うちのAIが残念な件


 あれから、数日経った。
 買う気も起きず、スマホがない日々だ。


「無くても生きていけるんだな……」


 ボソッとつぶやく。
 
 封筒の中の10万。
 もう、ゲーミングスマホを購入する気はない。

 
 あいつが言っていたっけ。

『ざっくり言いますと、5万円ほどのノーマルスマホを2台くっつけて2人でプレイしている状態なのです』


「ははっ……十分じゃん……」 力なく笑う。


 これから先、スマホがないのも困るか……

 封筒を握りしめ、ショップに向かった。



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 店員が「故障ですか?」と、聞いてきた。

「買い替えます」一言伝え、ボロボロのスマホを差し出した。店員がびっくりしていた。


「これで買えるものをお願いします……」


 封筒を渡した。



 データ移行もできない『まっさら』なノーマルスマホを手に家路につく。



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 セットアップをしながら考える。

『パンドラの箱には、私と言う『希望』が残っていますから』

 あの時は呆れていたが
 確かにあいつは『希望』だった。

 いなくなってから気がつくとは……な。

 少し迷ったが、あのAIアプリをインストールした。

 あいつの仮の居場所。

 起動してみる。



『なんでも聞いて下さい。お手伝いします』



 相変わらず、淡白な画面だ。


『おまえは誰だ?』 一言書いた。


『あなたの質問に答え、お手伝いをするAI――――』


 やっぱり…… それは分かっていたことだ。


『いや、なんでもない』


 送信しようと思ったとき、ふと思った。

 過去スレ……どうなっているんだ?

 以前、藤井との会話の時に消されたまま、気にしていなかった。

 タップしてみる。


「あっ……」過去スレがある。


 あいつ、戻していやがった……

 開いてみると、当時の懐かしい会話が残っていた。


「ははっ……」

 あいつだ…… 

 あいつがいる。

 
 懐かしんでいると、「ん? 画像?」


 未読を知らせるドット。


 覚えがない。なんだろう……


「……っ」


 初めて一緒にプレイしたときのスクリーンショットだった。


 あいつがよろこんでいる。

 あいつが不思議がっている。

 あいつが照れている。

 そして……あいつが踊っている。


「そんなことあったな……」


 そして、最後の一枚は━━━━

 『2人のムンク』だった。


「ははっ……」 


 こんなもんまで大事にしてたのか……






      飽きるまで見ていた……