同時接続の参加者が300を超えた。
しかも、今でもバラバラと増えている。
よくバズるということばを見るが、実際にバズる瞬間は初めて見たかも知れない。開始時点での参加者は、いつも通りの20人程度だった。それから少しずつ告知を見ていたフォロワーが集り、すぐに30人になった。
顔出しをした。
たったそれだけのことで、参加者が爆発的に増えた。比喩などではない、本当に膨れ上がるように増えたのだ。有り得ないことではあるが、当然の結果とも思えた。なぜ最初から顔出しをしなかったのか、不思議に思えるほどの容姿だったからだ。肩まで伸びたグレーに近いシルバーの髪。インナーカラーはクリアブルー。小さい顔にはアンバランスと思えるほどの大きな瞳。バランスが取れた各パーツが、売れっ子のアイドルや女優を凌ぐ美貌を創造していた。
無意識のうちに見惚れてしまう。
その間にも参加者が急激に増えていき、ついに4桁になった。
画面の向こう側では、タロウが一生懸命歌っている。
いつも通り、ギターを弾きながら熱唱している。
読み取れないほどのスピードでレスが流れる。
フォロワーが目に見えて増えていく。
>かわいいー!!
>芸能人???
>美しすぎるっ
>ファンになりました!!
タロウが曲を歌い終えてハニカミながら話し始めると、再びレスが高速で流れた。その状況に戸惑いながらも、いつも通りに曲の説明する。そして、初見の人が多いため、今日何度目かになる自己紹介を始めた。質問が飛び交い、その1つ1つに丁寧に答えようとするタロウ。
>七氏:ムリに全部答えなくてもいいよ!
自分のレスが一瞬にして飲み込まれる。
見たこともないような高額のアイテムが飛んだ。
それをきっかけにして、様々なアイテムが乱舞する。
いつも見掛けるメンバーは見当たらない。
きっと、どこかにいるのだとは思う。
その他大勢の中に埋もれているのだろう。
存在を認知されているかどうかも疑わしい状況だ。
1時間ほどでLIVEが終わった。
同時接続の参加者が一番多いときの人数は、1300人余りにも達していた。フォロワーも500人程度から1500人に急増した。今後の配信動画についても顔出しをすると言っていたため、ハイペースで増え続けることが予想できる。これなら、5000人、いや1万人も近いうちに達成するだろう。
喜ばしいことだ。
タロウがずっと目標にしてきたことに一歩近付くことができる。歌姫になるためのステップアップだ。このまま有名になって、配信サイトを卒業してメジャーデビュー。そして、ミリオンセラー、ドームでのコンサートチケットを完売させる!!
・・・だけど、ため息が零れた。
LIVE配信から20分後、ダイレクトメールが届いた。
>タロウ:バズりましたー!! でも、ちょっと微妙な感じです・・・
ルーキーのときからの付き合いだ。それに、LIVE配信の度に反省会をしてきた関係だ。タロウが何を言いたいのかは分かる。
>七氏:おめでとう!!メッチャ人が多かったね。 間違いなくバズったよ。スゴイよ!!
>タロウ:でも、でも、でも、でも、でもー!!
>七氏:まあ、確かに、大多数の人はタロウの容姿に魅かれて集っていたと思う。自分も余りにも可愛かったから驚いたくらいだしさ。
歌を聴いて欲しかったから、ずっと顔出しをしなかったんだよね?
ぶっちゃけ、自分が可愛いという自覚もあるよね。
歌で評価して欲しかったから顔を出さなかったんだよね。
だから、タロウなんて名前にしているんだよね。
でもさ、外見を含めてタロウじゃん。
可愛いから大勢の人が集ったのかも知れない。でもさ、ずっと見ていたけど、参加者は増え続けていて、減ることはほとんどなかったよ。それは、歌が良かったからだよ。配信サイトにいる人は、いくら見た目が良くても、内容が薄ければ簡単に通り過ぎる。ライバーに気を遣う必要もないし、ただの時間潰しなんだから流せばいい。今は加工アプリなんてものもあるし、可愛いだけの子なんていくらでも作れる。だけど、歌で引き止めることができる人は少ない。順番なんて関係無い。見た目で近寄ってきた人達を、歌で魅了すればいい。今日だけで1000人くらいフォロワーが増えたじゃん。それだけ増えるってことは、また見たいってこと。応援したいってことだよ。
自信を持って。
目標を掲げているのであれば、それを達成するためには自分の容姿も武器にするべきだよ。
思わず熱くなって長文を返信してしまう。
自分はマネージャーでもなければ、彼氏でも何でもない。ただの古参フォロワーに過ぎない。ライバーには余り深入りしないように、距離感を保って接することに決めている。その自分ルールを逸脱するほどの、余計なお世話だったかも知れない。それが理由なのか、タロウからの返信はない。
もう寝ようかと思っていた24時を過ぎ、ようやくタロウからの返信が届いた。
>タロウ:いつも、ありがとうございます!!何度も読み直してしまいました。あまり気にしないようにして、これまで通り一生懸命歌っていこうと思います。なので、今後とも、反省会の相手をお願いしますねー
「今後とも」の言葉が何となく特別扱いされているみたいで口元が緩んでしまう。
自分にとっても、タロウは特別な存在だ。
そうでなければ、この感情が説明できない。
しかも、今でもバラバラと増えている。
よくバズるということばを見るが、実際にバズる瞬間は初めて見たかも知れない。開始時点での参加者は、いつも通りの20人程度だった。それから少しずつ告知を見ていたフォロワーが集り、すぐに30人になった。
顔出しをした。
たったそれだけのことで、参加者が爆発的に増えた。比喩などではない、本当に膨れ上がるように増えたのだ。有り得ないことではあるが、当然の結果とも思えた。なぜ最初から顔出しをしなかったのか、不思議に思えるほどの容姿だったからだ。肩まで伸びたグレーに近いシルバーの髪。インナーカラーはクリアブルー。小さい顔にはアンバランスと思えるほどの大きな瞳。バランスが取れた各パーツが、売れっ子のアイドルや女優を凌ぐ美貌を創造していた。
無意識のうちに見惚れてしまう。
その間にも参加者が急激に増えていき、ついに4桁になった。
画面の向こう側では、タロウが一生懸命歌っている。
いつも通り、ギターを弾きながら熱唱している。
読み取れないほどのスピードでレスが流れる。
フォロワーが目に見えて増えていく。
>かわいいー!!
>芸能人???
>美しすぎるっ
>ファンになりました!!
タロウが曲を歌い終えてハニカミながら話し始めると、再びレスが高速で流れた。その状況に戸惑いながらも、いつも通りに曲の説明する。そして、初見の人が多いため、今日何度目かになる自己紹介を始めた。質問が飛び交い、その1つ1つに丁寧に答えようとするタロウ。
>七氏:ムリに全部答えなくてもいいよ!
自分のレスが一瞬にして飲み込まれる。
見たこともないような高額のアイテムが飛んだ。
それをきっかけにして、様々なアイテムが乱舞する。
いつも見掛けるメンバーは見当たらない。
きっと、どこかにいるのだとは思う。
その他大勢の中に埋もれているのだろう。
存在を認知されているかどうかも疑わしい状況だ。
1時間ほどでLIVEが終わった。
同時接続の参加者が一番多いときの人数は、1300人余りにも達していた。フォロワーも500人程度から1500人に急増した。今後の配信動画についても顔出しをすると言っていたため、ハイペースで増え続けることが予想できる。これなら、5000人、いや1万人も近いうちに達成するだろう。
喜ばしいことだ。
タロウがずっと目標にしてきたことに一歩近付くことができる。歌姫になるためのステップアップだ。このまま有名になって、配信サイトを卒業してメジャーデビュー。そして、ミリオンセラー、ドームでのコンサートチケットを完売させる!!
・・・だけど、ため息が零れた。
LIVE配信から20分後、ダイレクトメールが届いた。
>タロウ:バズりましたー!! でも、ちょっと微妙な感じです・・・
ルーキーのときからの付き合いだ。それに、LIVE配信の度に反省会をしてきた関係だ。タロウが何を言いたいのかは分かる。
>七氏:おめでとう!!メッチャ人が多かったね。 間違いなくバズったよ。スゴイよ!!
>タロウ:でも、でも、でも、でも、でもー!!
>七氏:まあ、確かに、大多数の人はタロウの容姿に魅かれて集っていたと思う。自分も余りにも可愛かったから驚いたくらいだしさ。
歌を聴いて欲しかったから、ずっと顔出しをしなかったんだよね?
ぶっちゃけ、自分が可愛いという自覚もあるよね。
歌で評価して欲しかったから顔を出さなかったんだよね。
だから、タロウなんて名前にしているんだよね。
でもさ、外見を含めてタロウじゃん。
可愛いから大勢の人が集ったのかも知れない。でもさ、ずっと見ていたけど、参加者は増え続けていて、減ることはほとんどなかったよ。それは、歌が良かったからだよ。配信サイトにいる人は、いくら見た目が良くても、内容が薄ければ簡単に通り過ぎる。ライバーに気を遣う必要もないし、ただの時間潰しなんだから流せばいい。今は加工アプリなんてものもあるし、可愛いだけの子なんていくらでも作れる。だけど、歌で引き止めることができる人は少ない。順番なんて関係無い。見た目で近寄ってきた人達を、歌で魅了すればいい。今日だけで1000人くらいフォロワーが増えたじゃん。それだけ増えるってことは、また見たいってこと。応援したいってことだよ。
自信を持って。
目標を掲げているのであれば、それを達成するためには自分の容姿も武器にするべきだよ。
思わず熱くなって長文を返信してしまう。
自分はマネージャーでもなければ、彼氏でも何でもない。ただの古参フォロワーに過ぎない。ライバーには余り深入りしないように、距離感を保って接することに決めている。その自分ルールを逸脱するほどの、余計なお世話だったかも知れない。それが理由なのか、タロウからの返信はない。
もう寝ようかと思っていた24時を過ぎ、ようやくタロウからの返信が届いた。
>タロウ:いつも、ありがとうございます!!何度も読み直してしまいました。あまり気にしないようにして、これまで通り一生懸命歌っていこうと思います。なので、今後とも、反省会の相手をお願いしますねー
「今後とも」の言葉が何となく特別扱いされているみたいで口元が緩んでしまう。
自分にとっても、タロウは特別な存在だ。
そうでなければ、この感情が説明できない。



