僕らの好きは幽霊だってぶっ飛ばす!

「見ーたーぜぇ、鳴海!」

 登校し、自分の席で頬杖をついてぼんやりとしていた鳴海の前に、友人の白井(しらい)黒川(くろかわ)が並んでやって来る。
 天然パーマのかかった金髪が特徴的で、明るいムードメーカーな白井。そして黒髪のハーフアップにオシャレ用の黒縁メガネをした、大人っぽくてマイペースな黒川。
 白井は鳴海が入学式の時に3年生から絡まれた際、参戦して共に戦い、その縁から友達になった男だ。
 一方黒川とは中学の時からの付き合いで、鳴海の喧嘩をたしなめつつ、キレたら鳴海より恐いという一面を持つ男である。
 そんな二人は、鳴海の近くの席に着く。
 白井はその天然パーマの金髪をかき上げ、ニヤニヤと笑いながら言葉を続けた。

「土曜日! おまえ、好きって言ってた先輩と一緒だったろ!」

 白井の言う土曜日とは、朱音の家へ【幽霊】退治に向かった日のことだ。
 鳴海は頬杖をついたポーズのまま微塵も動かず、目線だけを白井から背ける。
 それだけで、白井と黒川は、この話が本当であることを見抜いた。

「おいマジかよ! おまえ何? 告白上手くいったの!?」
「そういや告白するってとこまでは聞いてたけど、その後のことは聞いてなかったな」

 興奮する白井に反し、黒川は落ち着いた様子でそう言った。
 二人からの追求を前に、鳴海は仕方なく口を開く。

「まあ……上手くいった」
「うおおおおおお! いやなんでおまえ言わねーの!? 俺たち応援してたじゃん!」
「おまえらに話すと晴香さんが減る」
「減らねーだろ!」

 白井のツッコミを横で笑いつつ、黒川もまた、口端を持ち上げながら話に参加した。

「上手くいったなら良かったじゃん、おめでとう」
「どうも」
「で、土曜日はデートだったわけか」
「……いや」

 黒川の言葉に鳴海はそう答える。
 それは照れからくる否定でないことに気付き、黒川は首を傾げた。

「晴香さんの友達の家に行ってた」
「えぇー、何その状況!?」
「野暮用で」
「なんだよデートじゃねぇのかー」

 一人盛り上がっていた白井が、自分のことのようにがっくりと肩を落とす。
 それを横目に、鳴海は言葉を続けた。

「デートは今度する」
「マジ!?」
「おおー」

 ちょっと自慢気な鳴海に向け、白井と黒川はパチパチと拍手を向けた。

「いいなぁ~、入学して間も無いのにおまえだけ甘酸っぱくてー」

 椅子をガタガタと揺らしながら、駄々をこねるようにそう言う白井に、黒川は思わず苦笑する。
 何せ白井は、先日まで付き合っていた彼女がいたし、今も何人かの女子からアプローチを受けているのだ。だからどの口が言うんだ、と黒川は思った。

「デートは何処行くんだ? どんなデートコースにするんだ!?」
「何処に行くかは決まってもおまえにだけは教えない」
「なんでだよー!」

 身を乗り出して訊いてくる白井を一刀両断しながら、鳴海は黒川の方を向いた。

「訊きたいんだけど」
「ん?」
「黒川はデート、何してる?」

 問われた黒川の隣で、なんで俺には訊かねぇんだと白井が文句を言っていた。
 とはいえ白井も、どうして鳴海が黒川の方に質問したのかわかっている。というのも、黒川は現在、大学生のお姉さんとお付き合いしているからだ。
 年上と付き合っているという共通点から、鳴海は黒川を選んだのだろう。

「んー、俺たちはまあ普通に、その時行きたいところ決めて行ってる感じ。正直特別なことはしてねぇよ? 映画観たり、服屋行ったり、たまにあっちの運転でドライブしたり?」
「んまーっ、黒川くんたら大人~!」
「茶化すなって」

 にまにま笑う白井の腹に、黒川は優しくであるが一発入れておく。
 そうして黒川が鳴海の方を見ると、どうやらまだ何か悩んでいるようだった。

「何? おまえは何で悩んでんの?」
「んー……晴香さんが楽しいって思うデートがしたくて。何すれば喜んでもらえるかなって」
「そんなん、当人が行きたいところに連れてったり付き合ったりしてやりゃいいだろ」
「まあ、そうなんだけど……」

 煮え切らない鳴海を前に、黒川は苦笑する。
 それは実に大人びた表情だった。

「わかるよ。好きな相手にはカッコいいとこ見せてぇよな。スマートにエスコートして、すげぇって思われたいよな」
「………」
「でもな、無理してるのって絶対バレるからやめとけ」
「……ん」

 納得したのか、鳴海は小さく頷いた。
 そんな二人の間に、再び白井が入ってくる。

「御影先輩だっけ? 遠くから見たことあるけど可愛い系だよな」
「でも他校の奴らに絡まれてた時に助けに入ってくれたんだろ? 男気あるよな」
「そうそう、そこがいいよな。ギャップ萌え的な? 見た目だけなら絶対そんなことしなさそうなのに」
「中学の時、いきなり先輩に惚れただの何だの言い出した時はビビったけど、上手くいって良かったな」

 言って、二人が鳴海の方を見ると、当の本人はどこか不機嫌そうな表情を浮かべていた。
 二人が目を丸くして首を傾げると、鳴海はゆっくりと口を開く。

「……なんか、やっぱりおまえらに話すと晴香さんが減る気がする」

 そんな可愛い嫉妬心を表に出すものだから、白井と黒川は声を上げて笑うのだった。




   ***




「鳴海くん、一緒にお弁当食べない?」
「こっちの席空いてるよー」

 午前の授業が全て終わり、先生が教室から出るや否やというところでそんな声が鳴海の近くで上がった。
 そちらを見れば女子のグループが、すでに机をくっつけお昼ご飯を広げているところだった。
 鳴海はそれを一瞥すると、ハッキリと告げる。

「約束があるから」

 温度を感じさせない、ひんやりとした声音だった。
 一連のやり取りを見ていた白井が割って入る。

「はーい、はい。鳴海くんの代わりに俺参上でーす」
「白井は呼んでないんですけどぉー」
「うるせーです。鳴海くんは約束があるって言ってるでしょうが」
「えー、鳴海くんと一緒に食べたいなー」

 甘えるような彼女たちの様子など視界に入れず、鳴海は教室を出て行く。
 しぶとく引き止める声が背中に当たったが、鳴海が振り返ることは無かった。
 少しの迷いも無く、その足は待ち合わせ場所――屋上に通じる階段の通り場へ向かう。
 そこに到着すると、すでに想い人の姿があった。

「あ、鳴海くん」
「晴香さん」

 そこで初めて鳴海の表情が柔らかくなる。
 晴香は広い踊り場の端寄りの場所にちょこんと座り、二つの包みを足元に置いていた。
 まるでそこだけ日が射しているように明るい。
 鳴海は陽だまりに誘われる猫と同じ動きで、晴香の隣に腰を下ろす。

「はい。これお弁当」

 晴香が、慎重な手付きで包みの内の一つを差し出してくる。それを受け取った鳴海は、晴香以上に丁寧な所作で包みを引き寄せた。

「本当に……作ってくれたんですか」
「当たり前だよ、お礼だもん」
「ありがとうございます」

 感極まるとはこのことかと鳴海は思った。
 早速包みを取り、お弁当を開封する。中にはぎっしりと色とりどりのおかずが詰まっており、二段目にはふりかけご飯が敷き詰められていた。
 栄養と見た目のバランスが良いこのお弁当を作れるあたり、晴香が日頃から料理をしている姿が垣間見える。そもそもお菓子作りが得意といっていたので、彼からすればその延長なのかもしれない。

「いただきます」

 手を合わせ、一礼する。
 そうして鳴海は、きんぴらごぼうに箸を伸ばし口に入れた。
 シャキシャキのごぼうと柔らかいにんじん、その素材を活かした甘辛い味が口の中に広がる。
 あまりにも自分好みの味付けだったので、鳴海は晴香の方を見た。
 晴香は不安そうな表情を浮かべる。

「お……美味しくなかった?」
「逆です。美味しすぎて感動しました」
「そ、そう? それなら良かった」

 ホッと胸をなでおろした晴香が、自分のお弁当を開け、鳴海と同じようにきんぴらごぼうを口にする。
 ニコニコと上機嫌で食べるその姿を見ているだけで、鳴海は胸がいっぱいになった。

「晴香さん」
「うん?」
「今度のデートの話なんですけど」
「うっ……う、うん」

 予想していなかった話題だったのか、晴香はむせる一歩手前になっていた。

「ショッピング以外で行きたい所とかやりたいことってありますか? よく考えたら俺、晴香さんの意見を全然聞いてなかったんで」
「え、そんなことないよ。ショッピングだって僕が行きたいって思ってたことだし」
「そうですか。なら良かったです」
「逆にさ、鳴海くんこそ行きたい所とかやりたいことってないの?」
「え……」

 虚を突かれたように、鳴海が目を見開く。

「せっかくのデートなんだから、お互いにしたいことしようよ」
「………」

 なんてことではないように朗らかに笑う晴香。そんな彼を前に、鳴海は胸の奥が熱くなるのを感じた。
 鳴海はずっと、晴香を楽しませるデートを模索していた。
 晴香の行きたい所に行き、晴香のやりたいことをやり、晴香を心から満足させる、そんなデートを思い描いていた。
 しかし、当の晴香は違った。
 晴香は『二人の』デートであることを大切にしていたのだ。

「……キラキラする」
「え?」
「晴香さんは……出会った時からずっと、眩しいです」
「眩しい?」
「あなたは……俺の、たった一つの光です」

 告白した時以上に慎重に……鳴海は思いの丈を晴香に伝えた。
 そして改めて、晴香という光が、今傍にいることを実感する。
 中学生のあの時まで真っ暗闇にいた自分の心を救ってくれた光。
 その淡くて優しい光が消えてしまわないか不安になり、鳴海の手は晴香の頬にピタリと触れる。

「鳴海くん……?」
「……好きです、晴香さん」

 目を細めてそう告げれば、晴香は顔を赤く染め上げる。
 でもそこに拒絶の意思は無く、それだけで鳴海は安堵した。
 この光が永遠に自分だけのものでありますように。
 そう心の中で唱え、指先でもう一度晴香の頬を撫でると、手作りのお弁当へと向き直り、話を戻した。

「俺は……晴香さんの傍に居られればなんだって嬉しいです。楽しそうにしている晴香さんを見ているだけで幸せです」
「そ、それはありがとう」
「だから晴香さんとのショッピングデート、凄く楽しみです」
「うん。僕も」
「……ただ、一つわがままを言うなら」

 鳴海は照れから一度目を逸らし、改めて晴香を見つめた。

「以前言いましたが、俺の家に来てほしいです」

 ジッと目で訴えかけるように晴香を見れば、彼は視線を泳がせつつ、最終的に鳴海へと向き直った。

「……わ、わかった。行くよ。鳴海くんち」

 気恥ずかしさからたどたどしく返答する晴香に、鳴海は愛しさを募らせる。
 正直なことを言えば今すぐ、いや常に晴香にキスをしたいし、それ以上のことだってしたい。
 だけど無理やりのような真似はしたくないし、そもそもそんなことをして晴香から嫌われでもしたら自分がどうなってしまうかわからない。
 その恐怖に比べれば、自制を利かせることの方が何倍も楽だ。

「ごちそうさまでした」

 空になったお弁当箱の前で手を合わせ、鳴海は一礼する。
 完食されたのが嬉しいのか、ニコニコと笑う晴香は食べ終えたお弁当を受け取ろうと手を伸ばす。が、鳴海が手を掴みそれを阻止した。

「洗って返します。それぐらいさせてください」
「そう? じゃあお言葉に甘えて」

 お願いね、と晴香から言われ、鳴海は大きな使命を請け負った軍人のように頷いた。
 と、不意にどこからか視線を感じる。
 鳴海は晴香の手を離すのも忘れ、そちらへ振り向く。

「……?」

 階下の踊り場のところに、一人の青年が立っている。
 京紫色の着物をまとったその男の顔は、モヤでまったく見えない。なのに鳴海は、男からの視線……いや、強い殺意を感じた。
 恐らくあの男も【幽霊】なのだろう。
 しかし、今まで見たどの【幽霊】とも違う、なんと言えばいいのだろう……怨念の強さのようなものがあった。
 怒っている、または憎んでいる、という思いの強さがこちらにまで届く。
 もしその矛先が晴香ならば許せない――と、鳴海は眉間にしわを寄せた。

「鳴海くん?」

 晴香が、身を乗り出しながら鳴海の顔を覗く。
 鳴海は晴香の方を見た――その一瞬で、着物の男は消えていた。階下の踊り場にはもう、誰もいなくなっている。

「どうしたの?」
「いえ……見間違いでした」

 晴香を不安にさせたくなくて、鳴海は言葉を濁す。
 だが、晴香はそれで納得してくれなかったようで、やはり鳴海の顔を覗き込みながら口を開いた。

「鳴海くん」
「はい」
「鳴海くんも、ちゃんと僕に頼ってね」
「………」
「そりゃあ僕は鳴海くんに比べたら頼りないと思うけど……でも、僕にできることだってあると思うから……だから頼ってね」

 また、キラキラしている、と鳴海は思った。
 屋上に続く扉に着いたガラス窓から差し込む光。それが逆光となって、晴香の顔が眩しくて見れない。
 頼りにならないなんて、そんなことはない。むしろ、ただ傍に居てくれるだけで、こんなにも心を埋めてくれているというのに。
 鳴海は、溢れる思いのまま晴香を抱き寄せた。

「わっ……な、鳴海くん?」
「晴香さんが気付いていないだけで、俺はいっぱい晴香さんを頼りにしています」
「そ、そう? ならいいけど……」
「はい。ずっとこうして俺の傍に居て下さい。その為なら俺は、なんだってしますから」

 腕の中で、大袈裟だよと晴香が笑う。
 それだけで鳴海は心の奥底に光が灯るのだった。




   ***




 笛の音が体育館に響く。その合図に合わせ、各部員の持ったバスケットボールがドリブルされる。
 バスケ部である鳴海と黒川もまた、整列した一年生の集団に混じりドリブルを繰り返していた。
 だが両者は身長が180センチを越えていること、そしてバスケのセンスがあることから、一年生たちの中でも二つの意味で頭一つ抜けているのだった。

綾瀬(あやせ)さんが嘆いてたぞ」

 隣で綺麗なフォームでドリブルを繰り返している黒川が、突拍子も無くそんなことを口にする。
 鳴海は首傾げ、黒川の方を向いた。

「誰?」
「おまえホントひでぇやつ。同じクラスの女子。白井がクラスで一番可愛いっつってた子」
「……ああ」

 確かにそんなクラスメイトがいたな、と鳴海はあまり興味の無い頭でそう思った。
 余談ではあるがこの綾瀬さんとやらは、白井が評するように、先輩たちの間でも有名になるぐらい容姿に恵まれた子である。
 だが、鳴海からするとその他大勢の一人でしかなかった。

「で、嘆いてたって、なんで?」
「鳴海くんとお昼一緒に食べたかったー、ってさ。っていうか日頃からあんだけアプローチされてて印象に残ってないとか、ある意味才能だよおまえ」

 苦笑混じりの黒川の嫌味に、しかし鳴海はたいした反応を見せなかった。
 黒川は、ふ、とますます苦笑いを強める。

「おまえは中学の時から他人に興味が無い奴だったもんなぁ。そのくせモテるし目立つから喧嘩も売られ放題」
「………」
「一回だけおまえ、俺に弱音吐いたことあったよな。ずっと心に穴が空いている気がする、って」
「………」
「まあ、おまえが自分の心を埋められる相手を見つけられたみたいで良かったよ。綾瀬さんにはお気の毒だけど」

 中学生だったある時、突然鳴海がやや偏差値の高い高校を目指すと言い始め、黒川は非常に驚いた。それまでの鳴海という男は、ある意味で主体性が無く、なるようになる、そんな生き方を続けていたからだ。
 だから黒川は面白半分で言った。好きな人でもできたのか、と。
 その時、無言で頷いた鳴海の瞳には、確かに輝きが灯っていた。

「御影先輩かぁ。俺もちょっと会ってみたい、なんて……」

 黒川の言葉が途切れたのは、鳴海が物凄く凶悪な顔で睨んできたからだ。

「おまえなぁ、独占欲強すぎないか?」
「……晴香さんは繊細な人だから、おまえや白井みたいな大男が傍に寄るだけでストレスになる」
「おまえがそれ言う?」

 大男どころか目付きも顔付きも強面なくせに、と黒川は心の中でツッコミを入れておく。
 だがその反面、晴香のこととなると感情の起伏が激しくなる鳴海を面白いとも感じていた。

「もし御影先輩が浮気したらどうなるのおまえ?」
「そもそも晴香さんは浮気をするような人じゃないから、その前提が間違ってる」
「わーお」
「傍から見て浮気しているかのように思われるその状況は、たぶん晴香さんに一方的に言い寄る奴がいるって状況だろうな。それは晴香さんを困らせてるってことだから、俺は遠慮なくぶっ飛ばすよ。恋人として」

 ハッキリと言い切った鳴海に、黒川は感心しつつ、その妄信ぶりにちょっとだけ引いてみせる。
 やっぱり先輩が絡むと鳴海は実に面白くなる、と黒川はさっきから笑いが込み上げて仕方がない。

「そーいやデートの悩みについては解決したのか?」
「した」
「おー、良かったじゃん」
「……晴香さんはやっぱり凄かった」

 浸りながら話し始めた鳴海に、なんか始まったぞといった表情で黒川は様子を伺う。

「俺のしたいことや行きたいところについても訊いてくれたんだ。何故なら二人のデートだからな。俺は晴香さんさえ楽しんでくれればそれで幸せいっぱいなのに……晴香さんは俺のことを気にかけてくれる。何故なら、二人のデート、だからな」

 どこまでも『二人のデート』を強調してくる鳴海に、黒川は引き攣った笑みを見せた。
 ただなんにせよ、悩みが解決したようで良かったとも思う。

「聞いてる限りだと、御影先輩ってお互いのことを思いやってくれる大人だし、おまえの喧嘩に加勢してくれる勇気ある人ってことだろ? 見た目からはわかんないもんだなー。やっぱいつかちゃんと紹介してほしいわ」

 そんなことを話している内に練習時間を終える笛が鳴り響いた。
 一旦ボールを片付け、指示された時間まで休憩時間を迎える。
 二人はタオルを肩にかけながら、体育館傍にある水道へと足を運んだ。
 まだ春先だというのにすでにだいぶ初夏の空気を感じる。そんな中で体を動かしていたからか、水の冷たさが心地良い。

「あ」

 隣にいた黒川がそんな声を上げる。
 最初は気にも留めず水を飲んでいた鳴海だったが、肩を叩かれたので顔を上げた。
 瞬間、鳴海の目が見開かれる。
 前方の少し離れたところに、控えめに手を振る晴香の姿があったからだ。

「晴香さん……!」

 一目散に晴香の元へ鳴海は駆け寄る。
 余談だが、出しっ放しの水は、黒川がしっかり止めてくれていた。

「どうしたんですか……。今日は部活があるって連絡したはずですが」

 何かあったのかと、鳴海は心配そうに表情を曇らせた。
 しかし一方の晴香は穏やかな笑みを浮かべる。

「ちょうど僕も図書委員で集まることになって、さっき終わったんだ。それでなんか……」
「?」

 一度言葉を区切り、晴香はややためらいがちに続ける。
 その顔はどことなく赤い。

「なんか……鳴海くんと一緒に帰りたい気分になって……」
「っ!」
「迷惑でなきゃ、部活が終わるまで待っていようかと思うんだけど……」
「迷惑なわけないじゃないですか。俺、幸せで死ねるなら今死ねます。晴香さんと一緒に帰りたいから死にませんけど。ああ、くそっ、さっきの晴香さんを動画で撮っておきたかった」
「お、落ち着いて」

 晴香に制され、鳴海はキュッと口を結ぶ。
 そうして改めて口を開いた。

「晴香さん……凄く嬉しいです。むさ苦しいところですけど待っていてもらえますか?」
「御影先輩の方が勝手知ったる場所だろうが」

 後ろから黒川のツッコミが入る。
 いつの間にか二人の側まで来ていた黒川は、鳴海の頭に軽くチョップを入れつつ、晴香の方へと向き直った。
 晴香のことを黒川は遠くからしか見たことがなかったが、こうして間近で会ってみると想像以上に華奢で、小動物のような印象を受けた。
 傍から見れば、巨躯な男たちに絡まれていると勘違いされるかもしれないと、黒川は内心苦笑する。

「あ……こ、こんにちは。御影晴香です」

 緊張しているのがこちらに伝わるぐらい顔を強張らせ、それでもしっかりと一礼して名を名乗るその姿に、黒川は好印象を抱く。
 というより、庇護欲に近い気持ちかもしれないと思った。鳴海には絶対に言わないようにしないと、とも思った。

「黒川です。鳴海とは中学の時からの付き合いで、今は同じクラスです」
「そ、そうなんですね。あの僕、鳴海くんとはその……」
「お付き合いされてるんですよね。聞いてます」
「うっ……は、はい。そうです」

 顔を赤らめながらも目を逸らさないその姿勢に、黒川はますます好感度を上げた。
 最初はこんな小動物のような人が鳴海の喧嘩に加勢したなんて信じられなかったが、なるほど、確かに芯を感じる。
 なんだかんだ付き合いの長い鳴海に――友人に、果たしてどんな恋人ができたのかと若干心配はしていたが……この人なら大丈夫だろうと、直感的に黒川は感じ取れた。

「っていうか先輩、敬語じゃなくていいですよ」
「え、でも……えっと……はい。わ、わかった」
「ふっ……なんか可愛いですね、先輩」

 思ったことをそのまま正直に口にしたのがまずかった。
 隣にいた鳴海から、今にも掴みかかられそうな勢いで睨まれる。
 自分の縄張りを荒らす輩を威嚇する猫……というより黒豹のような迫力だ。

「晴香さんが可愛いのには同意するが、許可無く表に出すのは許せない」
「わかったわかった。そんな調子じゃ、白井が先輩に絡んだりでもしたらやべーんじゃねぇのおまえ」
「えー、ひでぇなぁ。先輩からもなんか言ってやってくださいよー」

 突然入ってきた第三者の声に、鳴海と黒川は瞳孔を開いて固まる。
 見れば、いつの間にか晴香の肩に手を置き、すり寄る白井の姿があった。
 その姿を視界に入れた途端、鳴海は間髪入れず白井を殴り飛ばしていた。

「いてーッ!?」
「ななな鳴海くん!?」

 大仰に吹っ飛んだがピンピンしている白井と、突然の展開に色々と追いついていない晴香。
 黒川は頭を抱えて惨状を見届ける。

「晴香さん、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫っていうか何が何やら……」

 鳴海は晴香を背後から抱きしめながら、白井の触れていた肩をぺしぺしと払っていた。
 一方の放置されている白井があまりにも哀れで、黒川は手を貸して起こしてやる。
 改めて四人は向き合った。

「鳴海! いきなり殴ることねぇだろ!」
「おまえこそよくもその汚い手で晴香さんに触れたな……」
「汚いとはなんだ! 手フェチのアキちゃんからは白井くんの手って今まで見た中で一番素敵な手とまで言われてるんだぞ!」
「あーもー、白井は黙って、鳴海は落ち着けって」

 ため息を隠しもせず、黒川は心底面倒臭そうな顔で仲介に入る。
 これでこの二人、喧嘩で共闘する時は息ピッタリなのだからわからないものである。
 とりあえず両者が黙り込んだのを見て、唖然とした顔で事の成り行きを見ていた晴香へ声をかけた。

「御影先輩。そこのうるせー奴は白井って言って……まあ、俺たち三人でよくつるんでたりします」
「ども、白井です! 先輩のお話は兼ねがね伺っております!」
「あ……ど、どうも。御影晴香です」

 鳴海に背後から抱きしめられたまま、晴香はペコリとお辞儀する。それに合わせて白井も深々とお辞儀した。

「御影先輩はこんなところで何やってんすか? バスケ部でしたっけ?」
「いやあの……鳴海くんと一緒に帰りたくて、待っていようかな、って」
「うわっ、健気、惚れちゃう! えー、じゃあ俺もご一緒していいすか?」
「ダメに決まってるだろ」
「いいよ?」

 拒否する鳴海と、承諾する晴香の声が被った。
 晴香の意に反することを言ってしまった戸惑いと、しかし二人っきりで帰れないのはどうしても我慢できないという怒りで、鳴海は珍しく困惑した表情を浮かべていた。
 そしてそんな鳴海の反応を前に、白井と黒川はひそかに心の中で爆笑している。

「いーじゃんいーじゃん。四人で仲良く一緒に帰ろうぜー!」

 有無を言わせぬ白井の言葉に、黒川は同意を示す笑みを浮かべた。
 鳴海が恐る恐る晴香の表情を伺うと、彼もまた同意するように笑っている。
 だから鳴海はがっくりと肩を落とした。晴香がそれを望んでいるならその邪魔をしたくない。
 というわけで、四人で帰ることが決定した瞬間だった。

「色々話したいことは山々なんだけど……鳴海、俺たちそろそろ休憩時間終わる」
「………」

 追撃を受けた鳴海が心底嫌そうな顔をする。
 一つは単純に晴香と離れたくないから。もう一つは、おそらくこのまま白井と晴香が二人っきりになるだろうからだ。
 駄々っ子のように晴香を抱きしめると、その腕を晴香が優しく抱きしめ返してくれた。

「鳴海くん、部活頑張って」
「晴香さん……」

 それだけで鳴海はどこまでも頑張れそうだと思った。
 できるならキスもしたかったがもう一度熱い抱擁をすることでなんとか自制する。
 何せ、白井と黒川が、実にニヤついた顔でこちらの動向を観客のように眺めているからだ。




   ***




「先輩って、鳴海のどこが良くて付き合ったんですか?」

 四人での帰り道。
 改めての自己紹介がてら、お互いの情報を小出しにしながら徐々に距離を近付けていった最中、白井がそう切り出した。

「えっ……」
「白井……」

 予想だにしていなかった質問に驚いて言葉を詰まらせる晴香と、そんな晴香を困らせるようなこと言うなとキレる鳴海。

「なんだよー。鳴海だって知りてぇだろー」
「………」

 そりゃあ知りたくないと言えば嘘になる。
 別に晴香の気持ちを疑ったり、今の状態を不安に思ったりしたことはない。
 だがそれはそれとして、最愛の人からどこを好かれているのか知りたいと思うのは、また別の感情だ。
 その気持ちが顔に出ていたのか、鳴海の表情を見た晴香は、覚悟を決めたように話し始めた。

「最初は、その……嫌じゃないって気持ちから始まったんだ」

 ぽつりぽつり、と。
 穏やかな雨のように、晴香はゆっくりと言葉を紡ぐ。

「でもだんだん、健気で可愛くて、それでいてカッコいいって思うようになって。僕を誰よりも大切にして、たくさんの【恐いモノ】から守ってくれて……気付いたらもっとちゃんと向き合いたいなって、どんどん好きになっていった……こんな、感じかな」
「うわ……なんかめっちゃいい……。俺もそんぐらい思われてー」
「【恐いモノ】……って、喧嘩とかに絡まれたりしたんですか?」

 本気で感激している白井を横目に、黒川はそう訊ねる。
 すると、晴香は一度鳴海と目を合わせ、柔らかく笑った。

「それは……僕たちだけの秘密」

 人差し指を立て、内緒のポーズを晴香は見せる。
 白井と黒川は、目を丸くさせて固まっていた。

「先輩、小悪魔っすね」
「え?」
「魔性ってやつだな」
「え?」
「晴香さん、下がってください。やっぱり二人で帰るべきだった」
「え?」

 本気なのかふざけているのかギリギリわからないラインでそんな応答が交わされる。
 とりあえず鳴海は本気だったようで、列の端へと移動させられた。

「っつーか、鳴海ぃ~、めっちゃ愛されてるじゃんおまえ~」

 気を取り直したように、白井が鳴海の肩をバシバシと叩く。
 だが鳴海は少しも反応を示さず、晴香の方だけをジッと見つめていた。
 その瞳は憂いを帯びており、想いが溢れて仕方ないといった感じだ。

「晴香さん……教えてくれてありがとうございます。そんなに……好きになってくれていたんですか……」
「う……うん」
「嬉しいです。でも……もっともっと好きになってもらえるよう、晴香さんにはこれからも惜しみなく愛を伝えますね」
「鳴海くん……」

 完全に自分たちの世界に入っている二人の横で、白井と黒川は呆れ顔を見せ合った。
 晴香を前にすると、鳴海は今まで見せたこともない表情を浮かべる。普段はどちらかというと鉄面皮かと思うほど感情の起伏に乏しいというのに、晴香の前では恋する少年そのものだ。
 からかったりいじったりはするものの、なんだかんだ白井も黒川も、鳴海に心許せる恋人ができたことを祝っていた。
 とはいえ、いつまでも二人の世界に入っているのは勘弁してもらいたいので、黒川はわざとらしく咳払いをした。

「あー……じゃあ俺たちこっちだから、後はお好きにどうぞ」
「せんぱーい、また一緒に帰りましょうねー!」

 もう一方の道を親指で指す黒川と、ギャルのような調子でキャッキャと笑う白井。

「鳴海くぅん、先輩のこと襲っちゃダメよ~?」
「早く消えろ」

 悪ノリする白井に冷徹な一撃を食らわせる鳴海。
 晴香が嫌な思いをしていなければいいが、とそちらへ視線を寄越せば……晴香は、何故か表情を凍り付かせていた。
 まさかそんなに嫌悪する一言だったのかと、白井をとっちめる準備を始めた鳴海だったが、それよりも早く晴香が飛び出していた。

「危ない!」

 そう叫びながら、晴香が二人に駆け寄り、その腕を思い切り引いた。体格の差か、二人はその場に引き留められ、晴香だけが尻もちをつく状態となる。
 一体何が、と鳴海が晴香に駆け寄る一瞬前。
 ガシャンッという物凄い音が前方からした。

「え……」

 白井が、いつものチャラけた雰囲気を無くし、引き攣った表情を浮かべた。
 自身の立つ数歩先に、粉々に砕け散った植木鉢の残骸がある。おそらくそこに立つマンションのベランダから降ってきたのだろう。
 もしも今、晴香が止めてくれなければどうなっていたか。
 白井の隣で黒川も同じことを思い、顔を青ざめさせた。

「晴香さん、大丈夫ですか?」

 一方、鳴海は慌てて晴香を抱き起こした。
 晴香は自分で二人を助けておきながら、二人以上に困惑した表情を浮かべている。

「み……御影先輩~! ありがとうございます! あなた命の恩人ですよ~!」

 その困惑の表情の意味を問う前に、危機一髪だったというアドレナリン全開で白井が晴香に飛びつこうとしたので、鳴海は急いでそれを阻止する。
 黒川は、粉々になった植木鉢と散らばった土をできるだけ集め、道路の端へと追いやっていた。そしてある程度片付くと晴香の傍へやって来る。

「御影先輩、ありがとうございます。助かりました」
「う、ううん。怪我は無い?」
「大丈夫です。むしろ先輩こそ怪我は無いですか?」
「うん、大丈夫。二人が無事で良かった」

 心から安堵する晴香を前に、白井と黒川は強い庇護欲が芽生えた。
 鳴海とは種類の違う行為も抱く。どうして彼があんなにも晴香にべったりなのかも、なんとなくわかる気がした。

「お礼になるかわかりませんけど、先輩に困ったことあれば、いつでも力になりますんで」
「うんうん。やばい奴に絡まれたら鳴海の代わりにぶっ飛ばしますんで」

 二人が本気で、心の底から晴香を敬愛しているのがわかった。
 だから鳴海は晴香を隠すように前に立つ。すぐに二人はそんな鳴海を笑った。

「じゃ、今度こそ帰ります」
「気を付けてね」
「はーい。先輩たちもお気をつけて~!」

 白井と黒川は背を向け、自分たちの帰路に着いた。
 残された鳴海と晴香の間に、しばし沈黙が流れる。
 先に口を開いたのは鳴海の方だった。

「晴香さん。もしかして今の……【幽霊】が絡んでましたか?」
「……うん、よくわかったね」

 ようやく呼吸ができたかのように、晴香は胸を撫で下ろす。

「なんか、紫色の着物を着た【男の人】に名前を呼ばれて……その人が上を指差してて……それで嫌な予感がしたんだ。結果は案の定だった」
「紫色の着物……?」

 昼休み、階段のあの踊り場で見た――殺意と敵意を持った視線を向けてきた、あの京紫色の着物を着た【男】の姿が鳴海の脳裏によぎった。

「危ないって教えてくれたのかなぁ。それとも……」

 その先は口にしなかった。晴香としてもあまり考えたくなかったのだろう。
 モヤモヤする、と鳴海は思った。
 正体不明の【男】の存在もそうだし、何より……今、晴香の頭の中を【あの男】が占めているという事実が非常に苛立たしい。
 だから鳴海は、晴香の意識をこちらに向かせたい一心でその手を繋いだ。

「わっ! ど、どうしたの?」

 案の定、晴香は驚いていた。
 でも、ようやくこちらを向いてくれたと鳴海は安心する。

「手を繋いでいれば、もしまた【その男】が出てきたとしても俺が対処できるんで」
「あはは。ありがとう、頼もしいよ」

 朗らかに笑う晴香の表情からも、不安が消えている。
 この人が笑ってくれていればそれだけで幸せだ。
 鳴海は改めてそのことを噛み締めながら歩き出した。晴香と繋いだ手をギュッと握りしめて。




   ***




「………」

 晴香と別れ、帰宅した鳴海を出迎えたのは静寂だ。
 鳴海は、母子家庭の一人っ子で生まれである。母は経営コンサルタントをしており、金銭の面では困っていない分、顔を合わせる時間が少ない部類に入った。
 リビングのテーブル上には『冷蔵庫のもので足りなかったらなんか買っておいて』という書置きと、いくらかのお金が乗っていた。
 鳴海は冷蔵庫を開け、適当に食事を済ませると、風呂に入り、夜の支度をして自室へと入った。

「……もう少し片付けるか」

 いつも見慣れている自室だが、近々、この部屋に晴香が来るのだと思うとなんだかソワソワする。
 いや、晴香さんのことが関わると、自分はいつだって落ち着きが無いと鳴海は思った。
 晴香の前では澄ました顔を見せているが、鳴海の頭の中はいつも晴香のことでいっぱいだった。
 もっと晴香さんを知りたい、もっと晴香さんの笑顔が見たい、もっと晴香さんと幸せになりたい……と、その思いは止まることを知らない。
 こんなことを思うことも、そう思う相手も今までいなかった。とくに仲が悪いわけではない母親に対してだって、こんなふうに思ったことはない。

「晴香さん……」

 ベッドに横たわり、鳴海はそう呟く。それだけで胸が満たされる。
 帰り道、白井が余計なことを訊いてくれたお陰で、晴香さんがいつの間にか自分のことをあんなにも好いていてくれたこともわかった。

「もっと俺のこと……好きになってください、晴香さん……」

 うとうとしながら、鳴海は目をつぶる。
 また学校に行き、早く晴香さんに会いたい。
 そんなことを切に願いながら、鳴海の意識は闇の底へと落ちていく。

『……晴香さん?』

 暗闇の向こうに誰かが立っているのが見えた。
 これは夢だと自覚しつつ、その立っている誰かが晴香であることに気付き、鳴海は嬉しそうにそちらへ駆け寄った。
 夢でも晴香さんに会えるなんて……と、喜びを噛み締め、鳴海は晴香の手を掴もうとする。
 しかし―――

『っ!』 

 後ろから伸びてきた何か――人の手が、鳴海の首を絞める。
 ギリギリと、その手は物凄い力で鳴海の首を絞め続けた。

『晴香……さ……』

 こちらに背を向ける晴香に、鳴海は手を伸ばす。しかしその手は晴香へ届かない。
 そうして背後の【誰か】が、鳴海の耳元で囁いた。

『私の晴香くんの前から消えてもらえるかな』

「……っ!」

 ハッと夢から覚めた鳴海は、目を見開いたまま固まり、天井を見つめていた。
 混乱する頭の中が冴えてきた頃、ゆっくりと体を起こし、辺りを見回す。

「夢……」

 乱れた髪をかき上げながら、鳴海はなんとも不愉快な表情を浮かべた。
 夢の内容を、鳴海はハッキリと覚えている。
 近くにあった手鏡で首元を見てみると、そこにはハッキリと指の食い込む痕が残されていた。

「あいつ……っ」

 首を絞めてきた上に、実に挑戦的なことを言ってのけたあの【男】。
 その姿を見れたわけでもないのに。上品な声を聴いただけだというのに。
 今日、階段の踊り場で見た京紫色の着物を着たあの【男】であると、鳴海は直感的に理解した。

「……ざけんな」

 鳴海は衝動のまま枕に拳を下ろす。
 晴香さんのことは絶対に自分が守り抜かなければ。
 京紫色の着物を着た【男】への警戒心を高め、鳴海は強くそう誓うのだった。