「でも、そんな魔法の力を持った魔法都市がどうして滅びたんだろう? これだけ大きな都市だし、むしろここがこの国の中心になっていてもおかしくなさそうだけれどな」
「その辺りはまだわかってないのじゃよ……。ここよりも奥の方の損傷が激しくなっているし、もしかするとそこで何らかの戦闘用魔法の実験に失敗したか、この都市を滅ぼせるような災害級の魔物が現れた説が有力なようじゃな」
……前世でも化学兵器の実験で大変なことになった事件もあったことだし、どこの世界も通る歴史は一緒のようだ。
あるいは災害級の魔物か。この世界にはそんなにヤバい魔物もいるのかよ……。
「魔法の研究も楽しいが、その辺りの歴史の謎を解き明かすのも楽しいものじゃぞ。ほれ、ここにもあるのじゃが、マリスラで使われていた文字が残っているじゃろ。儂らはそのままマリスラ語と呼んでおるがのう」
タルムさんが門の文字を指差す。確かにこの文字は普段この辺りの国で使用されている共通語とは異なる文字であった。
「……ふ~む、見たところこの辺りは数字のように見える。年号的な感じなのかな」
「なっ! お、お主、マリスラ語が読めるのか!」
「いや、完全に読めるわけじゃないぞ。ただ、いろんな場所を旅してきて、こういった見知らぬ国の文字を見てきたことが多いからな。これに似たような文字を見たことがあって、なんとなく法則が分かるんだよ」
これについては半分本当で半分嘘だ。
前世では外国へ行く時は簡単な言葉や文字なんかは覚えてその国を訪れた。普通の人以上に多くの言語や文字に触れてきた経験はある。そのため新しい国の言語や文字を学ぶ時のある程度の下地はできていて、普通の人よりも理解は早いし、法則を見つけるのも早いと思う。
国と国との移動時間が多いため、その間は言語や文字を勉強していた。ただ、アラビア語などの文字の形が複雑な文字は本当に覚えることができなかったし、初見かつ日本語に変換するスマホもないこの世界でそんなことはできない。
だが、今の俺には女神からもらった言語理解スキルがある。このスキルによって、俺には初見の文字も頭の中で日本語として理解ができているわけだ。さすがに初めて会ったばかりのタルムさんの前でどんな言葉もすべてわかるとは言わず、少しだけ分かるという形で伝えることにした。
いろいろとこの遺跡を案内してくれていることだし、お礼に少しくらい何か解読のヒントになることを教えられればいいんだけれどな。
「……う~んこの文字が1に該当するのかな。もう少し他の文字の法則が分かればいいんだが」
「ちょっ、ちょっと待っておれ!」
「なっ! タルムさんは収納魔法が使えるのか……」
タルムさんの目の前に突然黒い渦が現れた。そしてその黒い渦に右腕を突っ込むと、タルムさんの右腕が消失したように見える。タルムさんも驚いているが、俺もだいぶ驚いてしまった。
これは収納魔法といって、俺のバックパックと同じで異空間に物を収納しておくことができる魔法だ。魔道具と違って媒介となる物がないため、かなり高位な魔法使いしか使えない魔法だと聞いている。
今は隠居したと言っていたが、もしかしてかなり有名な魔法使いなんじゃないのか? 道理で杖以外の荷物を持っていないわけだよ。
「ガクト殿、ちょっとこれを見てくれ。これは儂らがこれまでに研究をして解読できた文字じゃ。これを見ればもっと詳しくわからんかのう?」
そう言いながらタルムさんは黒い渦から一冊の本を取り出した。その本にはマリスラ語に対する共通語が記載されており、辞書のようになっている。
「おお、これはありがたいな。……ふむ、少し待っていてくれ」
タルムさんから受け取った本を見ながら解読するフリをする。実際のところ俺にはこの門に書いてあるマリスラ語がそのまま読めるのだが、うまく辞書と照らし合わせているように見せた。
この言語理解スキルも不思議だよな。本来数字は2進法や10進法に分かれており、そもそも0がない別の数え方もあるのだが、全部ちゃんと理解ができるし、こうやってタルムさんに伝えることもできる。まあ、できるのだから深く考える必要はないか。
それにしても、超健康スキルと瞬間転移スキルも十分にチートなスキルだが、この言語理解スキルも十分過ぎるほどチートな能力である。このスキルがあればこうやってまだ未解読の文字を解読することができるし、通訳も可能で生活に困ることはないものな。
「その辺りはまだわかってないのじゃよ……。ここよりも奥の方の損傷が激しくなっているし、もしかするとそこで何らかの戦闘用魔法の実験に失敗したか、この都市を滅ぼせるような災害級の魔物が現れた説が有力なようじゃな」
……前世でも化学兵器の実験で大変なことになった事件もあったことだし、どこの世界も通る歴史は一緒のようだ。
あるいは災害級の魔物か。この世界にはそんなにヤバい魔物もいるのかよ……。
「魔法の研究も楽しいが、その辺りの歴史の謎を解き明かすのも楽しいものじゃぞ。ほれ、ここにもあるのじゃが、マリスラで使われていた文字が残っているじゃろ。儂らはそのままマリスラ語と呼んでおるがのう」
タルムさんが門の文字を指差す。確かにこの文字は普段この辺りの国で使用されている共通語とは異なる文字であった。
「……ふ~む、見たところこの辺りは数字のように見える。年号的な感じなのかな」
「なっ! お、お主、マリスラ語が読めるのか!」
「いや、完全に読めるわけじゃないぞ。ただ、いろんな場所を旅してきて、こういった見知らぬ国の文字を見てきたことが多いからな。これに似たような文字を見たことがあって、なんとなく法則が分かるんだよ」
これについては半分本当で半分嘘だ。
前世では外国へ行く時は簡単な言葉や文字なんかは覚えてその国を訪れた。普通の人以上に多くの言語や文字に触れてきた経験はある。そのため新しい国の言語や文字を学ぶ時のある程度の下地はできていて、普通の人よりも理解は早いし、法則を見つけるのも早いと思う。
国と国との移動時間が多いため、その間は言語や文字を勉強していた。ただ、アラビア語などの文字の形が複雑な文字は本当に覚えることができなかったし、初見かつ日本語に変換するスマホもないこの世界でそんなことはできない。
だが、今の俺には女神からもらった言語理解スキルがある。このスキルによって、俺には初見の文字も頭の中で日本語として理解ができているわけだ。さすがに初めて会ったばかりのタルムさんの前でどんな言葉もすべてわかるとは言わず、少しだけ分かるという形で伝えることにした。
いろいろとこの遺跡を案内してくれていることだし、お礼に少しくらい何か解読のヒントになることを教えられればいいんだけれどな。
「……う~んこの文字が1に該当するのかな。もう少し他の文字の法則が分かればいいんだが」
「ちょっ、ちょっと待っておれ!」
「なっ! タルムさんは収納魔法が使えるのか……」
タルムさんの目の前に突然黒い渦が現れた。そしてその黒い渦に右腕を突っ込むと、タルムさんの右腕が消失したように見える。タルムさんも驚いているが、俺もだいぶ驚いてしまった。
これは収納魔法といって、俺のバックパックと同じで異空間に物を収納しておくことができる魔法だ。魔道具と違って媒介となる物がないため、かなり高位な魔法使いしか使えない魔法だと聞いている。
今は隠居したと言っていたが、もしかしてかなり有名な魔法使いなんじゃないのか? 道理で杖以外の荷物を持っていないわけだよ。
「ガクト殿、ちょっとこれを見てくれ。これは儂らがこれまでに研究をして解読できた文字じゃ。これを見ればもっと詳しくわからんかのう?」
そう言いながらタルムさんは黒い渦から一冊の本を取り出した。その本にはマリスラ語に対する共通語が記載されており、辞書のようになっている。
「おお、これはありがたいな。……ふむ、少し待っていてくれ」
タルムさんから受け取った本を見ながら解読するフリをする。実際のところ俺にはこの門に書いてあるマリスラ語がそのまま読めるのだが、うまく辞書と照らし合わせているように見せた。
この言語理解スキルも不思議だよな。本来数字は2進法や10進法に分かれており、そもそも0がない別の数え方もあるのだが、全部ちゃんと理解ができるし、こうやってタルムさんに伝えることもできる。まあ、できるのだから深く考える必要はないか。
それにしても、超健康スキルと瞬間転移スキルも十分にチートなスキルだが、この言語理解スキルも十分過ぎるほどチートな能力である。このスキルがあればこうやってまだ未解読の文字を解読することができるし、通訳も可能で生活に困ることはないものな。

