
「……なぁ、今日ってさ」
ベッドの上で横になったまま、南が天井を見つめながらぽつりと言う。
「何や?」
梅谷はその横で、スマホをいじっていたが、画面から目を離さずに返す。
「いや、俺ら……もう付き合ってるんちゃうん?って思って」
「は?」
聞き返す声に思わず笑いが混じった。南はのそりと体を起こして、隣に座る梅谷の顔を覗き込む。
「いや、キスしたやん。もう一回って言うて、したやん」
「……せやな」
「で、昨日も手繋いだやん」
「……せやな」
「俺……悠音のこと好きやで?」
「……っ!?」
梅谷のスマホの手が止まった。下の名前を呼ばれた瞬間、心臓が跳ねた。
「な、なんやねん、今……呼び方」
「名前で呼んだだけやん。彼氏やし」
「……誰が彼氏や」
「お前や」
あっさり言われて、言い返せずに梅谷は口を閉じた。頬が熱く耳の奥がじんじんする。
「……ちゃんと確認してへんかったな、って思って」
「何を」
「付き合ってください、ってやつ」
「……今さらそんなん、いらんやろ」
「でも、梅谷が安心するんやったら言うで?」
「……アホか、やめろや。今さらやめろや……!」
梅谷は赤くなった顔を隠すように、枕を抱きしめた。南はその横でにやにやしながら、背中に手をまわす。
「なぁ、悠音……」
「……また呼ぶな、そうやって」
「悠音の『彼氏』の特権やろ」
「調子乗んなって……」
そう言いながら、梅谷はその腕にされるがまま身を預ける。重なった体温の中、ふたりはようやく、本当の意味で恋人になった気がしていた。
To be continued

