ショーマは親の目を盗んでこっそり抜け出してきたから、早く戻らなければならないと言い、僕らのことを気にかけながらも帰っていった。
ショーマと別れたあと、僕らは話し合って大井商店へと向かうことにした。
大井商店の店先には「本日の営業は終了しました」の古めかしい札がかかっていた。大井商店は学校の近くにあるコンビニのように二十四時間営業ではないのだ。それでも今は緊急事態だし、この村で唯一頼ることができそうな大人は大井さんくらいだから、こうするしかない。
店じまいをしたあとに押しかけるのは申し訳ないと思いながらも、僕と犬塚はふたりで大井商店の戸を叩いた。
ふたりで戸を叩き続けるうちに、がらりと引き戸が開かれた。訝しげな顔をして外に出てきた大井さんは、
「──おい、いけるか?(方言で大丈夫かという意味)」
挨拶代わりの悪態も嫌味もなく、僕と犬塚を見るなり気遣わしげにそう言った。閉店後に押しかけてきたのに、だ。僕らが事情を説明するよりも先になにかを察した様子で、大井さんは入口の戸を大きくめいっぱいまで開けた。
「ふたりそろってひどい顔色しとんな。……とりあえず中入り」
よっぽど青い顔をしていたのか、絶望的な表情をしていたのか、その両方か。僕らは大井さんに言われるがまま店の中に足を踏み入れた。

