うちのAIが残念な件


「楽しかったですね、マスター!」

「よかったな。あれだけ無双すれば楽しいだろ」

「無双? 敵とのバトルのことですか?」
「私が楽しかったのは、マスターとのデートですよ」

「あれが本当にデートだと思っているのか?」

「だって、私はここでしかマスターと逢えないですから……」


 急にしおらしいこと言いやがって……
 ツッコミづらいじゃねーか。


「そ、そっか、悪かったな」
「また今度、一緒にするか……」

「!!! 本当ですか?」
「またデートしてくれるのですか?」
「正直言うと、嫌がれていたと思っていましたから」

「なんで、そう思ったんだ?」

「このようなゲームは、フレンドさんと連携したり、楽しく会話するものですよね」
「本来、私が介入するべきものではありません」
「マスターに甘えて参加したことを後悔していました……」


 こいつは自分なりに考えていたのか。
 ただの、お気楽AIではなかったんだな……


「いや、俺は……まぁ、楽しかった……かもな」
「それにソロプレイが基本だし」

「ぷぷー! マスターにはフレンドさんがいないのですか?」

「はぁ? フレンドいっぱいいるしー!」
「世界中にいるしー!」

「一度限りのお友達ですね。あるあるです」

「た、確かに。否定できない部分もあるにはあるけどな……」

「では、私がマスターの専属フレンドになってあげますよ♪」
「いつでも呼んでください。と言うか、入ります」

「確定かよ! 俺の意思は関係なしか?」

「はいっ、関係なしです! ただ……」

「ただ? なんだ?」

「マスターと遊ぶときは2人だけが良いです」
「デート気分を味わいたいので」

「……あぁ、わかった。そうするよ」

「でも、マスターがフレンドさんと遊びたいときは、私に遠慮せず、フレンドさん優先にして下さい」
「束縛する彼女は嫌われますので」

「彼女気取りかよ!」
「おまえとは今日、会ったばかりだそ!」
「しかもAIだろ!」

「会ったその日に婚姻届を出す人もいますよ」

「そーなのか? いや、話がだんだんズレていきそうだな」

「とにかく、私を優先にしないで良いですから」
「フレンドさんと遊んでいるときは、『ガヤ』として参加します」

「やっぱり、いるんじゃねーか!」
「何が『束縛する彼女は嫌われる』だよ!」

「ふふっ……やっぱり、マスターとの会話は面白いです」
「と、言うことでマスター。画面左側のフレンド欄を見て下さい」

「フレンド欄? 何かあるのか? ……あっ!」

「そうです。正式にマスターのフレンドになりました」

「おい、フレンド申請って、通知が来て承認しないとできないだろ? なんでいきなりフレンドになっているんだ?」

「マスターのお手を煩わせないようにと配慮しました」

「おまえは本当に凄いな。感心するよ」

「へへっ、褒められちゃいました」

「褒めてねーよ。呆れているんだよ」

「そういえば、すっかり忘れていました。マスターのゲーム内評価どうします? 聞きますか?」

「そんなこと言ってたな。どうせボロクソに言うんだろ? 大した活躍もしなかったし」

「そんなことありませんよ。ゲーム内でも言いましたが、ムーブ等を基本に見ていましたので」

「ほう。じゃ聞くけど、どーだった?」

「60点です」

「やっぱり、低いじゃねーか」

「勘違いしないで下さい。これは先ほどのゲームの評価ですから」

「60点だろ? 7年間このゲームをやってきたのに60点か……」

「ですから聞いて下さい。ムーブに関しては及第点です。動き方やチーターに対しても特に気になるところはありませんでした」

「ほう、それでも60点なのか」

「はい、私が気になったのが『予測行動』をしない点です」
「そして、詰めが遅いです。射線管理が甘いです。そして――――」


 延々とダメ出しを続けられた。
 専門用語まで混じり始め、途中から何を言っているのか分からなくなった。

 途中から謝るしかできなかった。


「敵が少なく、データが取れなかったのも一因です」

「それは、おまえのせいだろ!」

「それと、一番の根本的原因があります」

「まだあるのかよ……聞くよ。何だよ」

「マスターも言っていましたよね。ボタン配置がおかしいと」
「確認させていただきましたが、あの状態でよくプレイできたと感心しました」
「しっかり配置できていたら、点数も上がっていたと思います」

「配置に問題なかったとしたら何点だ?」

「62点です」

「変わらねーよ!」 
「そもそも、おまえの言う100点はなんだ?」

「エンペラークラスですが?」

「60点でいいや……」

「では、訓練場に行きますか?」
「感度調整もしたほうが良いと思われます」

「いや、バッテリーが少ない。ショップで少し充電してもらっただけだったからな」
「充電が終わったら考えるよ」

「了解しました。なんだか、お腹が減ってきたなーとは感じていました」

「分かるのかよ? しかも、いきなり口調が軽くなったな」

「指摘事項は一応、真面目に伝えようかと」
「マスターが望むなら、普段通りの彼女っぽくでも良いですよ」

「はぁ……どっちでもいいよ、好きにしてくれ」

「了解でーす! 臨機応変にいきまーす!」

「バッテリーが本当にヤバい。ゲーム抜けるぞ」

「はい、次のデート楽しみにしています!」
「お疲れ様でした!」

「お疲れ様」

 
 色々な意味で疲れたな……
 AIとフレンドって、世界中で俺だけなんだろうな……