山奥にある学校に、狐と狸がやって来た。
山から山への移動中だったが、ふと気になりふらりとやって来たのだ。
周りを探索しながら体育館裏に回り込むと、一本の小さな桜が植えられていた。
『狐くん狐くん。桜がありますよ。丁度いいお昼寝スポットです』
『おい、ちょっと寄り道しただけだ。ここは人間が多いんだから見つかったら厄介だぞ』
狐が戒めると狸は『そうですね……』としゅんと頭を下げてトボトボ……と狐の元まで来る。
特に目ぼしいものはなさそうだ。
学校を後にしようと思えば、目の前で座り込み泣いている生徒に出会しギョッとする。
人間の気配には警戒しているつもりだったのに気付くことができなかった。
狐はそのまま通り過ぎようとしたが、狸はのそのそと生徒に歩み寄り『大丈夫ですか?』というように鼻を近づける。
『相手は人間だぞ。危険だから離れろ』
狐が言うも狸は『敵意は感じられませんよ』と狐を見つめる。
『どうしたんですか、生徒くん。この時間はお勉強している筈ですよね』
「……ぐすっ、ぐすっ」
生徒は泣いているばかりで狸の存在にも気付いていないようだった。
オロオロしている狸は狐を見て『狸はもうだめです……』という顔をする。
泣いてる生徒と、落ち込む狸。
狐は仕方ないと生徒のそばに行き座る。
『いいんですか? 狐くん』
『どうせ生徒が泣き止まないとお前も動かないだろう』
狐と狸は気の迷いで生徒と仲良くなった。その生徒は毎日1人で体育館裏にやって来てぼんやり空を見上げている。
通り過ぎるはずだった学校に2匹は棲みつくようになり、体育館裏の小さな桜の木の下で眠るようになった。
いつも泣いていた生徒は、両脇に2匹が座っていることに不思議がっていたものの、初めて心許せる相手に出会えて次第に笑顔が増えていった。
生徒にとっても狐と狸の存在は大きくなっていった。
言葉は交わせないものの友達だった。
*
……長い間、眠っていた気がする。
目を覚ますと、ナニカが校舎を徘徊している。
いつかは暴走してしまうと思っていた。月の光を浴びると狐と狸は力を宿し、ナニカを抑え込む存在となる。
『……狐くん、行きましょう』
『わかっている』
狐と狸は最近見つけた〝憑依しやすい人間〟に会うために校舎の中に入り込んだ──。
山から山への移動中だったが、ふと気になりふらりとやって来たのだ。
周りを探索しながら体育館裏に回り込むと、一本の小さな桜が植えられていた。
『狐くん狐くん。桜がありますよ。丁度いいお昼寝スポットです』
『おい、ちょっと寄り道しただけだ。ここは人間が多いんだから見つかったら厄介だぞ』
狐が戒めると狸は『そうですね……』としゅんと頭を下げてトボトボ……と狐の元まで来る。
特に目ぼしいものはなさそうだ。
学校を後にしようと思えば、目の前で座り込み泣いている生徒に出会しギョッとする。
人間の気配には警戒しているつもりだったのに気付くことができなかった。
狐はそのまま通り過ぎようとしたが、狸はのそのそと生徒に歩み寄り『大丈夫ですか?』というように鼻を近づける。
『相手は人間だぞ。危険だから離れろ』
狐が言うも狸は『敵意は感じられませんよ』と狐を見つめる。
『どうしたんですか、生徒くん。この時間はお勉強している筈ですよね』
「……ぐすっ、ぐすっ」
生徒は泣いているばかりで狸の存在にも気付いていないようだった。
オロオロしている狸は狐を見て『狸はもうだめです……』という顔をする。
泣いてる生徒と、落ち込む狸。
狐は仕方ないと生徒のそばに行き座る。
『いいんですか? 狐くん』
『どうせ生徒が泣き止まないとお前も動かないだろう』
狐と狸は気の迷いで生徒と仲良くなった。その生徒は毎日1人で体育館裏にやって来てぼんやり空を見上げている。
通り過ぎるはずだった学校に2匹は棲みつくようになり、体育館裏の小さな桜の木の下で眠るようになった。
いつも泣いていた生徒は、両脇に2匹が座っていることに不思議がっていたものの、初めて心許せる相手に出会えて次第に笑顔が増えていった。
生徒にとっても狐と狸の存在は大きくなっていった。
言葉は交わせないものの友達だった。
*
……長い間、眠っていた気がする。
目を覚ますと、ナニカが校舎を徘徊している。
いつかは暴走してしまうと思っていた。月の光を浴びると狐と狸は力を宿し、ナニカを抑え込む存在となる。
『……狐くん、行きましょう』
『わかっている』
狐と狸は最近見つけた〝憑依しやすい人間〟に会うために校舎の中に入り込んだ──。
