午後。蓮司は警察署に行った。
グループチャットに蓮司から連絡が来たのは、日が落ちかけてからだった。
「警察に相談した。不法侵入の件は一旦置いて、失踪届の方向で動いてくれるらしい。陽翔の家族にも連絡済み。明日また話がある」
旭が「了解っす」と返した。
朔夜が「ありがとうございます」と送った。
冬馬が既読だけつけた。
湊は個別で蓮司にメッセージした。
「蓮司先輩、今日はありがとうございました。怖かったけど、先輩がいてくれて安心しました」
少し間があって、蓮司から個別に返信があった。
「気にするな。何かあったら、すぐ俺に連絡しろ。いつでもいい」
湊はそのメッセージをしばらく見つめて、スマホを胸の上に置いた。自室のベッドに横になっている。窓の外は夕焼けに染まりかけていて、責め立ててくるように感じていた蝉の声が少しだけ弱くなっていた。
怖かった。旧校舎の空気、消えた水溜まり、いなくなった陽翔。全部が怖かった。でも蓮司の「すぐ俺に連絡しろ」という言葉が、お守りみたいに胸の上にあった。
明日、蓮司先輩に会ったらちゃんとお礼を言おう。今日は言えなかったから。直接、目を見て。
