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 翌朝、僕達は朝食を食べたら改めて子ども達と話をする事になった。
 その間に、担当者間で講和会議の打ち合わせをしてもらう事に。

「あの、おとうとをたすけてくれてありがとう。その、まほうをうってごめんなさい……」
「ありがとー」

 昨日気絶していた女の子も、無事に弟と再会できていた。
 弟も、女の子にギュッと抱きついていた。

「キチンと謝れたわね、偉いわ。それに、もう大丈夫よ」
「うぅ、うわーん!」
「ねーね?」

 エリさんが二人を抱きしめると、女の子は溜まっていたものが一気に溢れ出した。
 僕も小さい頃に辛い目に遭っていたが、女の子には弟もいたから尚更大変だったのだろう。
 他の子も、悪い人から逃れられたという安堵の表情を浮かべていた。

「そうなると、君達はスラム街で悪い人から声をかけられたんだね」
「うん、何かよく分からない物に手を乗せられて、素質があるって言われたんだ。ついてくれば、ごはんが食べられるって……」

 ルーカス様が他の子に話を聞いていたが、どうやら襲撃者が子ども達に使ったのは魔力を測る魔導具みたいだ。
 もしかしたら帝国でも同じ事が行われているかもしれないので、レーベンス大将も通信用魔導具で各所に連絡していた。

「王都も、軍が動いてくれるそうです。僕も、奉仕活動で出来るだけそういう場所に顔を出していたんですけど……」
「ケンは、そういう奉仕活動にも熱心なのね。私も見習わないといけないわ」

 ビクトリア皇女も、顎に手を当てながら何か考える様子だった。
 最近は僕達だけでなくクリスや他の人達も奉仕活動に参加しており、新兵も必ずスラム街などでの奉仕活動を体験する事になっていた。

「では、直ぐにスラム街の巡回と聞き込みをしてまいります」

 ナッシュさんと軍の部隊が、スラム街へ向かってくれた。
 教会と連携して、保護が必要な孤児は孤児院に入れてもらう事になった。
 本件は、ワーグナーさんとナッシュさんがトップとして対応する事になった。

「じゃあ、みんなは私とお話しましょうね。ランディも、一生懸命お話するのよ」
「うん! ぼくおにいちゃんだから、いっぱいおはなしするよ!」
「あうあう」

 保護された子ども達は、エリさんが対応してくれる事になった。
 ランディちゃんも、お兄ちゃんになって積極的になっていますね。
 という事で、僕達は移動して早速会議を始める事になりました。

「我が家の恥を晒し、本当に申し訳ない。この通り謝罪する」

 会議の冒頭で、ハーデス様が僕達に頭を下げた。
 とはいえ、今回の件は王都でも帝国の帝都でも起こり得る問題だった。

「王国も帝国も、未来ある子ども達が大人の悪の手に落ちるのを良しとしない。両国共通の課題が見えたと言えよう。今回の事は、締結内容にも入れるようにしよう」
「うむ、私も同感だ。貴族や軍人を含めた子どもの教育の大切さを、改めて認識させられた。適切な教育をするための対応を進めるとしよう」

 ヘルナンデス様とレーベンス大将も、教育をしっかりとする事の大切さを強調していた。
 もしかしたら父親や兄のような人間には残念ながら教育の効果はないかもしれないけど、それでも大半の人には効果があるはずだ。
 そこで、僕はある事を提案してみた。

「その、いま直ぐには難しいかもしれませんけど、同年代の人を集めて教育する学校を作ってみたらどうでしょうか。何歳からや貴族だけでなく平民も対象にするかなど、課題は沢山あるかと思います」
「ケン君、とても良い提案だ。実は、兄上も同じ事を考えていたのだよ。ケン君は上級官僚としては兄上の部下にあたるし、是非とも話を進めようとしよう」
「私も、皇帝であるお兄様に相談したいと思います。全ての人の考え方を変えることは難しいですが、それでも国として必要な統一した知識と善悪の判断を持つことはとても大切だと思っております」

 僕の提案に、ルーカス様とビクトリア皇女も続いた。
 というか、学園設立に向けて動いていたなんて、流石アーサー様だ。

「両国の未来を作るための、建設的な話を入れるようにしよう。単なる賠償関連ではなく、両国の更なる発展を願う条約とする」
「「「「「はっ」」」」」

 ヘルナンデス様が方針を改めて示し、僕達も頷いた。
 一回休会となり、決まった話をヘルナンデス様とレーベンス大将が通信用魔導具で各所に連絡しました。

「はあ、ケンは凄いね。私には、みんなの話が難しくて全然分からなかったよ。思わず、町に出て色々な人の話を聞いた方が良いと思っちゃった……」

 クリスは、ジュースを飲みながら若干燃え尽きていた。
 思わず溜息をついていたが、確かに難しい話だった。

「私から見ても、ケン君は良くやっていると思う。話のレベルは、それこそ上級官僚を取りまとめる幹部クラスだ。まだ経験は足らないが、それだけの話についていけるだけの知識はあるという事だ」
「確かに、ケンは凄いと思ったわ。まだ成人したばかりなのに、堂々と意見を言ってきたわ。その度胸も素晴らしいと思うわ」

 ヘルナンデス様とビクトリア皇女も、手放しで僕を褒めていた。
 そんなに褒められると、なんだかこそばゆい感じがする。
 すると、ルーカス様はこんな事を言ってきた。

「兄上も、学園の件は早々に進めたいと言っている。試しに、ケン君とクリスも学園の計画に参加して欲しいそうだ。その辺りも含めて、王都に戻ったら話を進めたいという」

 アーサー様が元々温めていた案を聞いてみたいし、僕も学園にはとても興味があった。
 その後も、お互いに色々な意見を言い合いながら休憩は進んでいった。
 こういった建設的な意見が出る事はとても良いと、僕は改めて思ったのだった。