【7月24日発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます

「休憩時間だったのに、わざわざ孫の相手をしてもらったみたいだな。二人とも、お兄ちゃんとお姉ちゃんに遊んでもらったと喜んでいた」
「ケン君は、相変わらずランディと仲がいいね。今後ともよろしく頼むよ」

 夕食前に改めてハーデス様を交えての会議を行うが、ハーデス様と嫡男のワーナーさんはニコリとしながら僕とクリスに子ども達と遊んだことでお礼を言った。
 僕とクリス、それにスラちゃん達は普段からアイちゃん達やアリアちゃん達と接する機会が多かった。
 なので、小さい子と遊ぶのは僕達にとってはお手の物だ。

「さて、先に話を進めてしまおう。きっと、その小さい子達が一緒に夕食を食べたいと待っているはずだ」
「間違いないですね。先程待っていると言っていましたから」

 ハーデス様とワーナーさんが、にこやかな感じで話を始めた。
 僕達も、改めて姿勢を正します。

「帝国側も、治安維持に腐心している。この情報は、恐らくヘルナンデス様達もお持ちかと。ただ、王国と比較し不安分子の取り締まりがまだ追いついていない」

 ハーデス様が話してくれた情報は、僕も事前に聞いていた。
 レーベンス大将達帝国軍が頑張っているらしいが、まだ前皇太后の意思を引き継いでいる者がいるという。
 過激派の存在は、僕達も気を付けないと。

「恐らく、帝国内の移動中は帝国軍の威信をかけて護衛をすると思われます。しかし、帝国軍以外の存在が絡む場面では、警戒をしておくことに越したことはないかと」

 ハーデス様の言う通り、僕達もそこは気を付けようと打ち合わせをしていた。
 出迎え時、到着の謁見時、歓迎パーティー、ビクトリア様の結婚式、出発時など、帝国に着いたらずっと警戒する事になりそうだ。

「滞在は四日間だが、日程が急遽変更になる可能性もある。その辺は、臨機応変に対応しなければならない。場合によっては、危険を犯す者を倒さなければならない事もある。だが、基本的に護衛が対応する。自らの手で相手を倒すのは、最後の最後だ」

 過去に帝国へ行ったことがあるヘルナンデス様が、訪問団について色々と教えてくれた。
 勿論王国側も護衛がいるが、人数制限はかけられている。
 幸いなことに、国境で一緒に帝国軍と戦った僕も良く知っている人が護衛についてくる予定だ。

「あと、追加予定として高確率であるのが、ケン君による奉仕活動だ。帝国内でも【蒼の治癒師】様の二つ名は非常に有名だという。ケン君がどんな人であれ目の前の人を治療するのが広まれば、王国にとっても帝国にとってもとても良いことだ」

 奉仕活動だったら、僕とスラちゃん達はどんな状況でも全力で行う。
 ルーカス様の言う通り奉仕活動が日程に追加になったとしても、僕は全力で頑張るだけだ。

「我々は、帝国の城に泊まる。護衛は就くが、スラちゃん達の勘の良さを頼りにする事もある」

 スラちゃん達は、ヘルナンデス様にふるふると震えながら返事をした。
 スラちゃん達はもの凄く勘が良いし、危険察知はお手の物だ。
 食事なども気を付け、必ずスラちゃん達の確認したものを食べるようになった。
 その後も、マナー関係の事も色々と話した。

「クリスは、特にマナー関係に気をつけるように。使節団唯一の女性だけでなく、ケンの妻でもある。クリスの行動一つで、ケンの評価が下がることもあるぞ」
「か、畏まりました」

 ハーデス様は、クリスにかなり注意していた。
 とはいえ、クリスなら下手な事はしないと思っていた。

「では、この辺にしよう。そろそろ、お腹を空かせている者が待ちきれなくなりそうだ」

 話し合いはかなり白熱し、気がつけば良い時間となっていた。
 きっとランディちゃんとマミちゃんも、お腹を空かせて待っているはずだ。
 僕達は、急いで応接室から食堂へと移動した。

「遅いよー」
「よー」

 食堂に向かうと、腹ペコな兄妹がブーブーと文句を言いながら僕達を出迎えた。
 母親であるエリさんも、兄妹のふくれっ面にちょっと苦笑していた。
 僕達も、急いで指定された席に座った。

「ははは、すまんな。では、王国と帝国の友好が進展することを祈願して乾杯とする。乾杯!」
「「かんぱーい!」」

 ハーデス様の音頭で、さっそく夕食が始まった。
 僕達の歓迎もあってか、中々豪華な夕食だ。
 なお、ヘルナンデス様とルーカス様はワインを飲んでいるが、僕とクリスはジュースだ。
 その、お酒ってまだ慣れないんだよなあ。

「ケンお兄ちゃん、お肉美味しいね」
「ねー」

 もりもりとお肉を食べる兄妹も、満面の笑みで僕に話しかけてきた。
 僕達まで思わず笑顔になりそうなほど、とても嬉しそうだ。
 そんな中、僕はあることが気になった。

「エリさん、講和会議の際に保護した子ども達はどうなっていますか?」
「ケン君は、細かいところにも気が回るのね。教会の孤児院の拡張が終わったので、昨年末に引っ越したのよ。勿論、定期的に様子を見に行っているわよ」

 アイちゃん達は僕の屋敷で保護しているが、辺境伯家で保護した孤児はかなりの人数だ。
 やはり、適切な環境で生育した方がいいのかもしれない。

「僕達が保護した二人も、とっても元気に過ごしています。勉強も、とっても頑張っていますよ」
「ケン君は、もう子育てに慣れているのね。どんな環境の子どもであっても、元気に育って欲しいと思っているわ」
「「もぐもぐもぐ」」

 エリさんは、一生懸命にお肉を食べる兄妹の頭を優しく撫でた。
 他の人たちも、エリさんの意見に深く頷いていた。
 小さい子が大きくなった時、この国ももっと良くなればと思ったのだった。