「……というわけで、明日から朝起こしに来ないことにしたから」
講義が終わってから部屋を訪ねて、夕飯の肉野菜炒めを食べながらそう告げると、昴生はぽろりと箸を取り落とした。
「な……んだよ、急に」
「ほら、昴生も来なくていいって言ってただろ?」
「いや、それは……」
昴生は何か言い淀み、しかし口を閉じた。
「今まで過干渉だったなって反省したんだ。あんまり手を出しすぎるのも昴生のためにならないと思って」
「……」
「あと飯作りに来るのも控えるから」
「え」
昴生は弾かれたように顔を上げた。
「俺が作らなくてもちゃんと食えよ。いつも食費出してくれてありがとうな」
「い、や……別に……」
昴生の表情が曇っている気がする。視線がうろうろと彷徨い、落ち着きなく何度も足を組み変えている。突然のことで驚いたのだろうか。
「あ、合鍵も返した方がいいかな」
キーケースから鍵を取り外すと、昴生はテーブルの上のそれを凝視した。
「お……お前が持っていたいなら返さなくていい」
「え? 別に持っていたいわけじゃないよ」
朝起こしに行くために必要だっただけで、俺には友達の部屋の合鍵を持ち歩く趣味はない。防犯面を考慮しても返すべきだろう。しかし昴生はなかなか受け取ろうとしない。
「どうした? 何か問題ある?」
「も、問題は……ねえけど」
「なら良かった。ちょっと寂しくなるけど、何かあったら言ってくれよ」
「はあ? 誰も寂しいなんて言ってねえだろ」
「はいはい、分かったよ。怒るなって」
改めて指摘されて気づいたことだけど、今までは幼馴染といえど距離感がおかしかったように思う。きっとこれで適切な距離感で昴生と接することができるようになるはずだ。
その後、昴生はやけにゆっくりと残りの夕飯を食べ進めた。その姿は最後の晩餐を味わっているようにも、食事が喉を通っていないようにも見えた。いきなり色々言ったからプレッシャーをかけてしまったのかもしれない。
隣に住んでいることには変わりないし、いつでも会えるんだからそう大きな変化はないと思うんだけどな。それにいつまでも俺におんぶにだっこじゃ昴生もこの先困るだろう。これは生活を見直すいい機会なのだ。
講義が終わってから部屋を訪ねて、夕飯の肉野菜炒めを食べながらそう告げると、昴生はぽろりと箸を取り落とした。
「な……んだよ、急に」
「ほら、昴生も来なくていいって言ってただろ?」
「いや、それは……」
昴生は何か言い淀み、しかし口を閉じた。
「今まで過干渉だったなって反省したんだ。あんまり手を出しすぎるのも昴生のためにならないと思って」
「……」
「あと飯作りに来るのも控えるから」
「え」
昴生は弾かれたように顔を上げた。
「俺が作らなくてもちゃんと食えよ。いつも食費出してくれてありがとうな」
「い、や……別に……」
昴生の表情が曇っている気がする。視線がうろうろと彷徨い、落ち着きなく何度も足を組み変えている。突然のことで驚いたのだろうか。
「あ、合鍵も返した方がいいかな」
キーケースから鍵を取り外すと、昴生はテーブルの上のそれを凝視した。
「お……お前が持っていたいなら返さなくていい」
「え? 別に持っていたいわけじゃないよ」
朝起こしに行くために必要だっただけで、俺には友達の部屋の合鍵を持ち歩く趣味はない。防犯面を考慮しても返すべきだろう。しかし昴生はなかなか受け取ろうとしない。
「どうした? 何か問題ある?」
「も、問題は……ねえけど」
「なら良かった。ちょっと寂しくなるけど、何かあったら言ってくれよ」
「はあ? 誰も寂しいなんて言ってねえだろ」
「はいはい、分かったよ。怒るなって」
改めて指摘されて気づいたことだけど、今までは幼馴染といえど距離感がおかしかったように思う。きっとこれで適切な距離感で昴生と接することができるようになるはずだ。
その後、昴生はやけにゆっくりと残りの夕飯を食べ進めた。その姿は最後の晩餐を味わっているようにも、食事が喉を通っていないようにも見えた。いきなり色々言ったからプレッシャーをかけてしまったのかもしれない。
隣に住んでいることには変わりないし、いつでも会えるんだからそう大きな変化はないと思うんだけどな。それにいつまでも俺におんぶにだっこじゃ昴生もこの先困るだろう。これは生活を見直すいい機会なのだ。



