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 実際に治療が始まると、大教会内は意外と落ち着いていた。

「「「「「こんにちはー!」」」」」

 というのも、メアリーさんとシーリアさんの存在以上に子ども達の存在があった。
 ちびっ子達がニコニコしながら治療をしている姿に、町の人も思わずほっこりしていた。
 更に、子ども達の前で罵声を言えないというのもあるのだろう。
 何かを言おうとして、チラリとちびっ子達の方を見て帰っていく人も数名いた。
 そんな中、僕に質問してくる人もいた。

「【蒼の治癒師】様は、今回の事件をどう思われていますか?」

 言い方に差はあれど、こんな質問を僕に寄せる人がそこそこの数いたのだ。
 流石にちびっ子達にこんな質問はできず、逆にメアリーさんやシーリアさんに質問できない人が一番言いやすい僕に質問してきたのだ。

「僕はあの事件を指揮しましたので、実際に保護された子ども達のホッとした表情も見ています。事件の首謀者は確かに碌でもない人でしたが、教会の人が全員悪いわけではありません。今は、保護された子ども達の心のケアに最善を尽くす事を最優先で行っています」
「【蒼の治癒師】様は、被害者のケアを優先しているのですね。とても、【蒼の治癒師】様らしい答えですね」

 僕の答えを聞き、質問してきた人は大抵納得してくれた。
 実は、先日も保護された子ども達に会って治療をしていた。
 まだ心の治療には時間がかかりそうなので、焦らずにゆっくりと進めないといけない。
 それでも、子ども達に少し笑顔が戻ってきたのは良かったと思った。
 アリシアさんも、僕の答えを聞いてウンウンと頷いていた。
 町の人の話を聞いて、やはりある程度正しい情報を流す必要があるのだと感じた。

「成程のう。やはり、情報がないので推測で物事を考えておるのか。それなら、話せる範囲の情報は流しても問題はないじゃろう」

 たまたまサイオン枢機卿様が様子を見に来てくれたので、町の人と話した感想を伝えた。
 勿論、偉い人達に確認してからどの程度話せるのかを決めた。
 そして、話を広めるのにとても強力な援軍が現れた。

「あら、ケン君じゃない。今日は治療のお手伝いかしら?」

 噂話が大好きな、奉仕活動でよく会う商店街のおばちゃん達がやってきたのです。
 ちょうど良かったので、今日の奉仕活動の治療の件や事件の事も話せる範囲で説明した。

「相変わらず、ケン君は偉いわね。そういう事だったら、おばちゃんに任せておきな」
「「「宜しくお願いします」」」
「「「「「お願いしまーす!」」」」」

 商店街のおばちゃん達は、自信満々に胸を叩いていた。
 どの世界でも、おばちゃんの情報網は物凄い。
 メアリーさん、シーリアさん、アリシアさんも、おばちゃん達に頭を下げた。
 勿論、おばちゃん達の腰や肩などの治療も行った。
 その後も、奉仕活動でよく会う人達に事情を説明した。
 みんな、快く話を広めてくれる事になった。

「いやあ、こういう時にまさかケン君の人脈が生きるとはね」
「ケン君が、小さい頃から一生懸命治療していたからね。だから、町の人達も快く引き受けてくれたのよ」
「「「「「すごーい!」」」」」

 シーリアさんとメアリーさんは、僕の事を知っている人の多さにとても驚いた。
 でも、シーリアさんは軍人に知り合いが多いし、メアリーさんも貴族の人に知り合いが多い。
 それぞれの知り合いの分野が違うだけだと思うけどな。

「【蒼の治癒師】様の人徳が物凄いのだと、改めて感じました。町の人も、みんな【蒼の治癒師】様だからだと快く引き受けています」

 アリシアさんが謎の感動をしているけど、僕としてはおばちゃん達の噂の伝達スピードに期待している面もある。
 こんな感じで、殆どトラブルもなく奉仕活動は進んでいったのだった。

「結果的に、ケン君がいてくれて良かった。数日もすれば、町に情報が行き渡るだろう」

 サイオン枢機卿様も、夕方になるとようやく笑顔を見せてくれた。
 これで、余計な騒音を耳にすることなく自分の仕事に集中できるはずだ。
 問題を起こした聖職者は既に教会を破門になっており、不正な行為で得た金品は全て押収した。
 裁判を受ける事になっており、現在は厳しい取り調べの最中だ。
 国としても、この件は法に則って厳しく対応するという。

「「「「「「じゃーねー」」」」」」
「「「バイバーイ!」」」

 一足先に王城に戻るアリアちゃん達に、アイちゃん達も元気よく手を振った。
 みんな治療の良い経験になったし、本人達も充実感があった。
 さてさて、僕達もそろそろ屋敷に帰りましょう。
 そして、数日後には商店街のおばちゃんの情報網で一気に正しい情報が広まった。
 併せて、【蒼の治癒師】様は心が優しいという謎の噂も広まっていた。
 結果として、何故か僕の株が上がっていた。
 偉い人達は、何も問題ないと満足そうにしていたのだった。