いよいよ、学園の入園試験日となった。
僕達は、前日から会場準備や資料準備などを進めた。
学園に侵入する人がいないようにと、軍も前日から警戒にあたった。
今回は貴族だけでなく平民も受験するため、貴族が平民を威嚇する可能性がある。
その為、受付は貴族と平民で分けることにした。
分けたのだが……
「おい、何で平民がここにいるんだ! 邪魔だから帰れ!」
「「「「「えっ……」」」」」
懸念していたことが現実になってしまった。
動きやすい服装指定で周知していたのに、豪華な貴族服を着た貴族が平民の受付に向けて不満を露わにした。
ぽっちゃり体型の髪をオールバックにした人物で、思いっきに平民を睨みつけている。
一方、急にいちゃもんをつけられた平民は、かなり戸惑った表情をしていた。
僕はヘルナンデス様と物陰で成り行きを見守っていたが、これはダメだ。
二人揃って、受付へと歩み出した。
「平民も受験可能にしたのは、国王陛下との会議の結果です。言わば、国家が平等な受験としたのです。それは受験案内にも記載していますよ」
「なっ、ぐっ……」
僕が至極当然の事を説明すると、豪華な服を着た貴族はかなりたじろいていた。
僕の説明よりも、この場に僕とヘルナンデス様が現れたからなのかもしれない。
「この程度で矛先を収めるのなら、これ以上は言わない。貴様が矛先を収めるのならな……」
「ぐっ、くそ……」
ダッ。
豪華な服を着た貴族はヘルナンデス様の怒気をまともに受けてしまい、真っ青な顔で急いで試験会場の部屋へと向かった。
勿論、試験会場にいる監視役の兵にも受付で問題を起こした者が向かったと連絡した。
「手続きを止めてごめんね。普通に受験して問題ないよ。みんな、頑張ってね」
「「「「「は、はい!」」」」」
僕が受付再開を促し、罵声を浴びせられた平民は何とか気を取り直した。
気のせいか、平民は僕の事を憧れの目で見ている気がする。
「そりゃそうだ。目の前に、いきなり【蒼の治癒師】様が現れて自分達を助けたのだからな。あの貴族も、ケン君が出てくるとはと焦ったのだろう。ケン君は、自分の影響力を認識した方がいい」
ヘルナンデス様が苦笑しながら僕に話してきて、平民達もウンウンと頷いていた。
あの、僕は普通に注意しただけですよ。
思わずガクリとしてしまったが、今後も受付で傲慢な振る舞いをする人がいるかもしれない。
「トラちゃん、受付担当と一緒に受験生を守ってあげてね」
「ガウッ!」
訓練場でクリスと一緒にいたトラちゃんを呼び寄せ、更にミカンちゃんも一緒についてもらった。
トラちゃんも、やる気満々で僕に返事をした。
フォレストタイガーが受付にいれば、かなりの圧力になるはずだ。
更に、怪しい人の確認のためにギンちゃんにも来てもらった。
ギンちゃんは普段はのんびりおっとりなんだけど、いざという時は俊敏に動くんだよね。
これで受付は大丈夫なので、改めて問題を起こした貴族の名前を確認して職員室へと向かった。
「えっと、受付で文句を言ったのはバフェット子爵家三男のジュダです。バフェット子爵家は数少なくなった贅沢派の貴族です」
「儂も、そやつは知っておる。まさに、今回の試験の要注意人物だ」
僕の報告を聞き、イアン様も直ぐにどんな人か分かったみたいだ。
かなり少なくなったとはいえ、まさか贅沢派の貴族が残っているとは。
「バフェット子爵家は、商務関連の部署にいた。しかし、横領や架空取引などが発覚し、多額の罰金の上閑職に異動させられた。そこで、一発逆転を狙っているのかもしれない」
ヘルナンデス様が、バフェット子爵家について教えてくれた。
エレンお祖父様やミュウさんではない別の財務担当の人が不正を発見し、バフェット子爵家に強制捜査を行ったという。
ジュダの祖父である先代当主は強制引退させられ、現在の当主になった。
「うーん、でもそのジュダは豪華な服を着ていましたし、『自分は貴族だ!』というアピールが凄いです」
「だが、ジュダは三男だ。成人すれば、貴族ではなくなる。その事実を、果たして本人が自覚しているか不明だな」
ヘルナンデス様も、本人の資質に疑問を呈していた。
正直言うと、僕もかなり不安になっていた。
すると、今度はクリスが職員室に入ってきた。
「なんなのあいつ。部屋で『貴族なんだから特別扱いをしろ』と、職員に詰め寄っていたのがいたのよ。私が注意したら、『女は黙ってろ!』って激昂したわ。もっとも、私の正体を知ったら急に黙り込んだけどね」
「「「「「はあ……」」」」」
プリプリなクリスの話を聞き、職員室にいる面々は思わず溜息をついた。
ジュダは、試験室でも横暴な事を言っていたのか。
そして、このクリスの話を聞いて偉い人達が動いた。
「そこまでいうのなら、特別扱いをしてやろうではないか。拒否したら、失格扱いじゃ」
「では、私が監視をするか。できれば、チビスライムの誰かを貸してほしい」
イアン様とヘルナンデス様の指示で、職員が慌ただしく動き始めた。
監視役にピーちゃん、アクアちゃん、リーフちゃんが加わることになった。
豪華布陣だが、実はジュダ以外の受験者は誰も悪者だと判定されなかったのもある。
全員、試験開始まで真面目に勉強しているという。
勿論、カンニングの準備をしているものもいない。
ジュダにも兵はつくし、カンニングはできないはずだ。
こうして、試験開始まで慌ただしく時間は過ぎていった。
さて、そろそろ僕も試験室に向かわないと。
僕達は、前日から会場準備や資料準備などを進めた。
学園に侵入する人がいないようにと、軍も前日から警戒にあたった。
今回は貴族だけでなく平民も受験するため、貴族が平民を威嚇する可能性がある。
その為、受付は貴族と平民で分けることにした。
分けたのだが……
「おい、何で平民がここにいるんだ! 邪魔だから帰れ!」
「「「「「えっ……」」」」」
懸念していたことが現実になってしまった。
動きやすい服装指定で周知していたのに、豪華な貴族服を着た貴族が平民の受付に向けて不満を露わにした。
ぽっちゃり体型の髪をオールバックにした人物で、思いっきに平民を睨みつけている。
一方、急にいちゃもんをつけられた平民は、かなり戸惑った表情をしていた。
僕はヘルナンデス様と物陰で成り行きを見守っていたが、これはダメだ。
二人揃って、受付へと歩み出した。
「平民も受験可能にしたのは、国王陛下との会議の結果です。言わば、国家が平等な受験としたのです。それは受験案内にも記載していますよ」
「なっ、ぐっ……」
僕が至極当然の事を説明すると、豪華な服を着た貴族はかなりたじろいていた。
僕の説明よりも、この場に僕とヘルナンデス様が現れたからなのかもしれない。
「この程度で矛先を収めるのなら、これ以上は言わない。貴様が矛先を収めるのならな……」
「ぐっ、くそ……」
ダッ。
豪華な服を着た貴族はヘルナンデス様の怒気をまともに受けてしまい、真っ青な顔で急いで試験会場の部屋へと向かった。
勿論、試験会場にいる監視役の兵にも受付で問題を起こした者が向かったと連絡した。
「手続きを止めてごめんね。普通に受験して問題ないよ。みんな、頑張ってね」
「「「「「は、はい!」」」」」
僕が受付再開を促し、罵声を浴びせられた平民は何とか気を取り直した。
気のせいか、平民は僕の事を憧れの目で見ている気がする。
「そりゃそうだ。目の前に、いきなり【蒼の治癒師】様が現れて自分達を助けたのだからな。あの貴族も、ケン君が出てくるとはと焦ったのだろう。ケン君は、自分の影響力を認識した方がいい」
ヘルナンデス様が苦笑しながら僕に話してきて、平民達もウンウンと頷いていた。
あの、僕は普通に注意しただけですよ。
思わずガクリとしてしまったが、今後も受付で傲慢な振る舞いをする人がいるかもしれない。
「トラちゃん、受付担当と一緒に受験生を守ってあげてね」
「ガウッ!」
訓練場でクリスと一緒にいたトラちゃんを呼び寄せ、更にミカンちゃんも一緒についてもらった。
トラちゃんも、やる気満々で僕に返事をした。
フォレストタイガーが受付にいれば、かなりの圧力になるはずだ。
更に、怪しい人の確認のためにギンちゃんにも来てもらった。
ギンちゃんは普段はのんびりおっとりなんだけど、いざという時は俊敏に動くんだよね。
これで受付は大丈夫なので、改めて問題を起こした貴族の名前を確認して職員室へと向かった。
「えっと、受付で文句を言ったのはバフェット子爵家三男のジュダです。バフェット子爵家は数少なくなった贅沢派の貴族です」
「儂も、そやつは知っておる。まさに、今回の試験の要注意人物だ」
僕の報告を聞き、イアン様も直ぐにどんな人か分かったみたいだ。
かなり少なくなったとはいえ、まさか贅沢派の貴族が残っているとは。
「バフェット子爵家は、商務関連の部署にいた。しかし、横領や架空取引などが発覚し、多額の罰金の上閑職に異動させられた。そこで、一発逆転を狙っているのかもしれない」
ヘルナンデス様が、バフェット子爵家について教えてくれた。
エレンお祖父様やミュウさんではない別の財務担当の人が不正を発見し、バフェット子爵家に強制捜査を行ったという。
ジュダの祖父である先代当主は強制引退させられ、現在の当主になった。
「うーん、でもそのジュダは豪華な服を着ていましたし、『自分は貴族だ!』というアピールが凄いです」
「だが、ジュダは三男だ。成人すれば、貴族ではなくなる。その事実を、果たして本人が自覚しているか不明だな」
ヘルナンデス様も、本人の資質に疑問を呈していた。
正直言うと、僕もかなり不安になっていた。
すると、今度はクリスが職員室に入ってきた。
「なんなのあいつ。部屋で『貴族なんだから特別扱いをしろ』と、職員に詰め寄っていたのがいたのよ。私が注意したら、『女は黙ってろ!』って激昂したわ。もっとも、私の正体を知ったら急に黙り込んだけどね」
「「「「「はあ……」」」」」
プリプリなクリスの話を聞き、職員室にいる面々は思わず溜息をついた。
ジュダは、試験室でも横暴な事を言っていたのか。
そして、このクリスの話を聞いて偉い人達が動いた。
「そこまでいうのなら、特別扱いをしてやろうではないか。拒否したら、失格扱いじゃ」
「では、私が監視をするか。できれば、チビスライムの誰かを貸してほしい」
イアン様とヘルナンデス様の指示で、職員が慌ただしく動き始めた。
監視役にピーちゃん、アクアちゃん、リーフちゃんが加わることになった。
豪華布陣だが、実はジュダ以外の受験者は誰も悪者だと判定されなかったのもある。
全員、試験開始まで真面目に勉強しているという。
勿論、カンニングの準備をしているものもいない。
ジュダにも兵はつくし、カンニングはできないはずだ。
こうして、試験開始まで慌ただしく時間は過ぎていった。
さて、そろそろ僕も試験室に向かわないと。


