大阪擬人化BL



 今日は南との約束通り、ご飯を奢ってもらう日。もう、なんのお礼のご飯かわからないが。指定された場所は、なんばの裏路地にある隠れ家的なバル。思ってたより洒落てて、しかも予約済み。ちょっとしたデートみたいな雰囲気に、梅谷は微妙に落ち着かない。

「はい、おつかれさーん。とりあえず乾杯しよか」
「……俺、飲まへんゆうたやろ」
「ええやん、たまには。今日はお礼の日やし」

 乾杯を渋々受け入れながらも、梅谷は気になってしょうがない。こうして他愛ない話をしてるだけなのに、やたら視線が合うのだ。しかも、たまにニヤッと笑う顔がなんか腹立つ。

「……南。さっきからなんでそんなジロジロ見てんねん」
「見てへんし……いや、ちょっと見てたかも」
「なんやねん」
「いや、思ったより……ちゃんとしてんなって」
「なんやそれ。俺、なんや思われててん……」

 絶妙な間があく。それを南が唐突な質問でぶち破る。

「なあ、梅谷ってさ、恋愛したらどうなんの?」
「は?」
「いや、ふと気になってん。お前が誰かと付き合ってるとこ、想像つかんから」

 言いながらも、どこか探るような目つき。からかってるような、でもちょっとだけ真剣な顔に、梅谷はグラスの氷をいじる手を止める。

「……そんなん、わからん」
「そっか……なんか、ズルいなお前」
「は?」
「そんなん言われたら、俺が勝手に色々考えてるみたいになるやん」

 梅谷の頬が熱を帯びる。

(なにが『ズルい』やねん。そっちこそ、ズルいわ)

 その後の会話はたいして覚えていなくて。気付けば時間だけが過ぎていき店を出て駅に向かって歩いていた。お酒が入った頬に夜風が心地よくて、どちらからともなく歩幅を合わせてた。

「梅谷~、今日、楽しかったわ」
「……ふーん」
「なにそれ、楽しくなかったん?」
「いや……楽しかったけど」
「……なんやそれ。めっちゃかわいない?」
「はあ!?  ぶっ飛ばすぞ」
「はいはい、照れてる照れてる〜」

 またいつもの調子で笑う南。でも、ふと視線を落としたその笑顔に、梅谷はちょっとだけ……ほんのちょっとだけ、目を逸らせなかった。

To be continued