大阪擬人化BL



 南の部屋は、思ったよりも片付いていた。いや、きっと今日のために片付けたのだろう。
ソファの上のクッションが妙に整っていて、飲み物もちゃんと冷えてる。

「なぁ悠音、緊張してるん?」
「……してへん。お前こそ」
「俺は……ちょっとだけ」

 南が笑う。そのくせ手つきは慣れていて、そっと梅谷の手を取る。ソファに並んで腰を下ろしながら、自然に肩を寄せるように、唇が近づいてきた。触れた瞬間、熱が走る。柔らかくて、あたたかくて、甘かった。

「……ほんま、慣れてんな。こういうの」

 梅谷がぽつりと漏らした言葉に、南が少しだけ驚いた顔をする。

「え、今の……嫉妬?」
「……してへん」
「うわ、してるやん。悠音が俺に嫉妬してる〜。可愛すぎる〜」
「……うっさいわ」

 耳まで真っ赤になった梅谷を見て、南は満足そうに笑った。そしてもう一度、そっとキスを重ねる。今度は長く、深く。唇が離れても、腕はほどけない。

「なぁ、悠音」
「……ん」
「俺のこと『南』って呼ぶの、そろそろやめへん?」
「……は?」
「春馬や。俺の名前、ちゃんと知ってるやろ? 呼んでや」
「……」
「なぁ。あかん? 彼氏に名前呼ばれたいって、普通やん?」
「……お前が普通やないから、違和感あるんやろ」

 そう言いながら梅谷は目をそらした。言いたいのに、言えない。でも、言いたい。沈黙が少しだけ流れたあと、梅谷がぽつりと呟いた。

「は…………春馬」

 小さくて、今にも消えそうな声だった。でも、南にはちゃんと聞こえた。

「……もう一回、言って」
「や、やらん……もうええやろ」
「アカン。絶対もう一回」
「っ……~~~~~っ…………春馬」

 南は思わず、梅谷を抱きしめた。嬉しさがあふれて止まらなかった。

「……俺、悠音のこと、めっちゃ好きやわ」
「……知ってる。うざいくらい伝わってくるわ」

 けれど、その言葉のあとに、梅谷の手がそっと南の背中に回った。心も身体も、少しずつ重なっていく。ふたりにとって初めての夜は、言葉にならないくらい、優しくて、甘くて、そしてちゃんと『愛してる』の気持ちで満ちていた。

To be continued