リツの部屋や秘密基地のような屋根裏部屋を案内されたあと、ぐいぐいと手を引かれながら居間のガラス扉から外に出る。
「わあ……っ」
目の前に広がっているのは、朝陽を浴びてきらきらと輝く一面の芝生。その先には、ここが帝都であることを忘れてしまうほど深い森が続いている。
昨日ここに着いたときは夜だったこともあってよく見えていなかったけれど、五百森家の敷地はみづきの想像を遥かに超えて広大だった。
「すごいでしょ! ぼく、このお庭がだいすきなんだ!そうだ、『らせつのおじちゃん』を紹介してあげるね!」
「らせつの、おじちゃん……?」
リツが両手でおーい、と庭に向かって元気いっぱいに叫ぶ。聞き慣れない名前に困惑しつつ、みづきも姿を探そうと庭を見回していると――
「ふむ。お主が朔哉が連れ帰った娘か」
自分のすぐ足元から、渋くて低い男の人の声が聞こえた。
みづきが驚いて視線を落とすと、そこにはいつの間にか、ひよこのような見た目の鳥がいた。まんまるで手のひらに乗りそうなほど小さい。なぜ「ひよこのような」と思ったかというと、その姿が黄色ではなく真っ黒だったからだ。
(ひよこが、黒い?しかも喋ってる……!?)
みづきが唖然として固まるのをよそに、リツがその黒いひよこをひょいと手のひらにのせる。
「ぴよちゃーーん!だっこ!」
「これ、やめんか狐の子」
「だっておじちゃん、このもふもふが一番かわいいんだもん!」
リツがそのもふもふの体に頬ずりすると、黒ひよこは渋いおじさんの声でバタバタともがいている。
「えっと、あなたが『らせつのおじちゃん』?」
「いかにも。正式名は羅刹鳥だがな」
羅刹鳥――伝説に出てくるあやかしの名前だ。人の目を喰らう、死体の瘴気を吸って怪鳥になるなど、不吉なあやかしとして知られている。
「心配せんでも、わしは人の目玉は好まん」
みづきの考えを見透かしたように、愉快そうに笑う。
「あの……どうしてひよこの姿に?」
どうしても聞かずにはいられない。伝説では確かもっと大きくて不気味な見た目だったはずだ。
「かわいいじゃろ。もふもふは人間に人気があるからの」
(そのためだけ!?)
リツにすりすりされて潰されそうになっている黒ひよこ――もとい羅刹鳥は、なぜか得意げだ。
「わあ……っ」
目の前に広がっているのは、朝陽を浴びてきらきらと輝く一面の芝生。その先には、ここが帝都であることを忘れてしまうほど深い森が続いている。
昨日ここに着いたときは夜だったこともあってよく見えていなかったけれど、五百森家の敷地はみづきの想像を遥かに超えて広大だった。
「すごいでしょ! ぼく、このお庭がだいすきなんだ!そうだ、『らせつのおじちゃん』を紹介してあげるね!」
「らせつの、おじちゃん……?」
リツが両手でおーい、と庭に向かって元気いっぱいに叫ぶ。聞き慣れない名前に困惑しつつ、みづきも姿を探そうと庭を見回していると――
「ふむ。お主が朔哉が連れ帰った娘か」
自分のすぐ足元から、渋くて低い男の人の声が聞こえた。
みづきが驚いて視線を落とすと、そこにはいつの間にか、ひよこのような見た目の鳥がいた。まんまるで手のひらに乗りそうなほど小さい。なぜ「ひよこのような」と思ったかというと、その姿が黄色ではなく真っ黒だったからだ。
(ひよこが、黒い?しかも喋ってる……!?)
みづきが唖然として固まるのをよそに、リツがその黒いひよこをひょいと手のひらにのせる。
「ぴよちゃーーん!だっこ!」
「これ、やめんか狐の子」
「だっておじちゃん、このもふもふが一番かわいいんだもん!」
リツがそのもふもふの体に頬ずりすると、黒ひよこは渋いおじさんの声でバタバタともがいている。
「えっと、あなたが『らせつのおじちゃん』?」
「いかにも。正式名は羅刹鳥だがな」
羅刹鳥――伝説に出てくるあやかしの名前だ。人の目を喰らう、死体の瘴気を吸って怪鳥になるなど、不吉なあやかしとして知られている。
「心配せんでも、わしは人の目玉は好まん」
みづきの考えを見透かしたように、愉快そうに笑う。
「あの……どうしてひよこの姿に?」
どうしても聞かずにはいられない。伝説では確かもっと大きくて不気味な見た目だったはずだ。
「かわいいじゃろ。もふもふは人間に人気があるからの」
(そのためだけ!?)
リツにすりすりされて潰されそうになっている黒ひよこ――もとい羅刹鳥は、なぜか得意げだ。

