはずなのだけれど。……モブキャラは、ヒーローの助けがないと生きていけないのも皮肉だ。
(極力、足を引っ張らないようにだけしよう……)
心の中で決心して、立ち上がる。
「閉じ込められたなら、解放される瞬間もあるはず。一旦校舎を歩いて他に異変がないか探しながら、先に入った生徒たちの安否も確認しないと」
「うん。着いていく」
「助かるよ」
「……慧護くん、僕が隣にいて助かるの?」
ゆっくり歩き出す慧護についていきながら尋ねる。「うん」と頷いた慧護は僕を見て微笑む。
「ちょっとイレギュラーだけど。縁が進んで俺の隣にいてくれることが嬉しくて。あとやっぱ、1人じゃないって心強いから」
「……へ、へへ」
気持ち悪い笑い声が漏れた。慌てて口を塞ぐも慧護には聞かれてしまったようで「そうやって笑うんだ」とまじまじと顔を見られてしまう。
こんな状況だというのに、なんだか恥ずかしくなってしまい「見ないで」と顔を覆う。
「笑った顔、俺結構好きなんだけどな」
「学校で僕そんなに笑ったことないよ」
「いつも花とか空とか写真撮って、満足そうに笑ってるの見たことあるけど」
「……慧護くんって結構僕のこと見てるよね」
「そうだよ。だって仲良くなりたかったから」
ここまで言われてしまったら、彼は本当に裏表の無い人間だとわかる。いつもHRが始まる前に少し話しかけるのはきっかけを持ちたいからであって。……でも僕はいつも、邪険にしていて。
「どんな人なのかなって。気になってたんだ」
「……つまらない人間だった?」
「今のところわかるのは、ウェイ系の人間は苦手で、写真撮るのが好きで……お化けとか怖くて俺の隣にピトッとくっついてくることくらい」
「そ……その通りです……」
「でも、まだまだ足りない。縁のこと、もっと知りたい。友達になりたい」
「慧護くんの友達ならたくさんいるのに」
「でもいざって時に、俺を置いて逃げていきそう」
断言出来るってことは、案外ドライな関係なのだろうか。そこまで仲良くもないのに連めるって才能なのでは……と返そうとした時、遠くから断末魔の叫び声が響いた。
過呼吸になりかけた僕に状況を教えて背中を摩ってくれる慧護のおかげで、だんだんと落ち着いて来た。
深呼吸して、周りを見渡す。……何も変わらない学校。それから視線を移して慧護を見る。
「大丈夫そ?」
「うん。……ごめん、パニックになっちゃって」
「まあ、誰だってこんなことになったら取り乱すよな」
「……でも、慧護くんは平気そう。どうして?」
「縁が俺よりも動揺してたからかな。おかげで落ち着けたよ」
「ゔ……」
笑ってるけど、嫌味ではない。慧護は本当に明るくてしっかりしていて、周りにいる子を助けてくれる人だ。これが本物の陽キャというものだろう。別の軸だったら彼はヒーローに違いない。
僕はきっと鈍臭くて、今みたいに動けないでいるところを慧護に助けてもらうモブキャラだ。
だから僕と慧護は不釣り合いなはずなのだけれど。……モブキャラは、ヒーローの助けがないと生きていけないのも皮肉だ。
(極力、足を引っ張らないようにだけしよう……)
心の中で決心して、立ち上がる。
「閉じ込められたなら、解放される瞬間もあるはず。一旦校舎を歩いて他に異変がないか探しながら、先に入った生徒たちの安否も確認しないと」
「うん。着いていく」
「助かるよ」
「……慧護くん、僕が隣にいて助かるの?」
ゆっくり歩き出す慧護についていきながら尋ねる。「うん」と頷いた慧護は僕を見て微笑む。
「ちょっとイレギュラーだけど。縁が進んで俺の隣にいてくれることが嬉しくて。あとやっぱ、1人じゃないって心強いから」
「……へ、へへ」
気持ち悪い笑い声が漏れた。慌てて口を塞ぐも慧護には聞かれてしまったようで「そうやって笑うんだ」とまじまじと顔を見られてしまう。
こんな状況だというのに、なんだか恥ずかしくなってしまい「見ないで」と顔を覆う。
「笑った顔、俺結構好きなんだけどな」
「学校で僕そんなに笑ったことないよ」
「いつも花とか空とか写真撮って、満足そうに笑ってるの見たことあるけど」
「……慧護くんって結構僕のこと見てるよね」
「そうだよ。だって仲良くなりたかったから」
ここまで言われてしまったら、彼は本当に裏表の無い人間だとわかる。いつもHRが始まる前に少し話しかけるのはきっかけを持ちたいからであって。……でも僕はいつも、邪険にしていて。
「どんな人なのかなって。気になってたんだ」
「……つまらない人間だった?」
「今のところわかるのは、ウェイ系の人間は苦手で、写真撮るのが好きで……お化けとか怖くて俺の隣にピトッとくっついてくることくらい」
「そ……その通りです……」
「でも、まだまだ足りない。縁のこと、もっと知りたい。友達になりたい」
「慧護くんの友達ならたくさんいるのに」
「でもいざって時に、俺を置いて逃げていきそう」
断言出来るってことは、案外ドライな関係なのだろうか。そこまで仲良くもないのに連めるって才能なのでは……と返そうとした時、遠くから断末魔の叫び声が響いた。
