たぶん、君は忘れる。


私とは何もかも違うように見えた。

そんな人がいる。




「おはよう」

そう声をかけてくれたのは、同じクラスの萩原深人(おぎわらみひと)

「おはよ」

いつものように少し口角をあげる。
荻原とは、友達なのかと言われれば首をかしげる。

彼と私は天と地だった。

 強いて言えば、同じクラスで音楽が好きだという共通の趣味と共有の友人がいたということ。
委員会で同じになり、たびたび話すことがあっただけ。

 荻原は同じクラスになってから、律儀にあいさつする。
荻原はおはようという際、なぜか目を合わせていた。

 そういうところが女子に受けるのだろうと思う。
本人曰く、告白されたことなんてないらしい。

 絶対にモテるだろうに、と内心そう思いながら、口を開く。
だがすぐに噤み、ごくんと言葉を飲み込む。

近づいていくにつれて。
踏み込んでいくにつれて。
だんだんと、「荻原深人」がどんな人物なのか。
知っていくにつれて、

戻れなくなっていく。

これじゃ、認めなくてはいけなくなる。

私が萩原が好きだと。