ところが、夕方になってもうそろそろ終わりにしようとした時に邪魔者が現れたのです。
ザッ。
「おい、お前らが最近邪魔をしてくる連中か!」
「「「うん?」」」
突如として、如何にも犯罪者っぽい風貌の男が僕達に怒鳴り込んできたのだ。
しかも、全身黒づくめで如何にも怪しい。
何だろうと思ったが、鑑定魔法を使ったらあることが判明した。
シュイン、もわーん。
あっ、あいつ過激派の連中だ。
でも、なんか僕達に喋りたがっているからこのまま話させよう。
スラちゃん達も、何となく状況が分かっているみたいだ。
「あの、邪魔をしているとはどんな事ですか?」
「決まっているだろうが! 俺達がスカウトしようと思った連中を、片っ端から保護しやがって。お陰で、成果が全くないぞ!」
つまり、ここ数日行っていたスラム街の子どもたちの保護作戦が上手く行っているんだ。
それで、僕達に文句を言ってきたのか。
てっきり襲撃でもするかと思ったが、もしかしたら仲間も軒並み捕まっているのだろうな。
「くそー! どうせ、人体実験なんかしているのだろうが!」
「えっ? 人体実験って、何の人体実験ですか?」
「そりゃ、えーっと、その……」
軽くツッコミを入れただけで、怒鳴ったものは返す言葉が思いつかないでいた。
所詮は、その程度の事しか出来ないのだろう。
さて、そろそろ終わりにしてもいいかな。
僕は、スラちゃんにコクリと頷いた。
パカパカパカ。
「ブルル」
「な、なんだよ……」
スラちゃんが馬を操りながら男に近づくと、男は突然の事にビクビクとしていた。
そして、スラちゃんはある魔法を使った。
シュイン、もわーん。
「な、なん……ぐぅ」
ドサッ。
スラちゃんが使ったのは闇魔法の睡眠魔法で、男は見事に眠って崩れ落ちていた。
直ぐに兵が男を縛りあげたが、その間も全く起きることはなかった。
一時間もすれば、きっと牢屋で目が覚めるはずだ。
「結局、犯罪者って自分に都合の良い事しかいわないのね。帝国でも、同じ様なものなのよ」
「自分達が、悪い事をしている実感がないのよね。だから、こんな馬鹿な事をするのね」
ビクトリア皇女もクリスも、連行されていく男を呆れながら見ていた。
うん、あんな馬鹿者を気にしちゃ駄目だね。
さて、そろそろ撤収作業を始めないと。
僕達は、目の前の作業に集中したのだった。
「その程度など、トラブルの内に入らん。奉仕活動は、概ね成功と言えよう。それに、民からの貴重な意見だ。良い機会だから、息子に対応させよう」
撤収作業を終え、屋敷に戻ってハーデス様に色々と報告した。
ハーデス様もかなり満足しており、ワーグナーさんも任せてと言っていた。
「ケンは、ただ治療をするのではなく必ず人々に声をかけていました。治療を受けた人も皆笑顔になり、周りの人もとても良い表情をしていました。だからこそ、【蒼の治癒師】様と崇められるのだと実感しましたわ」
「確かに、ケン君は負傷した私の事を泣きそうな表情で治療していた。相手が帝国であれ、知り合いが理不尽に傷つくのは嫌だと言っていた。戦争時は勿論の事、こうして平和な時こそ【蒼の治癒師】が必要とされるのかもしれないな」
ビクトリア皇女とレーベンス大将も、色々と考えながら話していた。
でも、僕はやっぱり目の前で困っている人を助けたいという思いでいる。
そんなに深く考えてはいないんだよね。
その後も少し話をして、それからルーカス様が話し始めた。
「さて、明日の話をしよう。明日朝、帝国からの使者と我々が一足早く戻る事になる。魔導船の乗員定数の関係で、ケン君とダイナー男爵兄妹は明々後日の帰りとなる。他の魔導船の運航スケジュールもあるので、こればかりは仕方ない」
ヘルナンデス様やルーカス様を乗せた魔導船が再びガルフォース辺境伯家にやってきて、その魔導船に僕達が乗って帰ることになる。
いの一番で調印文書を王都に運ぶ事もあるし、こればかりは致し方ない。
留守番のケイトちゃんが淋しくしていないか、ちょっとだけ心配だった。
そして、僕達は想定外のものを持って帰る事になった。
「あの女の子と弟を、僕の屋敷で預かればいいんですね」
「ケンには負担をかける。どうも、女の子は屋敷に魔法を放った事をかなり気にしている。この屋敷にいるよりも、ケンの屋敷にいた方が心も落ち着くだろう」
ハーデス様からも頼まれたが、やはりまだ女の子は心の整理がつかないんだ。
僕の屋敷なら魔法の事はバッチリだし、何よりもハンナおばさんをはじめとした使用人もとても良い人ばっかりだ。
ケイトちゃんも、きっと仲良くなってくれるはずだ。
諸々の手続きは進めてくれるそうなので、その点はとてもありがたかった。
話はこれで終わりで、僕とクリス達は早速女の子と弟と話をする事にした。
「えっと、アイ、です……」
「リュー!」
アイちゃんとリュウ君は、それぞれ五歳と三歳だ。
二人とも緑色の髪で、顔立ちもそっくりだ。
ケイトちゃんが今年四歳になるから、ちょうど良い年齢になりそうだ。
「僕はケン、そして隣にいるのがクリスだよ。屋敷は王都にあるんだけど、みんなで仲良く暮らしていこうね」
「よろしく……です」
「はーい!」
アイちゃんはまだ戸惑っていたが、リュウ君は元気よく手を挙げていた。
屋敷にいて暫くすれば、きっと落ち着いてくれるはずだよね。
ザッ。
「おい、お前らが最近邪魔をしてくる連中か!」
「「「うん?」」」
突如として、如何にも犯罪者っぽい風貌の男が僕達に怒鳴り込んできたのだ。
しかも、全身黒づくめで如何にも怪しい。
何だろうと思ったが、鑑定魔法を使ったらあることが判明した。
シュイン、もわーん。
あっ、あいつ過激派の連中だ。
でも、なんか僕達に喋りたがっているからこのまま話させよう。
スラちゃん達も、何となく状況が分かっているみたいだ。
「あの、邪魔をしているとはどんな事ですか?」
「決まっているだろうが! 俺達がスカウトしようと思った連中を、片っ端から保護しやがって。お陰で、成果が全くないぞ!」
つまり、ここ数日行っていたスラム街の子どもたちの保護作戦が上手く行っているんだ。
それで、僕達に文句を言ってきたのか。
てっきり襲撃でもするかと思ったが、もしかしたら仲間も軒並み捕まっているのだろうな。
「くそー! どうせ、人体実験なんかしているのだろうが!」
「えっ? 人体実験って、何の人体実験ですか?」
「そりゃ、えーっと、その……」
軽くツッコミを入れただけで、怒鳴ったものは返す言葉が思いつかないでいた。
所詮は、その程度の事しか出来ないのだろう。
さて、そろそろ終わりにしてもいいかな。
僕は、スラちゃんにコクリと頷いた。
パカパカパカ。
「ブルル」
「な、なんだよ……」
スラちゃんが馬を操りながら男に近づくと、男は突然の事にビクビクとしていた。
そして、スラちゃんはある魔法を使った。
シュイン、もわーん。
「な、なん……ぐぅ」
ドサッ。
スラちゃんが使ったのは闇魔法の睡眠魔法で、男は見事に眠って崩れ落ちていた。
直ぐに兵が男を縛りあげたが、その間も全く起きることはなかった。
一時間もすれば、きっと牢屋で目が覚めるはずだ。
「結局、犯罪者って自分に都合の良い事しかいわないのね。帝国でも、同じ様なものなのよ」
「自分達が、悪い事をしている実感がないのよね。だから、こんな馬鹿な事をするのね」
ビクトリア皇女もクリスも、連行されていく男を呆れながら見ていた。
うん、あんな馬鹿者を気にしちゃ駄目だね。
さて、そろそろ撤収作業を始めないと。
僕達は、目の前の作業に集中したのだった。
「その程度など、トラブルの内に入らん。奉仕活動は、概ね成功と言えよう。それに、民からの貴重な意見だ。良い機会だから、息子に対応させよう」
撤収作業を終え、屋敷に戻ってハーデス様に色々と報告した。
ハーデス様もかなり満足しており、ワーグナーさんも任せてと言っていた。
「ケンは、ただ治療をするのではなく必ず人々に声をかけていました。治療を受けた人も皆笑顔になり、周りの人もとても良い表情をしていました。だからこそ、【蒼の治癒師】様と崇められるのだと実感しましたわ」
「確かに、ケン君は負傷した私の事を泣きそうな表情で治療していた。相手が帝国であれ、知り合いが理不尽に傷つくのは嫌だと言っていた。戦争時は勿論の事、こうして平和な時こそ【蒼の治癒師】が必要とされるのかもしれないな」
ビクトリア皇女とレーベンス大将も、色々と考えながら話していた。
でも、僕はやっぱり目の前で困っている人を助けたいという思いでいる。
そんなに深く考えてはいないんだよね。
その後も少し話をして、それからルーカス様が話し始めた。
「さて、明日の話をしよう。明日朝、帝国からの使者と我々が一足早く戻る事になる。魔導船の乗員定数の関係で、ケン君とダイナー男爵兄妹は明々後日の帰りとなる。他の魔導船の運航スケジュールもあるので、こればかりは仕方ない」
ヘルナンデス様やルーカス様を乗せた魔導船が再びガルフォース辺境伯家にやってきて、その魔導船に僕達が乗って帰ることになる。
いの一番で調印文書を王都に運ぶ事もあるし、こればかりは致し方ない。
留守番のケイトちゃんが淋しくしていないか、ちょっとだけ心配だった。
そして、僕達は想定外のものを持って帰る事になった。
「あの女の子と弟を、僕の屋敷で預かればいいんですね」
「ケンには負担をかける。どうも、女の子は屋敷に魔法を放った事をかなり気にしている。この屋敷にいるよりも、ケンの屋敷にいた方が心も落ち着くだろう」
ハーデス様からも頼まれたが、やはりまだ女の子は心の整理がつかないんだ。
僕の屋敷なら魔法の事はバッチリだし、何よりもハンナおばさんをはじめとした使用人もとても良い人ばっかりだ。
ケイトちゃんも、きっと仲良くなってくれるはずだ。
諸々の手続きは進めてくれるそうなので、その点はとてもありがたかった。
話はこれで終わりで、僕とクリス達は早速女の子と弟と話をする事にした。
「えっと、アイ、です……」
「リュー!」
アイちゃんとリュウ君は、それぞれ五歳と三歳だ。
二人とも緑色の髪で、顔立ちもそっくりだ。
ケイトちゃんが今年四歳になるから、ちょうど良い年齢になりそうだ。
「僕はケン、そして隣にいるのがクリスだよ。屋敷は王都にあるんだけど、みんなで仲良く暮らしていこうね」
「よろしく……です」
「はーい!」
アイちゃんはまだ戸惑っていたが、リュウ君は元気よく手を挙げていた。
屋敷にいて暫くすれば、きっと落ち着いてくれるはずだよね。


