時間となり、僕とスラちゃんはヘルナンデス様と護衛の兵と共に防壁の外に出た。
もう間もなく、帝国側の使者がやってくるという。
「あっ、帝国側の陣地から馬車がやってきました」
「恐らく、使者を乗せた馬車だろう」
ヘルナンデス様の声を聞き、僕達も姿勢を正した。
馬車は、足早に王国軍の前線基地に向かってきた。
そして、もう少しで僕達の所に到着するタイミングでとんでもない事件が起きてしまったのです。
ちょいちょい。
「あっ、スラちゃん馬車をお願い。ヘルナンデス様、魔法っぽい反応があります! 僕も行きます!」
「うむ、想定内の事態だな。馬車を早く基地内に誘導するように!」
出迎え対応をヘルナンデス様に任せ、僕は魔力反応のあった方へ、スラちゃんは馬車を守るために動き出した。
さっきまでは何も反応がなかったから、直前で襲撃の準備を整えたんだ。
シュイン、ダッ!
「「「「「ケンとスラちゃんが消えた!?」」」」」」
僕とスラちゃんが身体能力強化魔法を使うと、兵が目の前の光景にかなり驚いていた。
僕とスラちゃんの身体能力強化魔法は、かなり本気だ。
ヘルナンデス様だけは、冷静に兵にあれこれ指示をしていた。
シュイン、ズドーーーン!
シュッ、バシーン。
岩陰から放たれたカノン系魔法は、馬車目掛けて一直線に向かった。
しかし、一瞬早く馬車についたスラちゃんの魔法障壁によってカノン系魔法は完璧に防がれた。
「追尾弾を放ちます。拘束をお願いします」
「おう、任せておけ」
「そのくらいは、俺達がやらないとな」
シュイン、ヒュンヒュン、ドドドドーン!
ズドン、ズドン、ズドン!
「「「グハッ……」」」
僕が放ったのは雷魔法系のサンダーバレットで、探索魔法を併用することで目的への追尾が可能だ。
誘導弾は上手い具合に岩陰に隠れている襲撃者に当たり、直ぐに駆けつけた王国兵が縄で縛り上げた。
うん、襲撃者は全身黒づくめのどう見たって怪しい格好だった。
シュイン、シュイン、シュイン、もわーん。
「うん、これで大丈夫です。周囲に怪しい反応はありません」
「じゃあ、こいつらを連行するか。帝国使者の馬車を襲ったのだから、かなりの厳罰になるな」
兵は、僕の魔法でノックアウトされた襲撃者を肩に担いで運び始めた。
その間に、馬車は無事に防壁の中に入った。
ふう、これで一安心だ。
僕も、襲撃者を担いでいる兵と共に前線基地へと向かったのだった。
「流石はニース将軍だ。ケンを連れてくれば、鬼に金棒だな」
「こちらこそ、帝国側も魔法兵を連れていたのに申し訳ない」
「いやいや、中々の判断だった。うちの魔法兵よりもスラちゃんの方が反応が速かったぞ」
僕達が基地の敷地内に入ると、ちょうどヘルナンデス様がレーベンス大将とガッチリと握手をしていたところだった。
スラちゃんも、ヘルナンデス様の肩にちょこんと乗ってレーベンス大将に挨拶をしていた。
僕も、ヘルナンデス様の側に急いで駆け寄った。
「はあはあ。レーベンス大将、挨拶が遅れて申し訳ありません」
「いやいや、ケンは色々としていたのだからしょうがないだろう」
レーベンス大将は、急いで駆けつけた僕にもにこやかに握手をしてくれた。
他にも顔見知りとなった帝国軍幹部がいる中、初めて見る女性の帝国兵がいた。
栗毛ロングヘアをポニーテールにし、キリリとした背の高い人だ。
初めて会うのだから、僕も挨拶をしないと。
「ケン・アスター子爵です。宮廷魔導師を拝命しています」
「かの有名な【蒼の治癒師】だね。私はビクトリア、ビクトリア・ベルファストだ」
えっ、確かベルファストって帝国の国名だったはずだ。
僕はかなりビックリしてしまい、握手をしたままギギギと隣にいるヘルナンデス様を見た。
ヘルナンデス様は、ニヤリとしながら僕に話してきた。
「間違いなく、ビクトリア皇女は帝国の皇女様だ。帝国の皇家は男女関係なく軍に入り、ビクトリア皇女は、かなり優秀な魔法兵でもある」
「優秀だなんて、大きな間違いだ。【蒼の治癒師】や先程私達を救ったスライムに比べれば、私などまだまだだと否応にも分かる」
ヘルナンデス様の話に、ビクトリア皇女はかなり謙遜していた。
いやいや、僕の方がまだまだひよっこな魔法使いだ。
司令官室で休憩を兼ねながら話をする事になり、僕達はさっそく移動を開始した。
「今回攻撃を仕掛けてきたのは、恐らく帝国側の過激派だろう。尋問の結果次第だが、誰の配下として動いていたか情報を共有して欲しい」
「その点はご安心を。寧ろ、時間があればレーベンス大将に尋問に立ち会ってもらっても構わない」
「ははは、魅力的な提案だが我々には先にやらなければならない事がある。可能なら、他の者に尋問に立ち会わせよう」
レーベンス大将とヘルナンデス様がにこやかに話をしていたが、僕達は講和条約を締結しないとならない。
でも、まだ邪魔をしようとする人達はいるはずだ。
ナッシュさんやチビスライム達が不審者を捕まえてくれるはずだし、屋敷にいる限り多分大丈夫な気がする。
「私は、過去に帝国を訪問している。その際に、まだ幼かったビクトリア皇女と会っている。レオ君が生まれる前の話だ」
「私も、まだ生まれたての話です。まさか、こういう状況で再会するとは思いませんでした」
ビクトリア皇女は今年二十歳で、その頃は王国と帝国との関係は少し落ち着いていたらしい。
ヘルナンデス様が帝国を訪れたのは当時の休戦協定の一環らしく、その際にレーベンス大将とも知り合ったという。
「しかし、あの小さかったケンが成人になって結婚するのか。いやはや、時が流れるのは早い。小さい頃から、とても利発だったな」
「帝国側でも、【蒼の治癒師】は凄いという噂よ。どの戦闘も圧倒的な魔力で制圧したのに、結果的に王国側も帝国側も一人も死者を出さなかったわ。捕虜への治療も完璧だったし、寧ろ元気になったと言っていた者もいたわね」
そして、いつの間にか僕の話で盛り上がっていた。
ビクトリア皇女曰く、僕は帝国軍の中では畏怖と共に凄いという評価らしい。
でも、そこまで褒める事はないと思うよ。
そして、ヘルナンデス様やピーター様は、わたわたしている僕をただ見守っているだけだった。
もう間もなく、帝国側の使者がやってくるという。
「あっ、帝国側の陣地から馬車がやってきました」
「恐らく、使者を乗せた馬車だろう」
ヘルナンデス様の声を聞き、僕達も姿勢を正した。
馬車は、足早に王国軍の前線基地に向かってきた。
そして、もう少しで僕達の所に到着するタイミングでとんでもない事件が起きてしまったのです。
ちょいちょい。
「あっ、スラちゃん馬車をお願い。ヘルナンデス様、魔法っぽい反応があります! 僕も行きます!」
「うむ、想定内の事態だな。馬車を早く基地内に誘導するように!」
出迎え対応をヘルナンデス様に任せ、僕は魔力反応のあった方へ、スラちゃんは馬車を守るために動き出した。
さっきまでは何も反応がなかったから、直前で襲撃の準備を整えたんだ。
シュイン、ダッ!
「「「「「ケンとスラちゃんが消えた!?」」」」」」
僕とスラちゃんが身体能力強化魔法を使うと、兵が目の前の光景にかなり驚いていた。
僕とスラちゃんの身体能力強化魔法は、かなり本気だ。
ヘルナンデス様だけは、冷静に兵にあれこれ指示をしていた。
シュイン、ズドーーーン!
シュッ、バシーン。
岩陰から放たれたカノン系魔法は、馬車目掛けて一直線に向かった。
しかし、一瞬早く馬車についたスラちゃんの魔法障壁によってカノン系魔法は完璧に防がれた。
「追尾弾を放ちます。拘束をお願いします」
「おう、任せておけ」
「そのくらいは、俺達がやらないとな」
シュイン、ヒュンヒュン、ドドドドーン!
ズドン、ズドン、ズドン!
「「「グハッ……」」」
僕が放ったのは雷魔法系のサンダーバレットで、探索魔法を併用することで目的への追尾が可能だ。
誘導弾は上手い具合に岩陰に隠れている襲撃者に当たり、直ぐに駆けつけた王国兵が縄で縛り上げた。
うん、襲撃者は全身黒づくめのどう見たって怪しい格好だった。
シュイン、シュイン、シュイン、もわーん。
「うん、これで大丈夫です。周囲に怪しい反応はありません」
「じゃあ、こいつらを連行するか。帝国使者の馬車を襲ったのだから、かなりの厳罰になるな」
兵は、僕の魔法でノックアウトされた襲撃者を肩に担いで運び始めた。
その間に、馬車は無事に防壁の中に入った。
ふう、これで一安心だ。
僕も、襲撃者を担いでいる兵と共に前線基地へと向かったのだった。
「流石はニース将軍だ。ケンを連れてくれば、鬼に金棒だな」
「こちらこそ、帝国側も魔法兵を連れていたのに申し訳ない」
「いやいや、中々の判断だった。うちの魔法兵よりもスラちゃんの方が反応が速かったぞ」
僕達が基地の敷地内に入ると、ちょうどヘルナンデス様がレーベンス大将とガッチリと握手をしていたところだった。
スラちゃんも、ヘルナンデス様の肩にちょこんと乗ってレーベンス大将に挨拶をしていた。
僕も、ヘルナンデス様の側に急いで駆け寄った。
「はあはあ。レーベンス大将、挨拶が遅れて申し訳ありません」
「いやいや、ケンは色々としていたのだからしょうがないだろう」
レーベンス大将は、急いで駆けつけた僕にもにこやかに握手をしてくれた。
他にも顔見知りとなった帝国軍幹部がいる中、初めて見る女性の帝国兵がいた。
栗毛ロングヘアをポニーテールにし、キリリとした背の高い人だ。
初めて会うのだから、僕も挨拶をしないと。
「ケン・アスター子爵です。宮廷魔導師を拝命しています」
「かの有名な【蒼の治癒師】だね。私はビクトリア、ビクトリア・ベルファストだ」
えっ、確かベルファストって帝国の国名だったはずだ。
僕はかなりビックリしてしまい、握手をしたままギギギと隣にいるヘルナンデス様を見た。
ヘルナンデス様は、ニヤリとしながら僕に話してきた。
「間違いなく、ビクトリア皇女は帝国の皇女様だ。帝国の皇家は男女関係なく軍に入り、ビクトリア皇女は、かなり優秀な魔法兵でもある」
「優秀だなんて、大きな間違いだ。【蒼の治癒師】や先程私達を救ったスライムに比べれば、私などまだまだだと否応にも分かる」
ヘルナンデス様の話に、ビクトリア皇女はかなり謙遜していた。
いやいや、僕の方がまだまだひよっこな魔法使いだ。
司令官室で休憩を兼ねながら話をする事になり、僕達はさっそく移動を開始した。
「今回攻撃を仕掛けてきたのは、恐らく帝国側の過激派だろう。尋問の結果次第だが、誰の配下として動いていたか情報を共有して欲しい」
「その点はご安心を。寧ろ、時間があればレーベンス大将に尋問に立ち会ってもらっても構わない」
「ははは、魅力的な提案だが我々には先にやらなければならない事がある。可能なら、他の者に尋問に立ち会わせよう」
レーベンス大将とヘルナンデス様がにこやかに話をしていたが、僕達は講和条約を締結しないとならない。
でも、まだ邪魔をしようとする人達はいるはずだ。
ナッシュさんやチビスライム達が不審者を捕まえてくれるはずだし、屋敷にいる限り多分大丈夫な気がする。
「私は、過去に帝国を訪問している。その際に、まだ幼かったビクトリア皇女と会っている。レオ君が生まれる前の話だ」
「私も、まだ生まれたての話です。まさか、こういう状況で再会するとは思いませんでした」
ビクトリア皇女は今年二十歳で、その頃は王国と帝国との関係は少し落ち着いていたらしい。
ヘルナンデス様が帝国を訪れたのは当時の休戦協定の一環らしく、その際にレーベンス大将とも知り合ったという。
「しかし、あの小さかったケンが成人になって結婚するのか。いやはや、時が流れるのは早い。小さい頃から、とても利発だったな」
「帝国側でも、【蒼の治癒師】は凄いという噂よ。どの戦闘も圧倒的な魔力で制圧したのに、結果的に王国側も帝国側も一人も死者を出さなかったわ。捕虜への治療も完璧だったし、寧ろ元気になったと言っていた者もいたわね」
そして、いつの間にか僕の話で盛り上がっていた。
ビクトリア皇女曰く、僕は帝国軍の中では畏怖と共に凄いという評価らしい。
でも、そこまで褒める事はないと思うよ。
そして、ヘルナンデス様やピーター様は、わたわたしている僕をただ見守っているだけだった。


