あの日の記憶 希望の未来

今日も、あの日の夢を見ていた。高校の制服に着替え一階に降りると両親が朝食の準備をしていた。「おはよう。」
「大輝、おはよう。」朝食を食べている途中、母さんがこんなことを言った。「そういえば、果穂が土曜日に恋人を紹介するみたいよ。」「え、姉貴が?」ちなみに俺の家族は
保護観察官(注…犯罪や非行を犯した人の社会復帰のために助言や監督を行う国家公務員のこと)を勤める両親と三才年上の研究者を目指す大学生の姉の3人だ。姉はク−ルな性格で色恋沙汰に興味がないと思っていたから少し驚いた。父さんも「あいつも彼氏ができたんだなぁ…。」としみじみした口調で言っている。学校に行く準備が整うと仏壇の前に行き手を合わせた。仏壇には俺と姉の実の両親の明るい
笑顔が写っている写真がある。どういうことかという7年前の12月10日 俺が10歳、姉が13歳のときに飲酒運転の車に撥ねられ死亡した。いや、殺されたと言うべきか。2人とも陽気な性格だった。つまり今一緒に暮らしている両親は義理の親だ。犯人は富沢正一という市役所職員の男で逮捕された1ヶ月後に拘置所で心臓発作で死んだ。その後、埼玉から今の養父母が住んでいる神奈川に引き取られた。あの男だけでなくその妻子もずっと恨んでいる。この体験から世間の
犯罪者たちに強い憎しみや怒りを感じ、刑務官を志すようになった。そのために中1から部活で柔道を続けている。学校に行く途中2人の親友に出会った。