昼休みの校内放送で、完成した映像がついに流された。
生徒たちの反応はとにかくすごかった。
「カッコよすぎる!」
「キャー!」
「めちゃくちゃ好き~!」
映像を流した瞬間、僕は放送室にいてドアを完全に閉めていたのだけど、黄色い悲鳴や叫び声が僕のところまで聞こえてきていた。
他のメンバーもいたのだけど、笑ったり無表情でいたり。こっちの反応は様々だった。ちなみに僕はいちファンとして反応がうれしくて笑顔が込み上げていた。
そして直後のエンタメ特別放送部へのアンケートの箱もすごくて。アンケート用紙で溢れていた。
今からメンバーみんなで、アンケート用紙を放送室でチェックする。
プリレボメンバーじゃない僕も映像に混ざっていたから、僕の悪口が書かれていないかちょっとドキドキ。だけどそれよりもきっとプリレボを崇拝、称賛する言葉だらけだと思うから、それは想像するだけで素直に嬉しすぎる。
一枚一枚丁寧に読んでいく。
『また次も楽しみにしています』
『王子は神を超えました』
『キラキラ眩しくてたまらなかったです』
『私もプリレボの青春に混ざりたい。壁でよいから』
想像通りの反応だった。
うんうん分かる!と頷きながら読み進めていった。順調に読み進めていたけれど、突然ピタリと手を止める。
……!?
手が止まってしまったのは、驚くことが書いてあったからだ。メガネを外すと目をこすり、もう一度メガネをかけ直してから確認した。
『あの、五人目の王子は誰ですか? カッコよかったです』
そんな非現実的な、僕を褒める言葉が他にもあった。
「相乗効果かな……?」
「えっ、どうしたのいつきん」
「いや、カッコよすぎるプリレボと一緒に映ることにより、その影響で僕の顔もカッコよく見える幻というか……」
「いつきんは、何を言ってるの?」
僕が呟くと、みずっきくんは僕が読んでいたアンケート用紙をひょっこりと覗いてきた。
「なるほど……いつきんもカッコよいってことだね!」
「えっ、全然、全然違う!」
僕は両手をぶんぶんさせて全力で否定した。
そんな感じで、この放送は大成功だと思っていたのだけど、思わぬところに落とし穴というか、僕にとっては問題だと感じることが起こった。
「今から放送する映像は、撮影録音禁止だよ! インターネットへの投稿はもちろん禁止。僕たちと君たちの秘密事ね!」と、そたくんが放送前に生徒たちに伝えてくれていた。
そう、映像が観られるのは、学校内にいる生徒限定だった。一般人の僕のプライベートを配慮してくれたからだ。
それなのに。
プリレボのファンである生徒のひとりが、学校で放送された僕たちの映像をスマホのカメラでこっそり撮っていた。
そして
『これ、うちの学校限定で放送されたやつ!このプリレボ映像、完全に神だから、全世界の人に見てほしい!王子のプライベートすぎて泣いた(涙の顔文字)』
という文章と一緒に、映像をインターネットのSNSにアップしてしまったのだ。
プリレボは世間でもトップレベルで、大人気すぎて、ひとりひとりが実力もカッコよさもすごくて……語ればもっと長くなりますが、とにかく魅力がたっぷりで王子オーラが溢れる本物王子たち。
しかも普段はライブなどの練習シーンは公開したことはあるものの、本当のプライベート姿をなかなか明かさない王子たちだ。
そんな王子たちなので、素朴で青春満載ナチュラルなリアル制服姿がアップされればもちろん一気に世間は大興奮の渦となり、拡散される。実際に今、拡散中だ。
さらにBGMはれんくんが作った、まだ未公開の素敵な青春ソングだったから、話題はさらに盛り上がってしまった。
プリレボだけの拡散なら一緒に盛り上げ隊として便乗し、素直に盛り上がれただろうけど、今回は僕も出演しちゃっているからなぁ。と、少し複雑な気持ちだった。
どうしたらよいか、放送室で会議を始めた。
全員各自座りながらスマホで拡散具合をチェックしている。
「『誰なのこの天使は?』だってさ。なんかさぁ、だんだんいつきんに話題集中してきてない?」
みずっきくんの言う通りだった。プリレボと一緒に映っている謎の男として、今僕は話題になっていた。
「はぁ、注目浴びるべきなのは僕ではなく、王子たちなのに。この空気、嫌だなぁ……」
「どうすればいいかなぁ……」と、そたくんが顎に手をやり真剣に考えてくれている。
どうしたらよいかって……僕のことについてだよね。わざわざ貴重なお時間を僕のために使ってくれて、ごめんなさいという気持ちが込み上げてくる。
「ご迷惑おかけしてすみません」
僕が謝ると「いやいや、いつきんが謝ることじゃないから。元気だして? まぁ、仕方ないよね。注意を守れなくなってしまうほど僕たちプリレボの魅力は溢れているから、姫も世界に拡散したくなるよね」と、そたくんが励ましてくれた。
対策を考えていると、しーおんくんがぼそり何かを呟いた。
「しーおん、今何か言った?」
そたくんがしーおんくんに尋ねるけれど、何も答えない。というか、しーおんくんの様子がそういえばさっきから何か、変?
視線が定まっていないし、ぼんやりとしている。大丈夫かな。
「まさか、あれが?」
「あれかな……」
また〝あれ〟って……。
たしか、こないだもしーおんくんが僕のスマホの寿命を少し伸ばしてくれた時、同じような会話を聞いたな。と思いながらしーおんくんを見つめた。
その時だった!
突然、しーおんくんの目がぱっちりと開いた。同時に瞳がダイヤモンドのように輝き出した。そしてなんと、しーおんくんがまぶしいくらいに発光した!
「イツキン、プリレボニ ハイリナサイヨ。ヨウコソ イラッシャイマセ」
まるでロボットのような話し方で、しーおんくんはそう言った。
――僕がプリレボに?
「宇宙神のお告げが、久しぶりに……」
みずっきくんが目を見開いて呟く。
久しぶりなの?
この状況は初めてではないの?
というか、宇宙神のお告げって何?
状況が全くつかめず。しどろもどろしていると「だよね」と言うように、そたくんとみずっきくんは顔を見合せながら頷きあった。それからふたりの視線はそのまま、れんくんへ。
れんくんは「分かった」と頷いた。
今まさに、僕以外のメンバーがテレパシーを使い会話をしているようだった。そしてそたくんは微笑み、僕の目を見つめて言った。
「プリンスレボリューション☆レインボーへ、ようこそ!」と。
あれ? 僕、プリレボに加入決定なの?
生徒たちの反応はとにかくすごかった。
「カッコよすぎる!」
「キャー!」
「めちゃくちゃ好き~!」
映像を流した瞬間、僕は放送室にいてドアを完全に閉めていたのだけど、黄色い悲鳴や叫び声が僕のところまで聞こえてきていた。
他のメンバーもいたのだけど、笑ったり無表情でいたり。こっちの反応は様々だった。ちなみに僕はいちファンとして反応がうれしくて笑顔が込み上げていた。
そして直後のエンタメ特別放送部へのアンケートの箱もすごくて。アンケート用紙で溢れていた。
今からメンバーみんなで、アンケート用紙を放送室でチェックする。
プリレボメンバーじゃない僕も映像に混ざっていたから、僕の悪口が書かれていないかちょっとドキドキ。だけどそれよりもきっとプリレボを崇拝、称賛する言葉だらけだと思うから、それは想像するだけで素直に嬉しすぎる。
一枚一枚丁寧に読んでいく。
『また次も楽しみにしています』
『王子は神を超えました』
『キラキラ眩しくてたまらなかったです』
『私もプリレボの青春に混ざりたい。壁でよいから』
想像通りの反応だった。
うんうん分かる!と頷きながら読み進めていった。順調に読み進めていたけれど、突然ピタリと手を止める。
……!?
手が止まってしまったのは、驚くことが書いてあったからだ。メガネを外すと目をこすり、もう一度メガネをかけ直してから確認した。
『あの、五人目の王子は誰ですか? カッコよかったです』
そんな非現実的な、僕を褒める言葉が他にもあった。
「相乗効果かな……?」
「えっ、どうしたのいつきん」
「いや、カッコよすぎるプリレボと一緒に映ることにより、その影響で僕の顔もカッコよく見える幻というか……」
「いつきんは、何を言ってるの?」
僕が呟くと、みずっきくんは僕が読んでいたアンケート用紙をひょっこりと覗いてきた。
「なるほど……いつきんもカッコよいってことだね!」
「えっ、全然、全然違う!」
僕は両手をぶんぶんさせて全力で否定した。
そんな感じで、この放送は大成功だと思っていたのだけど、思わぬところに落とし穴というか、僕にとっては問題だと感じることが起こった。
「今から放送する映像は、撮影録音禁止だよ! インターネットへの投稿はもちろん禁止。僕たちと君たちの秘密事ね!」と、そたくんが放送前に生徒たちに伝えてくれていた。
そう、映像が観られるのは、学校内にいる生徒限定だった。一般人の僕のプライベートを配慮してくれたからだ。
それなのに。
プリレボのファンである生徒のひとりが、学校で放送された僕たちの映像をスマホのカメラでこっそり撮っていた。
そして
『これ、うちの学校限定で放送されたやつ!このプリレボ映像、完全に神だから、全世界の人に見てほしい!王子のプライベートすぎて泣いた(涙の顔文字)』
という文章と一緒に、映像をインターネットのSNSにアップしてしまったのだ。
プリレボは世間でもトップレベルで、大人気すぎて、ひとりひとりが実力もカッコよさもすごくて……語ればもっと長くなりますが、とにかく魅力がたっぷりで王子オーラが溢れる本物王子たち。
しかも普段はライブなどの練習シーンは公開したことはあるものの、本当のプライベート姿をなかなか明かさない王子たちだ。
そんな王子たちなので、素朴で青春満載ナチュラルなリアル制服姿がアップされればもちろん一気に世間は大興奮の渦となり、拡散される。実際に今、拡散中だ。
さらにBGMはれんくんが作った、まだ未公開の素敵な青春ソングだったから、話題はさらに盛り上がってしまった。
プリレボだけの拡散なら一緒に盛り上げ隊として便乗し、素直に盛り上がれただろうけど、今回は僕も出演しちゃっているからなぁ。と、少し複雑な気持ちだった。
どうしたらよいか、放送室で会議を始めた。
全員各自座りながらスマホで拡散具合をチェックしている。
「『誰なのこの天使は?』だってさ。なんかさぁ、だんだんいつきんに話題集中してきてない?」
みずっきくんの言う通りだった。プリレボと一緒に映っている謎の男として、今僕は話題になっていた。
「はぁ、注目浴びるべきなのは僕ではなく、王子たちなのに。この空気、嫌だなぁ……」
「どうすればいいかなぁ……」と、そたくんが顎に手をやり真剣に考えてくれている。
どうしたらよいかって……僕のことについてだよね。わざわざ貴重なお時間を僕のために使ってくれて、ごめんなさいという気持ちが込み上げてくる。
「ご迷惑おかけしてすみません」
僕が謝ると「いやいや、いつきんが謝ることじゃないから。元気だして? まぁ、仕方ないよね。注意を守れなくなってしまうほど僕たちプリレボの魅力は溢れているから、姫も世界に拡散したくなるよね」と、そたくんが励ましてくれた。
対策を考えていると、しーおんくんがぼそり何かを呟いた。
「しーおん、今何か言った?」
そたくんがしーおんくんに尋ねるけれど、何も答えない。というか、しーおんくんの様子がそういえばさっきから何か、変?
視線が定まっていないし、ぼんやりとしている。大丈夫かな。
「まさか、あれが?」
「あれかな……」
また〝あれ〟って……。
たしか、こないだもしーおんくんが僕のスマホの寿命を少し伸ばしてくれた時、同じような会話を聞いたな。と思いながらしーおんくんを見つめた。
その時だった!
突然、しーおんくんの目がぱっちりと開いた。同時に瞳がダイヤモンドのように輝き出した。そしてなんと、しーおんくんがまぶしいくらいに発光した!
「イツキン、プリレボニ ハイリナサイヨ。ヨウコソ イラッシャイマセ」
まるでロボットのような話し方で、しーおんくんはそう言った。
――僕がプリレボに?
「宇宙神のお告げが、久しぶりに……」
みずっきくんが目を見開いて呟く。
久しぶりなの?
この状況は初めてではないの?
というか、宇宙神のお告げって何?
状況が全くつかめず。しどろもどろしていると「だよね」と言うように、そたくんとみずっきくんは顔を見合せながら頷きあった。それからふたりの視線はそのまま、れんくんへ。
れんくんは「分かった」と頷いた。
今まさに、僕以外のメンバーがテレパシーを使い会話をしているようだった。そしてそたくんは微笑み、僕の目を見つめて言った。
「プリンスレボリューション☆レインボーへ、ようこそ!」と。
あれ? 僕、プリレボに加入決定なの?



