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 コンコン、ガチャ。

「きたよー!」

 時間が経つにつれて、段々と多くの貴族が教会に集まってきた。
 今回は貴族以外の来賓も多数来ており、控室に顔を出す人もいた。
 そして、遂に実家のルートちゃんも姿を現した。
 セリナさんも妊娠中なのに駆けつけてくれ、ルートちゃんも綺麗な服を着てニコニコとしていた。

「さっき、シンシアお姉様も顔を見せてくれました。だいぶお腹も大きくなってきたので、何だかとても不思議な感じでした」
「ケン君にとっては、幼い頃から見てきたお姉さんだもんね。でも、こうして来てくれて本当にありがたい事ね」

 セリナさんは、ルートちゃんの頭を撫でながら話してくれた。
 多くの人が結婚式に駆けつけてくれて、本当にありがたかった。
 なお、さっきまで僕の部屋にいたアリアちゃん達は、クリスのいる別の控室へと向かった。
 ルートちゃん達も、僕の控室からクリスの控室へと向かった。
 そして、入れ替わりでこの人が控室に入ってきた。

「ルーカス様、シーリアさん、ジョセフちゃんも来てくれたんだね」
「きたよー」

 元気いっぱいなジョセフちゃんに、ルーカス様もスーザンちゃんを抱いているシーリアさんも思わずニコリとしていた。
 更に、ヘルナンデス様も僕の控室にやってきた。

「披露宴の時に改めて話をするが、あの小さかったケン君もこんなにも大きくなったのだな」
「ガリガリに痩せ細った背の小さな子どもが、今では立派な成人だ。月日が経つのは本当に早いものだ」

 ルーカス様とヘルナンデス様は、感慨深そうに僕の肩を叩いていた。
 お二人とも初めて会った時から僕の事を良くしてくれて、こうして今でも僕の事を気にかけてくれた。
 すると、ヘルナンデス様がかなりびっくりする事を教えてくれた。

「そういえば、先程兄上が大教会に入っていたぞ。兄上が結婚式に参加するのは、ルーカスの時以来じゃないかな」

 えっ、陛下が来ているの?
 確か、陛下は結婚式に参加しない予定だったはず。
 挨拶に行った方がいいかなと思ったら、ちょうどエレンお祖父様とフリージアお祖母様が大教会に到着して挨拶したらしい。
 僕は、ホッと胸を撫で下ろした。
 そして、ルーカス様とヘルナンデス様達もクリスの控室へと向かった。
 入れ替わりで、エレンお祖父様とフリージアお祖母様が控室に入ってきた。

「まさか、陛下が来られるとは思わなかった。それだけ、ケン君の結婚を祝ってあげたかったのだろう」
「陛下は、披露宴にも参加するそうよ。こんなに名誉な事は、本当にないわね」

 どうやら、エレンお祖父様とフリージアお祖母様も陛下が結婚式に参加するとは聞いてなかったようだ。
 教会関係者も話を聞いていなかったが、陛下は王族のいる席に普通に座ったという。

「こうしてキチンとした格好になると、本当に見違えた。あの小さかった赤ん坊が、ここまで大きく育ったものだな」
「ええ、そうね。朝も見たけど、本当に大きくなったわ。立派に育ったわね」

 エレンお祖父様もフリージアお祖母様も、感慨深そうに僕に話しかけていた。
 僕が国境から戻ってきて屋敷に住むようになってから、特にフリージアお祖母様は僕の事をとても気にしてくれた。
 エレンお祖父様も、度々僕に色々な事を教えてくれた。
 僕の両親の代わりをしてくれたのは間違いなかった。

「じゃあ、私達は教会に向かう」
「ケン君なら大丈夫だと思うけど、しっかりね」

 エレンお祖父様とフリージアお祖母様は、僕に声をかけてから控室を後にした。
 もうそろそろ結婚式本番だと思ってドキドキとしていたら、ここで予想外の事態が起きた。

 ガチャ。

「ケン君、ちょっとヘルプ。治療、治療かな?」
「うぐっ、うぅ……」

 何と、困惑しているケーラさんが、号泣しているビーズリーさんの手を引いて控室に入ってきたのだ。
 何か怪我でもしたのかと思ったけど、そうではなかった。

「この人、クリスのウェディングドレスを見た瞬間に号泣したのよ。突然の事でびっくりしたけど、今までのクリスの成長を思い出したらしいわ」
「うぅ……」

 な、成程。
 ケーラさんも、こんなに泣くビーズリーさんは初めてらしい。
 とはいえ、僕もビーズリーさんの気持ちは何となく分かるなあ。
 取り敢えず、治療よりも状態異常解除魔法や鎮静魔法の方が良さそうだ。

 シュイン、ぴかー!

「こ、これで何とかなりました。クリスの控室にはスラちゃん達もいるので、もし何かあったら状態異常解除魔法や鎮静魔法を使えば落ち着くはずです」
「ケン君、本当にありがとうね。本番まで持てば、何とかなるはずね」

 ケーラさんは、溜息をつきながらビーズリーさんを連れて控室を出た。
 でも、この調子だと結婚式本番でビーズリーさんが再び号泣するのではと思ってしまった。