今年も親友チョコってことでお願いします!!!


「はぁ~、やってらんねぇ。どこかしこでバレンタインだの何だの」

駅直通の商業施設の中では、大々的に売り出されている綺麗に包装されたチョコレートがずらりと棚に陳列されている。
その様子は毎年二月十四日にあるイベントの知名度と人気度をありありと表されているようだった。

クソ。桜餅なんて、食品コーナーの中の和菓子コーナーの中でしか活躍出来ないんだぞ。
そんな悪態をついたって、この甘い空気はどこかに消えることはない。
げんなりしながら歩を進めていると、横から嚙み殺したような笑い声が聞こえてくる。
ムッとして隣の斜め上を見上げると、親友である黒川恒一が口に手を当てて笑い声を堪えていた。

「何、何がそんなに面白いとや」
「いや……湊の顔がしゃあしゅう(おもしろく)て……」
「ひっでぇや。モテる男は違うな」

悪戯心が芽生えてきて、少しだけ早足で二階のフードコートに繋がるエスカレーターを目指すと、恒一はごめんごめんを困り笑いで、俺の肩に腕を回して肩を組んでくる。
制服越しに伝わる体温と、近くなった恒一の声。それらに容易く心臓が高鳴る俺の心の、何と矮小なことか。我ながら情けない。