週末の朝、プリレボのマネージャー河合さんとそたくんに車で迎えに来てもらい、プリレボが住んでいるお城へ。
「わぁ、本当にお城だっ!!」
車から降り見上げると、胸がいっぱいになる。
あぁ、感動――。
とても大きな庭の中に、真っ白い建物が堂々とした姿でずしんと立っていた。僕が住んでいる家より百倍ぐらいありそう? それは盛りすぎかもしれないけれど、とにかく大きい。
――ここに、プリレボのみんなが住んでいるんだ!
他の人たちは門の扉を開けてすぐに入っていった。僕はこんなすごい場所に足を踏み入れてよいのか考えてしまった。と、同時に足が地面にはりついたようになって動けなくなってしまった。
「いつきん、大丈夫?」
「あ、うん。お城の中に入るの、なんだか緊張して……」
引き返してきたそたくんがふっと微笑み、僕の手を掴むと、引っ張ってくれた。まるで自分は今、王子に手を差し伸べられた姫のような気持ちだ。
そしてとうとうお城の中へ。
「いらっしゃい~」と、ぶかぶかな水色のスウェットセットアップを着たみずっきくんが玄関まで来てくれた。
「わぁ、みずっきくんのスウェット姿!」
「ふふっ、いつも家ではこんな感じだよ?」
王子系の衣装か、制服を着ている姿しか見たことがなかった。
部屋着の姿も癒されて、目の保養!
「しーおん起こしてくるから、みずっき編集する部屋に案内してあげて」
「しーおんくんはまだ寝てたんだ……早く来すぎたかな?」
「いや、もう十時だし。しーおんは朝弱いし、休日はいつも昼過ぎまで寝てるんだよね……」
そたくんが二階へ行くと「編集ルームはこっちだよ!」と、みずっきくんが一階の部屋を案内してくれた。
部屋に向かう途中に、筋トレ部屋やダンスの練習をするっぽい、鏡張りの部屋もあった。
「すごいね、このお城。色々な部屋があるんだね」
「そうそう、この家で一通りのことが出来ちゃうから、移動しなくてよいし、楽だよ」
「そうなんだ、すごいね!」
「でしょ? そたくんのお家がお金持ちだったのと、僕たちが頑張って稼いだお陰で今、この家があるんだ」
ふと放送室でれんくんと気まずい雰囲気になった時の言葉を思い出した。
〝俺たちはどんな時もずっと四人で頑張ってきて……〟って言葉。
プリレボは歌もダンスも、お芝居もとても上手だ。きっと小さなころから、僕が遊んでいた時間もレッスンをたくさんしてきたから、今はこんなに実力も人気もあるんだろうなぁ。
そうだよね、軽くプリレボに入るだなんて、言ってはいけない。
――やっぱりプリレボは、空高くにある、絶対に触ることの出来ない輝く太陽のような、僕にとってはずっと憧れの存在だ。
「このお城、本当に広すぎるね。異世界とか夢の世界とかにいるみたいで、歩くだけでそわそわする……」
「だよね、僕も住み始めたころはそわそわしていたよ」
「みずっきくんも?」
「うん。僕は小さな家に住んでいたからね。ここに住み始めた時は正直落ち着かなくて、元いた家に帰りたいって、しばらく思ってた。あっ、これは誰にも内緒だよ? でも今は、この家は僕……いや、僕たちにとっては、大切な宝物だよ」
「みんなの宝物――」
僕は廊下のキラめく白い壁に触れた。
プリレボにとって宝物の存在であるこのお城の中に僕を入れてくれたこと、プリレボの宝物に触れられたことが、すごく、もう本当にすごく、うれしい――。
僕はたくさん壁をペタペタ触って、もう一生来られないかもしれないこのお城の壁に、僕の指紋を残した。
「どうぞ入って! ここが編集部屋だよ」
僕は部屋の中に入ると隅々を見渡した。
パソコンとか大きいテレビとかプリンターとか……機械がいっぱいあった。
「この部屋も広いし、機械もたくさんあるし。さすがプリレボのお城だなぁ!」
「ここはね、普段はマネージャーが編集作業や書類作ったり、色々しているんだよ。あとはたまにそたくんやれんくんも引きこもって何か作業をしているなぁって感じかな」
パソコンの前にある椅子に座ってくるくる回っていると、しーおんくんがあくびをしながら部屋に入ってきた。寝癖がアンテナのように立っていて、薄紫色のスウェットセットアップを着ている。しーおんくんの部屋着も見ることができて、幸せ――。
よく見ると胸元にプリレボのキラキラ王冠マークが。
――もしかして?
みずっきくんのスウェットの胸元にも注目してみた。同じマークがある。
なんと、スウェットはみずっきくんと色違いだった。もしかして、メンバー全員色違いの部屋着を? もしそうだとしたら、グッズとして販売してほしい。僕もお揃いで着たい!
「いつきん、おはよ~! 今起きた」
「しーおんくん。おはようございます」
「今日は、よろしくね!」
「はい! こちらこそよろしくお願いします」
早速準備を始める。僕はスマホを手に持つと、動画編集アプリの、ほぼ完成したと思っていた動画の編集画面を開いた。しーおんくんが他にも椅子があるのに、わざわざ僕の椅子に座ってくる。
ひとりがけの椅子を半分ずつ使っている状態だったからもちろん狭い。だけど今は狭さよりも、ふたりの密着感が気になった。
ふ、ふたりの距離が近すぎる!
まさか、憧れのプリレボと同じ椅子に座る時が来るなんて。
しーおんくんからハーブ系の香りが漂ってきた。〝未来〟とか〝神秘的〟とか、なんかそんな言葉が似合いそうな香り。しーおんくんの空気を持って帰りたいと思い、僕は深く息を吸うとその空気を体に閉じ込めた。
ドキドキソワソワ。けれど平常心をよそおって、開いた画面をしーおんくんに見せた。
「一回全部動画を流して、全体の流れをもう一回把握したい、かな……」
「分かりました!」
しーおんくんのリクエストに僕は答えて、プレビューボタンを押した。みずっきくんも後ろからひょこっと画面を覗き込み、三人で真剣に僕が作った映像を眺めた。
あぁ、やっぱり何回みてもプリレボはカッコいいな――。
「本当にいつきん、この映像にあんまりいないよね」
「ねっ、いないよね。全体のところに小さく映っているだけだよね……そたくんがプンプンしてた理由が分かる」
しーおんくんが呟くとみずっきくんは頷きながらそう言った。
「わぁ、本当にお城だっ!!」
車から降り見上げると、胸がいっぱいになる。
あぁ、感動――。
とても大きな庭の中に、真っ白い建物が堂々とした姿でずしんと立っていた。僕が住んでいる家より百倍ぐらいありそう? それは盛りすぎかもしれないけれど、とにかく大きい。
――ここに、プリレボのみんなが住んでいるんだ!
他の人たちは門の扉を開けてすぐに入っていった。僕はこんなすごい場所に足を踏み入れてよいのか考えてしまった。と、同時に足が地面にはりついたようになって動けなくなってしまった。
「いつきん、大丈夫?」
「あ、うん。お城の中に入るの、なんだか緊張して……」
引き返してきたそたくんがふっと微笑み、僕の手を掴むと、引っ張ってくれた。まるで自分は今、王子に手を差し伸べられた姫のような気持ちだ。
そしてとうとうお城の中へ。
「いらっしゃい~」と、ぶかぶかな水色のスウェットセットアップを着たみずっきくんが玄関まで来てくれた。
「わぁ、みずっきくんのスウェット姿!」
「ふふっ、いつも家ではこんな感じだよ?」
王子系の衣装か、制服を着ている姿しか見たことがなかった。
部屋着の姿も癒されて、目の保養!
「しーおん起こしてくるから、みずっき編集する部屋に案内してあげて」
「しーおんくんはまだ寝てたんだ……早く来すぎたかな?」
「いや、もう十時だし。しーおんは朝弱いし、休日はいつも昼過ぎまで寝てるんだよね……」
そたくんが二階へ行くと「編集ルームはこっちだよ!」と、みずっきくんが一階の部屋を案内してくれた。
部屋に向かう途中に、筋トレ部屋やダンスの練習をするっぽい、鏡張りの部屋もあった。
「すごいね、このお城。色々な部屋があるんだね」
「そうそう、この家で一通りのことが出来ちゃうから、移動しなくてよいし、楽だよ」
「そうなんだ、すごいね!」
「でしょ? そたくんのお家がお金持ちだったのと、僕たちが頑張って稼いだお陰で今、この家があるんだ」
ふと放送室でれんくんと気まずい雰囲気になった時の言葉を思い出した。
〝俺たちはどんな時もずっと四人で頑張ってきて……〟って言葉。
プリレボは歌もダンスも、お芝居もとても上手だ。きっと小さなころから、僕が遊んでいた時間もレッスンをたくさんしてきたから、今はこんなに実力も人気もあるんだろうなぁ。
そうだよね、軽くプリレボに入るだなんて、言ってはいけない。
――やっぱりプリレボは、空高くにある、絶対に触ることの出来ない輝く太陽のような、僕にとってはずっと憧れの存在だ。
「このお城、本当に広すぎるね。異世界とか夢の世界とかにいるみたいで、歩くだけでそわそわする……」
「だよね、僕も住み始めたころはそわそわしていたよ」
「みずっきくんも?」
「うん。僕は小さな家に住んでいたからね。ここに住み始めた時は正直落ち着かなくて、元いた家に帰りたいって、しばらく思ってた。あっ、これは誰にも内緒だよ? でも今は、この家は僕……いや、僕たちにとっては、大切な宝物だよ」
「みんなの宝物――」
僕は廊下のキラめく白い壁に触れた。
プリレボにとって宝物の存在であるこのお城の中に僕を入れてくれたこと、プリレボの宝物に触れられたことが、すごく、もう本当にすごく、うれしい――。
僕はたくさん壁をペタペタ触って、もう一生来られないかもしれないこのお城の壁に、僕の指紋を残した。
「どうぞ入って! ここが編集部屋だよ」
僕は部屋の中に入ると隅々を見渡した。
パソコンとか大きいテレビとかプリンターとか……機械がいっぱいあった。
「この部屋も広いし、機械もたくさんあるし。さすがプリレボのお城だなぁ!」
「ここはね、普段はマネージャーが編集作業や書類作ったり、色々しているんだよ。あとはたまにそたくんやれんくんも引きこもって何か作業をしているなぁって感じかな」
パソコンの前にある椅子に座ってくるくる回っていると、しーおんくんがあくびをしながら部屋に入ってきた。寝癖がアンテナのように立っていて、薄紫色のスウェットセットアップを着ている。しーおんくんの部屋着も見ることができて、幸せ――。
よく見ると胸元にプリレボのキラキラ王冠マークが。
――もしかして?
みずっきくんのスウェットの胸元にも注目してみた。同じマークがある。
なんと、スウェットはみずっきくんと色違いだった。もしかして、メンバー全員色違いの部屋着を? もしそうだとしたら、グッズとして販売してほしい。僕もお揃いで着たい!
「いつきん、おはよ~! 今起きた」
「しーおんくん。おはようございます」
「今日は、よろしくね!」
「はい! こちらこそよろしくお願いします」
早速準備を始める。僕はスマホを手に持つと、動画編集アプリの、ほぼ完成したと思っていた動画の編集画面を開いた。しーおんくんが他にも椅子があるのに、わざわざ僕の椅子に座ってくる。
ひとりがけの椅子を半分ずつ使っている状態だったからもちろん狭い。だけど今は狭さよりも、ふたりの密着感が気になった。
ふ、ふたりの距離が近すぎる!
まさか、憧れのプリレボと同じ椅子に座る時が来るなんて。
しーおんくんからハーブ系の香りが漂ってきた。〝未来〟とか〝神秘的〟とか、なんかそんな言葉が似合いそうな香り。しーおんくんの空気を持って帰りたいと思い、僕は深く息を吸うとその空気を体に閉じ込めた。
ドキドキソワソワ。けれど平常心をよそおって、開いた画面をしーおんくんに見せた。
「一回全部動画を流して、全体の流れをもう一回把握したい、かな……」
「分かりました!」
しーおんくんのリクエストに僕は答えて、プレビューボタンを押した。みずっきくんも後ろからひょこっと画面を覗き込み、三人で真剣に僕が作った映像を眺めた。
あぁ、やっぱり何回みてもプリレボはカッコいいな――。
「本当にいつきん、この映像にあんまりいないよね」
「ねっ、いないよね。全体のところに小さく映っているだけだよね……そたくんがプンプンしてた理由が分かる」
しーおんくんが呟くとみずっきくんは頷きながらそう言った。



