穢れの軍神と縁の花嫁

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 静馬とともに、みづきは正門へ続く道を走っていた。
 胸の奥が、ずっとざわついている。朔哉は無事だろうか。穏やかな笑顔で、夕食までには追いつくと言っていた。それでも、どうしても嫌な予感が消えなかった。

 その時――ぷつり、と帯元で小さな音がした。

「あっ……」

 赤い組紐が切れ、狐の根付が地面へ落ちる。みづきは慌てて足を止め、土の上に転がったそれを拾い上げた。
 陶器でできた小さな狐の首のあたりに、くっきりとひびが入っている。
 祭りの日、朔哉が取ってくれたもの。歩くたびに鳴る鈴の音を聞くたびに、繋がれた手の温もりを思い出してきた、大切な根付。

 胸の奥が、ひどく冷えた。

 ふと、頭上が暗くなった気がして顔を上げる。いつの間にか雲が厚く重なり、薄曇りだった空がすっかり灰色に変わっていた。風もない。鳥の声もしない。まるで、息を潜めているようだった。

「みづきさん?」

 少し先を走っていた静馬が振り返る。

「……なんでもありません」

 みづきは割れた根付を強く握り締め、すぐに立ち上がった。理由なんて分からない。けれど、急がなければならない。そんな気がした。

(急がないと……すごく嫌な予感がする)

 みづきは再び走り出した。