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 結果的にライアンちゃんのスライム探しが早めに終わったのもあり、軍の施設に行く準備も余裕を持って終えた。
 僕は宮廷魔導師の服に、クリスもいつもの軍服に着替えた。
 スラちゃん達も準備万端で、一緒に客室を出た。

「では、軍の施設へと向かおう」

 皇帝陛下も軍の施設に向かうらしく、僕達と同じ馬車に乗ることになった。
 スラちゃん達も、皇帝陛下も守るぞとやる気になっていた。

「ライアンのわがままに付き合ってくれ、感謝する。しかも、かなり有益なスライムみたいだな」

 軍の施設に向かう馬車内で、皇帝陛下が僕にお礼を言ってきた。
 別にあのくらいならいつもアリアちゃん達に付き合っているし、僕もクリスもスラちゃんも全く問題なかった。
 それに、スラちゃんも直ぐにスライムを見つける事ができると予測していたみたいだ。

 パカパカパカ。

 僕達を乗せた馬車は、お城を出発して直ぐに軍の施設に到着した。
 厳重な警戒の中で馬車を降り、応接室がある建物の中に入った。

「陛下、お待ちしておりました」
「出迎え、ご苦労」

 応接室には、ルーベンス大将以下軍の幹部が待っており、皇帝陛下に握手をすると僕達にも握手をした。
 そして、応接室のドアが閉まると、皇帝陛下はスラちゃん達にある指示を下した。

「三十分で可能な範囲でよい。不審な兵を捕らえるように」

 スラちゃん達は、ビシッと皇帝陛下に敬礼して応接室を後にした。
 つまり、この応接室にいるのは三十分程だということだ。

「それでは、この後の流れを説明いたします。グラウンドにて謁見式を行い、その後は各施設をご案内します。その後、軍幹部との意見交換を行います」
「うむ」

 ルーベンス大将がスケジュールを説明したが、予定では午前中で全ての対応が終わるという。
 ヘルナンデス様とルーカス様も、特に問題ないと頷いていた。
 謁見式も大掛かりな施設を作るのではなく、テント、机、椅子の簡易的な作りだ。
 僕達は、特に問題ないと思っていた。

「各施設見学では、訓練場も含まれます。王国の使者に挑まない様にと、兵に厳命しております」
「とはいえ、血気盛んなものは挑もうとするだろう。悪意のあるもの程、下手に尻尾を出さない様にと慎重になるだろう」

 皇帝陛下も、何かあるのではと予想していた。
 単に力比べをする程度なら、僕は問題ないと思うけどなあ。
 その後も色々話をしていき、出発五分前となった。
 このタイミングで、調査を行っていたスラちゃん達が応接室に戻ってきた。
 かなりの成果があったらしく、スラスラと紙に捕縛した帝国兵の名前と罪状を書いた。

 スッ。

「成程、だいたいは予想通りの面子だな」

 皇帝陛下は、スラちゃんから受け取った紙に書かれた内容を見て、直ぐにレーベンス様に渡した。
 何人か予想外の人物がいたみたいだが、それは帝国軍に対応をお任せだ。
 すると、スラちゃんがある事を教えてくれた。

 フリフリ。

「あの、ニックという魔法兵が僕に対戦をしようと意気込んでいるそうです。罪状はないので、スラちゃん達もそのままにしていたそうです」
「あの若者か。時間次第だが、場合によっては対戦を許可する。有望なものだから、殺すのだけは勘弁だ」

 帝国の魔法兵って、いったいどんな人なのだろうか。
 国境での戦いで帝国兵の魔法兵を捕まえた事があったが、攻撃に特化した人が多かった。
 僕に戦いを挑もうとしているのだから、きっと攻撃的なタイプのはずだ。
 魔法使いと対戦するのって、実は久しぶりな気もする。

「それでは、お時間になりましたのでグラウンドへご案内します」
「うむ」

 案内係の兵を先頭に、僕達は応接室を後にした。
 建物を出ると、二十人くらいの帝国兵が拘束されて連行されているのを目撃した。
 全員、何でバレたのかと反省の色はなかった。
 そんな拘束された帝国兵に、皇帝陛下が歩み寄った。

「貴様ら、よくも私腹を肥やしていたな。偉い立場なら、何でもしてもいいのか? 綱紀粛正を通達したのだが、貴様らには全く響かなかった様だ」
「「「「「へ、陛下!?」」」」」

 捕まった帝国兵は、何でここに皇帝陛下がいるのかという驚愕の表情を見せていた。
 あの、普通に軍の予定を確認していれば分かるのではないでしょうか。

「前々から怪しいと思っていたが、詳しい罪状が判明した。厳しい尋問が待っていると、覚悟せよ!」
「「「「「うぐっ……」」」」」

 捕らえられた帝国兵は、皇帝陛下の厳しい言葉の前にガックリと項垂れた。
 この様子を見るだけでも、帝国兵が罪を認めたと直ぐに分かった。
 とはいえ、許されることでは無い。
 厳しい捜査と聴取を受ける為に、帝国兵は連行されていった。

「待たせたな。それでは、グラウンドに向かおう」

 皇帝陛下は、何事もなかったかの様に僕達のところに戻ってきた。
 きっと、腹に据えかねるものがあったのにも関わらず、とても真面目な表情だ。
 この強い意志を持っているからこそ、皇帝陛下が帝国の改革を推し進められるのだと思ったのだった。