――次の時間は数学。先週の確認小テストが始まった。
真っ白な解答用紙を裏返し、左手でシャープペンシルを握る。
けれど、さっきの光景が頭から離れない。
ぼくはペンを机に置いた。カツン、と小さな音が静かな教室に響く。
椅子の背もたれに体を預ける。ぼくはテストを解く代わりに、先生の足音を追った。
教室内を巡回する、静かな足音。それがぼくの席で止まる。
『……なんだ。名前も書いていないじゃないか』
眼鏡越しに、先生と目が合う。
『体調でも悪いのか?』
ぼくは小さく首を振った。
『……そうか。せめて名前だけは書きなよ』
先生の視線は、ぼくの顔ではなく、白紙の解答用紙に向いていた。
ぼくという存在より、出席番号と氏名という「データ」の方が、先生には価値があるみたいだ。
結局、ぼくは名前を呼ばれなかった。
――終了一分前。ぼくは解答欄を無視し、氏名と出席番号だけを機械的に記入した。
真っ白な解答用紙を裏返し、左手でシャープペンシルを握る。
けれど、さっきの光景が頭から離れない。
ぼくはペンを机に置いた。カツン、と小さな音が静かな教室に響く。
椅子の背もたれに体を預ける。ぼくはテストを解く代わりに、先生の足音を追った。
教室内を巡回する、静かな足音。それがぼくの席で止まる。
『……なんだ。名前も書いていないじゃないか』
眼鏡越しに、先生と目が合う。
『体調でも悪いのか?』
ぼくは小さく首を振った。
『……そうか。せめて名前だけは書きなよ』
先生の視線は、ぼくの顔ではなく、白紙の解答用紙に向いていた。
ぼくという存在より、出席番号と氏名という「データ」の方が、先生には価値があるみたいだ。
結局、ぼくは名前を呼ばれなかった。
――終了一分前。ぼくは解答欄を無視し、氏名と出席番号だけを機械的に記入した。
