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 魔導船に乗っている間、僕とナッシュさんは通信用魔導具を使って仕事などしていた。
 スラちゃんも通信用魔導具であれこれ仕事をしているが、実はスラちゃんはクリスの仕事の一部を代行していた。
 シーリアさんもいるけど、やはりスラちゃんの事務能力は高いらしい。
 そんな中、ナッシュさんが僕にある事を頼んできた。

「ケン、悪いが辺境伯様にお土産の手配を頼めるか? 自分からだと中々言い難くて……」

 ナッシュさんが申し訳なさそうに言ってきたけど、そのくらいなら僕は全然気にしない。
 というか、僕も家族のためにお土産を手配しないといけない。
 確か、ヘルナンデス様とルーカス様も妻への配慮は大変だと愚痴をこぼしていたっけ。
 あの時は他人事の様に聞いていたが、いざ自分が当事者になると苦労がとても分かる。
 という事で、僕はハーデス様に二家族分のお土産の手配を通信用魔導具で頼んだのだった。

「間もなく、国境の軍事基地に到着します」

 魔導船は予定通り航行し、無事におやつの時間前に辺境伯領に到着した。
 直ぐに馬車に乗り、辺境伯家の屋敷へと向かった。

「いらっしゃーい!」
「しゃいー!」

 屋敷に到着すると、またまた元気な兄妹の出迎えを受けた。
 新年に会ったばっかりだが、特に妹のマミちゃんの成長が著しい。
 言葉も、少しずつ話せる様になっていた。

「ランディちゃんも元気だった?」
「うん! 僕はいつも元気だよ!」
「げんきー!」

 ランディちゃんだけでなく、マミちゃんもニコニコしながら返事をした。
 元気な兄妹に、僕だけでなくナッシュさんや護衛の兵も思わずニコニコだ。

「じゃあ、案内するよ!」
「するー」

 ランディちゃんとマミちゃんは、僕の手を握って応接室へと向かい出した。
 ナッシュさんやスラちゃん達も、僕達の後をついてきた。

 コンコン。

「お祖父様、ケンお兄ちゃんが来たよー!」
「きたー!」
「おお、そうか。入ってくれ」

 ガチャ。

 部屋の中からハーデス様の声が聞こえ、僕達は応接室の中へと入った。
 応接室には、ハーデス様の他にワーナーさんもいた。

「ハーデス様、ワーナーさん、少しお久しぶりです
「ケン、ナッシュ、よく来た。先ずは座るように」

 ハーデス様に促されて、僕達は席についた。
 ランディちゃんとマミちゃんは、ワーナーさんの隣に移動した。

「新年の時に会っているのに、半年でマミちゃんがとても大きく成長していました。マミちゃんが赤ちゃんの頃から知っているので、とてもビックリしました」
「ははは、ケンはそういうところにも気がつく様になったか。特に、赤ん坊から幼児はあっという間に大きくなる。ケンももう直ぐに父親になるが、日々驚かされることばかりだぞ」

 ハーデス様は、とてもにこやかに返事をした。
 やはりハーデス様としても、孫の成長がとても楽しみなのだろう。
 ここで、ハーデス様がある事を教えてくれた。

「そうそう、土産については既に手配している。先にスラちゃんから連絡を受けていたぞ。どっちにしても、使節団にも土産を渡すからついでに用意しよう」
「「あ、ありがとうございます……」」

 まさかのスラちゃんの早業に、僕もナッシュもかなりビックリした。
 スラちゃんは、僕の横でしてやったりとドヤ顔だ。

「使節団は、我が屋敷にも逗留する。講和会議レベルの警戒態勢を取っている」
「ありがとうございます。でも、ビクトリア様がこの屋敷に滞在した事があるのはいいことですね」
「それは、私もそう思う。部屋も用意済みだし、いつでも大丈夫だ」

 帝国からの使節団は、辺境伯家に行き帰りでそれぞれ一泊する。
 ハーデス様も、もうバッチリだと余裕の表情だ。

「僕がね、みんなを出迎えるんだよ!」
「マミも!」

 出迎え役は任せてと、ランディちゃんとマミちゃんは元気よく手を上げた。
 きっと、可愛らしい出迎えに帝国からの使節団もほっこりとするはずだ。
 特に、ビクトリア様はランディちゃん達の出迎えに喜びそうだ。
 その後は、簡単に明日のスケジュールを話し合った。
 僕達は朝から国境へ行き、帝国からの使節団を待ち受ける。
 予定だとおやつの時間頃に使節団が国境に到着し、夕方には辺境伯家の屋敷に到着する。

「とはいえ、この辺のスケジュールはズレる事も考えられる。ある程度余裕を持って動くように」

 ハーデス様からありがたい忠告を受け、僕達もスケジュールに余裕を持つことにした。
 これで話し合いは終わり、客室に案内……

「ケンお兄ちゃん、あそぼー!」
「あそぼー」

 元気いっぱいな兄妹に、キラキラした目で誘われてしまった。
 ハーデス様とワーナーさんも思わず苦笑していたが、どうやら僕と遊ぶのを楽しみに待っていたみたいだ。
 スラちゃんやピーちゃん達も相手をしてくれる事になり、僕は夕食の時間まで元気な兄妹の相手をしていたのだった。