軍神と称えられる当主のお屋敷には、およそ似つかわしくない言葉だ。
辿り着く前はもっとピリッとした規律に厳しいお屋敷を想像していたけれど、働く人たちも雰囲気も全然違う。
「そんなことより、みづきちゃんって若様とはどういう関係なの?」
紗世は桶に溜まった湯を流しながら、いたずらっぽく声を潜める。
「……えっ!?ど、どんなって」
「だって、あの若様が任務帰りに女の子を連れ帰ってきたなんて、お屋敷が始まって以来の大大大事件なのよ!?詳しく聞かせて!」
「く、詳しくってっ、なにもないです!私に身寄りがないから保護してくださって……」
この娘は、討伐軍第一部隊少佐――五百森朔哉が貰い受ける。
あのとき軽々と抱き上げられた両腕の感触と、衣服越しに伝わってきた体温。それに『化け物じゃない』と言ってくれた優しくて熱のこもった眼差し。それらが今になって鮮烈に蘇ってくる。
(なにを考えているの……っ、五百森さんは軍人として、行き場のない私を見かねて助けてくれただけ)
思い出すだけで心臓が破裂しそうなほどドキドキしてしまう。
みづきは脳裏に浮かぶあれこれを振り払うように、首をぶんぶんと横に振った。
「顔真っ赤!可愛いなぁ。そろそろ出ないと、いろんな意味でのぼせちゃいそうね?」
紗世にからかわれて、みづきは恥ずかしさで俯くしかなかった。
辿り着く前はもっとピリッとした規律に厳しいお屋敷を想像していたけれど、働く人たちも雰囲気も全然違う。
「そんなことより、みづきちゃんって若様とはどういう関係なの?」
紗世は桶に溜まった湯を流しながら、いたずらっぽく声を潜める。
「……えっ!?ど、どんなって」
「だって、あの若様が任務帰りに女の子を連れ帰ってきたなんて、お屋敷が始まって以来の大大大事件なのよ!?詳しく聞かせて!」
「く、詳しくってっ、なにもないです!私に身寄りがないから保護してくださって……」
この娘は、討伐軍第一部隊少佐――五百森朔哉が貰い受ける。
あのとき軽々と抱き上げられた両腕の感触と、衣服越しに伝わってきた体温。それに『化け物じゃない』と言ってくれた優しくて熱のこもった眼差し。それらが今になって鮮烈に蘇ってくる。
(なにを考えているの……っ、五百森さんは軍人として、行き場のない私を見かねて助けてくれただけ)
思い出すだけで心臓が破裂しそうなほどドキドキしてしまう。
みづきは脳裏に浮かぶあれこれを振り払うように、首をぶんぶんと横に振った。
「顔真っ赤!可愛いなぁ。そろそろ出ないと、いろんな意味でのぼせちゃいそうね?」
紗世にからかわれて、みづきは恥ずかしさで俯くしかなかった。

