【7月24日発売!】毒父に物資扱いで戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートでなんでも癒しちゃいます

 コンコン、ガチャ。

「失礼します。出発の準備が整いました」
「そうか、ご苦労」

 三十分程話をした所で、兵がピーター様に話しかけてきた。
 僕達も立ち上がり、司令官室を後にした。
 施設を出ると行きに僕達が乗ってきた馬車が用意されており、レーベンス大将とビクトリア皇女様は僕達と一緒の馬車に乗り込んだ。
 他の帝国からの随行員も馬車に乗り込み、ガッチリと軍の部隊による護衛を受けながらガルフォース辺境伯家の屋敷へと出発した。

 パカパカパカ。

「町は、多くの人で賑わっていますね」

 ビクトリア皇女様は、活気ある町並みに思わず笑みを浮かべていた。
 ガルフォース辺境伯領は、いつ来ても多くの品物が並んでいて凄いよね。

「上級官僚試験の時にも来たのですけど、ガルフォース辺境伯領はいわば王国の縮図だと教えられました。近隣の領地との関係もありますし、交易も盛んで薬草研究もしています」
「うむ、今回の講和会議とは別に学ぶ事も多そうだ。時間を見て、領主から話を聞いてみよう」

 レーベンス大将も、顎に手を当てながら何やら考えを巡らせていた。
 どういう事に気をつけて統治しているかを聞くだけでも、きっと大きな成果があるはずだ。
 そして、そんな僕が話す姿にヘルナンデス様は満足そうにしていたのだった。

 パカパカ、パカ。

 僕達を乗せた馬車は、無事にガルフォース辺境伯家の屋敷に到着した。
 玄関で、先に僕とヘルナンデス様が馬車から降りた。
 続いてレーベンス大将とビクトリア皇女が馬車から降りたが、可愛い出迎がまっていた。

「いらっしゃいませ!」

 綺麗な服を着ているランディちゃんが、満面の笑みで出迎えたのです。
 レーベンス大将やビクトリア皇女様も、ニコニコなランディちゃんにほっこりと和んでいた。

「こんにちは、とても元気な挨拶ね」
「えへへ、ありがとう!」

 ビクトリア皇女も、ニコリとしながらランディちゃんの頭を撫でていた。
 出迎えにはナッシュさんとクリスもおり、ハーデス様とルーカス様は応接室にいるという。

「こっちだよー!」

 張り切っているランディちゃんを先頭に、僕達は屋敷の中に入った。
 そのまま応接室に向かい、ランディちゃんがドアをノックした。

 コンコン。

「お祖父様、来たよー!」
「おお、そうか。入ってくれ」

 ガチャ。

 ランディちゃんが応接室のドアを開けると、ハーデス様とルーカス様が立ち上がって僕達を出迎えてくれた。
 チビスライム達とピーちゃんもいて、僕に軽くフリフリとしていた。

 トトトト、ぽすっ。

「お祖父様、お仕事できたよー!」
「おお、そうか。それなら、後でご褒美をやらないとな」
「わーい!」

 ハーデス様も、抱きついてきたランディちゃんに優しいおじいちゃんの表情をしていた。
 その間に、僕達も指定された席に着いた。
 そして、お互いに自己紹介を始めた。

「ビクトリア・ベルファストです。宜しくお願いします」
「よよ、宜しくお願いします!」
「よろしくー!」

 クリスは、帝国皇女のビクトリア皇女がいてかなりビックリしていた。
 ランディちゃんは、ビクトリア皇女と元気よく握手をしているね。

「えっと、クリス・ダイナーです。今年、ケンと結婚する予定です」
「クリスは、ケン君の婚約者なのね。興味が出てきたわ」

 ビクトリア皇女は、クリスにかなり興味を持っていた。
 夜に歓迎会が行われるから、そこでゆっくり話ができるだろう。
 お互いに自己紹介を終え、少しまったりする事に。
 すると、ビクトリア皇女がクリスにずずずと話しかけてきた。

「クリスは、どうやってケン君と知り合ったのかしら」
「あの、私が七歳の時に大怪我をして治療してくれて。その後、魔法の訓練とかで一緒になったのがキッカケです」
「わあ、そんな運命的な出会いがあったのね。ケン君は、小さい頃から優しそうね」

 ビクトリア皇女が、目をランランにさせながらクリスに根掘り葉掘り聞いていた。
 さっきまでの気品のある姿から全然違うぞ。

「ビクトリア皇女は恋バナが大好きでな、恋愛ものの本を沢山持っている。更に、かの有名な【蒼の治癒師】の婚約者ってのもあるだろう」

 レーベンス大将が苦笑しながら教えてくれたが、ビクトリア皇女の女の子らしい一面なんだ。
 クリスはかなり大変そうだけど、こればっかりはしょうがない。
 そして、三十分くらいしてそれぞれ割り当てられた部屋にて休憩する事になった。

「疲れた……」

 クリスは、疲れてソファーに倒れ込んでいた。
 スラちゃん達がクリスをなでなでしていたが、クリスが復活するまで少し時間がかかりそうだ。

「クリスには悪いが、良い感じに話ができた。顔合わせの第一段階としては問題ないだろう」
「そうだな。後は、歓迎会でもう少し話せるだろう」

 ヘルナンデス様とハーデス様は、好感触を得ていた。
 当のクリスはまだ応接室でへんにゃりしているみたいだから、僕ももう少し応接室にいよう。