タキに連れられて向かった広々とした湯殿。
そこで待っていたのは紗世という女中だった。みづきより二つ年上の二十歳だという彼女は、あまりの規模に立ち尽くしているみづきににこっと笑いかける。
「みづき様、お手伝いしてもよろしいですか?」
「えっ!?あ、そんなみづき様なんてやめてください、それに敬語も……」
自分はこんなふうに良くしてもらうような身分じゃない。おろおろとあわてるみづきを見て、紗世は目を丸くした。
「え?あの若様が連れ帰ったお客様だっていうからてっきり……でもそう言うならみづきちゃんって呼んでもいい?」
「もちろんです、よろしくお願いします」
「よろしくね!じゃあまずは髪から洗おうか、そこ座って!」
そうして体や髪の毛などを丸ごと綺麗に洗われた。勧められて湯船につかると思わずほう、と息が漏れる。
温かい湯に浸かるなんていつぶりだろう。故郷の村を追われてからは、川や沢の冷たい水で行水をするのがやっとだった。
「ふふ、いい湯加減でしょう?五百森のお屋敷は帝都でも一、二を争うほど素敵なんだから!って私が自慢することじゃないんだけど。みづきちゃんは帝都に来るの初めて?」
「はい、育ったのは山奥の村で……今はもうなくなってしまったんですけど」
紗世がハッと息をのんだのがわかった。
「ごめんね、辛いこと思い出させちゃって。そっか、よく今まで頑張ってきたね」
手拭いをぎゅっと絞りながら、紗世が妹をいたわる姉のように微笑む。
「実は私も田舎の出身なの。うちは貧乏で「早く結婚しろ」って、父親くらい離れてる男とお見合いさせられてさ。それが嫌で、着の身着のままで飛び出したの」
憧れの帝都に出てきたものの行く当てもなく路頭に迷ってたところを拾ってもらい、働いているのだという。
「……紗世さんは、このお屋敷が好きなんですね」
「そりゃもう!若様もタキさんも優しいし。他とはちょっと変わってるけど、慣れたらすっごくおもしろいところだから!」
(変わってる?おもしろい……?)
そこで待っていたのは紗世という女中だった。みづきより二つ年上の二十歳だという彼女は、あまりの規模に立ち尽くしているみづきににこっと笑いかける。
「みづき様、お手伝いしてもよろしいですか?」
「えっ!?あ、そんなみづき様なんてやめてください、それに敬語も……」
自分はこんなふうに良くしてもらうような身分じゃない。おろおろとあわてるみづきを見て、紗世は目を丸くした。
「え?あの若様が連れ帰ったお客様だっていうからてっきり……でもそう言うならみづきちゃんって呼んでもいい?」
「もちろんです、よろしくお願いします」
「よろしくね!じゃあまずは髪から洗おうか、そこ座って!」
そうして体や髪の毛などを丸ごと綺麗に洗われた。勧められて湯船につかると思わずほう、と息が漏れる。
温かい湯に浸かるなんていつぶりだろう。故郷の村を追われてからは、川や沢の冷たい水で行水をするのがやっとだった。
「ふふ、いい湯加減でしょう?五百森のお屋敷は帝都でも一、二を争うほど素敵なんだから!って私が自慢することじゃないんだけど。みづきちゃんは帝都に来るの初めて?」
「はい、育ったのは山奥の村で……今はもうなくなってしまったんですけど」
紗世がハッと息をのんだのがわかった。
「ごめんね、辛いこと思い出させちゃって。そっか、よく今まで頑張ってきたね」
手拭いをぎゅっと絞りながら、紗世が妹をいたわる姉のように微笑む。
「実は私も田舎の出身なの。うちは貧乏で「早く結婚しろ」って、父親くらい離れてる男とお見合いさせられてさ。それが嫌で、着の身着のままで飛び出したの」
憧れの帝都に出てきたものの行く当てもなく路頭に迷ってたところを拾ってもらい、働いているのだという。
「……紗世さんは、このお屋敷が好きなんですね」
「そりゃもう!若様もタキさんも優しいし。他とはちょっと変わってるけど、慣れたらすっごくおもしろいところだから!」
(変わってる?おもしろい……?)

