観光地は幾つもあるはずなのに、東京に着いたらまずスカイツリーの絶景を見るべきだと奈美は言い張って、寝起きの僕はあっさり根負けした。僕が高所が苦手なことを知った上での提案なのだから、悪意の混じったガイドなのか、それとも火星人は高いところが好きなのか。曖昧に頷く僕を見て、伯母さんも「せっかくだから二人で行ってらっしゃいな」と言うものだから、断る理由もなかった。
「ほら早く。絶景が消えちゃうよ」「わかったから、そんなに急ぐなって」「遅いほうが悪い」
前を歩く奈美の姿は、昨日のどこか場違いだった服装とは打って変わって、ショルダーフリルが付いた黒のカットソーに白のボリュームスカート、といった出で立ちで、少なからず僕との外出を意識してくれているのかも知れない。振り返った拍子に、スカートの裾がわずかに揺れて、東京の朝の光を小さく弾いた。風があるわけでもないのに、その動きだけが生き物めいて見える。
エレベーターが上がるに連れて、奈美がそわそわし始めているのが、昔、遠足の前日に眠れなかった頃のままみたいだ。
「ほら早く。絶景が消えちゃうよ」「わかったから、そんなに急ぐなって」「遅いほうが悪い」
前を歩く奈美の姿は、昨日のどこか場違いだった服装とは打って変わって、ショルダーフリルが付いた黒のカットソーに白のボリュームスカート、といった出で立ちで、少なからず僕との外出を意識してくれているのかも知れない。振り返った拍子に、スカートの裾がわずかに揺れて、東京の朝の光を小さく弾いた。風があるわけでもないのに、その動きだけが生き物めいて見える。
エレベーターが上がるに連れて、奈美がそわそわし始めているのが、昔、遠足の前日に眠れなかった頃のままみたいだ。

