コンビニに寄って、アイスを買った。
駐車場の縁石に座って、六人で食べた。蓮司が「行儀悪いぞ」と言いながら自分も座っていた。目の前の県道を車がときどき通り過ぎていく。アスファルトの匂いと、溶けかけたアイスの甘い匂いが混ざっている。縁石のコンクリートが尻の下で焼けるように熱い。日なたに出した腕の肌がじりじりと痛んで、三十秒もしないうちにアイスの棒から甘い水が手首まで垂れてきた。
「ゆーて、まだ夏半分以上あるしな」
陽翔がアイスの棒を咥えたまま言った。
「何やっても許される期間だろ、夏休みって」
陽翔は続けた。蓮司が「許されるわけないだろ」と返し、湊が「非行は許されないです」と真面目な顔で返して、笑いが起きた。
「明日の企画、ガチで怖かったらどうする?」
陽翔が聞いた。旭は「ガチ死ぬ」、湊は「泣きます」と即答した。
「冬馬は?」と陽翔が振る。
冬馬は少し考えるふりをして、「逃げる」と答えた。
「朔夜は?」と陽翔が続ける。
朔夜はアイスを食べながら、少し間を置いて答えた。
「俺も逃げる」
旭が「出た出た」と笑い、陽翔が「お前ら本当一蓮托生だな」とカメラを向けた。朔夜は少しムッとしてレンズを手で塞いだ。
冬馬は朔夜をかばいたかったが、その光景を見て思わず笑ってしまっていた。
笑い声がうるさくて、日差しが眩しくて、アスファルトの熱気が靴の底から伝わってきて、誰かのスマホからくだらない音楽が流れていて。それで全部。ただの男子高校生たちの夏休みの午後。退屈で、くだらなくて、でもだからこそ大切だった。
「じゃあ明日な。昼過ぎに学校集合」
陽翔がそう宣言して解散になった。
自転車を押して帰る途中、冬馬は空を見上げた。夕焼けにはまだ早い、白っぽい午後の空。太陽は傾き始めているのに熱だけは衰えず、影が長くなった分だけ地面から蒸し返しが強くなっていた。まだ夏の途中。何もかもがこのまま続くような、そんな風に思える季節。
隣を歩く旭が「明日楽しみだな」と笑って手を振り、交差点で別れた。湊は途中まで冬馬と同じ方向で、別れ際に「冬馬先輩、明日よろしくお願いします」と丁寧に頭を下げた。まだ入ったばかりの後輩は、先輩への敬意と懐きを隠さない。冬馬は「気をつけて帰ってね」と返した。鞄の中のペットボトルが、自転車の振動に合わせてカラカラと音を立てて揺れていた。
