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 年末の奉仕活動の日となり、僕とクリスはアイちゃん達と共に大教会へと向かった。
 王家の方々も朝イチで来ていて、顔見知りの貴族令嬢とも準備をしながら話をしていた。
 ところが、治療を開始する前に少しトラブルが起きてしまったのだ。

 ダダダ。

「おお、ケンいたか。スィーパーが産気づいた!」
「はあはあはあ……」

 何と、ユータが苦しそうにしているスィーパーを抱きながら大教会に駆け込んできたのだ。
 でも、大教会は治療体制が整っているので心配ない。

 シュイン、ぴかー!

「治療しましたが、直ぐに治療施設に運ばないと」
「そうね、そちらの方がいいわね」

 王太后様も、直ぐにシスターにあれこれ指示を出した。
 スラちゃんも、出産のサポートは任せろと張り切っていた。

「助産師もおるから大丈夫じゃ。こっちに運ぶのじゃ」
「おう!」

 サイオン枢機卿の案内で、ユータはスィーパーを抱きながら治療施設へと向かった。
 ちびっ子達も、心配そうに走っていった方向を見ていた。

「スラちゃんがいるから大丈夫よ。私達は、私達のやるべき仕事をやりましょうね」
「「「「「はい!」」」」」

 王太后様がちびっ子達の気持ちを切り替えてくれ、奉仕活動の準備を再開した。
 既に町の人が列を作っているし、僕も頑張らないと。
 スラちゃんが不在の分、ミカンちゃんやカレーちゃんが不審者の摘発を頑張ると張り切っていた。
 リーフちゃんとアクアちゃんは、リンゴちゃんに炊き出しのスープの作り方を教えていた。
 シロちゃんとレモンちゃんが治療班で頑張っているが、相変わらずギンちゃんはのんびりと僕の肩の上に乗っていた。

「ぐっ、今日も厳重警戒ですわ」
「いったい、どうなっているのですか?」

 王家のちびっ子達に近づきたい貴族令嬢がまた来ているけど、何にも仕事をやらないんだよなあ。
 そろそろ、少しでも手伝ってくれるといいんだよね。
 もっとも、アリアちゃん達も既に何もしない貴族令嬢を警戒している。
 だから、アリアちゃん達が自ら貴族令嬢に近づくことはないだろう。

「「「「「ガルル……」」」」」

 なお、キングレオ達も何にもしない貴族令嬢を超警戒しており、時折威嚇までしていた。
 とはいえ、キングレオ達も普通に手伝いをしている貴族令嬢には好意的だ。
 その辺りの事を理解できない限り、この状況がずっと続く事になるだろう。

「ピー」
「スィーパーの出産は、もう少しかかりそうなんだね」
「ピィ」

 時々ピーちゃんがスィーパーの状況を教えてくれるが、僕の予想だと出産は夕方くらいになるのかなと思っていた。
 自分の子どもの出産はまだなのに、知り合いの出産が何回もあったから色々と覚えていた。
 なお、奉仕活動自体は本当にトラブルなく進んだ。
 軍の警備もあるし、不審者の捕縛も随時行われている。
 更に、王都内の巡回も強化中だ。

「スラム街の巡回も強化しているし、そもそもスラム街自体の解体もちょっとずつしていますもんね」
「スラム街の解体は、王家が何代にも渡ってやろうとしていたのよ。治安が少しでも良くなることは、国全体を考えてもいいことね」

 僕と一緒に、王妃様も列に並ぶ町の人を眺めていた。
 僕が小さい頃に比べると、確かに治安は良くなっている。
 でも、まだまだやれる事は多いはずだ。
 軍も、様々な手を駆使するなど治安対策には腐心していた。

「「どーぞー」」
「あら、小さいお姫様ね」

 イリスちゃんとスーザンちゃんは、お昼寝後にまた治療班として頑張っていた。
 町の人に元気になってもらうのが、とっても嬉しいみたいだ。
 お兄ちゃんとお兄ちゃん達もイリスちゃんとスーザンちゃんに丁寧に教えていたし、ルートちゃんもお兄ちゃんだからととても張り切っていた。
 あと数年もすれば、今年生まれた赤ちゃん達も治療班に加わるはずだね。
 そして、もうそろそろ撤収というタイミングで、ピーちゃんがあることを教えてくれた。

「ピィ」
「スィーパーが、女の子を出産したんだね」
「「「「「わあ!」」」」」

 遂に出産の報告を聞き、僕の側で話を聞いていたちびっ子達も大喜びだ。
 とはいえ、まだ撤収中なので手早く後片付けをした。
 そして、僕はちびっ子達と王太后様と共に大教会の治療施設へと向かった。

「ほら、そろそろ泣き止んでね」
「うにゅ」
「うっ、うう……」

 部屋に入ると、ユータが人目も憚らず大号泣していた。
 出産を終えたスィーパーの方が、ユータを気遣っている程だ。

「子どもが産まれるというのは、それだけ大変な事なのよ。それに、ユータは少し感情表現が大きいからね」
「うぅ……」

 王太后様も、号泣するユータを見てしょうがないといった表情だ。
 一方、ちびっ子達は生まれたての赤ちゃんの周りに集まっていた。

「わあ、ちっちゃいね」
「まだしわしわだよ」

 アリアちゃんとブライトちゃんは、本当に小さい赤ちゃんに釘付けだ。
 ジョセフちゃんは、自分の指を赤ちゃんに握らせていた。

「これから、ゆっくりと名前を考えないといけないですね」
「幾つか候補は決めてあるよ。でも、ユータの事だからもっと悩むだろうね」

 僕と話すスィーパーも、号泣しているユータを苦笑しながら見ていた。
 何にせよ、この世界に新しい命が生まれたのは間違いなかった。
 なお、スィーパーは念のために数日治療施設に入院する事になった。
 ユータは、絶対に赤ちゃんを可愛がるだろうね。