穢れの軍神と縁の花嫁

 周囲にいた兵士たちに鷲宮は捕らえられ、連行されていく。
 怒声は遠ざかり、やがて聞こえなくなった。

 五百森家の屋敷に、静けさが戻った。
 みづきは朔哉を支えたまま、ただその場に座り込んでいた。戦いは終わった。五百森家の庭には緑が戻り、遠くで鳥が鳴いている。

「朔哉さん」

 呼びかけると、朔哉がゆっくりとみづきを見た。

「ありがとう、来てくれて」

 みづきは目頭が熱くなるのをこらえた。

「約束したじゃないですか。夕食までには追いつくって」
「守れなかったね」
「……次は守ってください」

 朔哉は小さく笑った。弱々しいけれど、確かにいつもの笑顔だった。

 庭木の葉が、風に揺れる。
 澄んだ光が二人の上に降り注いでいた。

 みづきは朔哉の背へそっと手を回した。朔哉は静かに目を閉じる。みづきの肩に、その重みがかかった。

 重い。温かい。
 生きている、と思った。