きらてん!~歌い手とバレて、学校イチのモテメンに告白されました~


 翌日の午後、煌輝と昨日のメッセージで待ち合わせ場所に決めたのは萌があまり近寄らない街の駅前だった。このあたりの高校生が遊びに行くといえばここ、みたいな街で、大抵のものは駅周辺に揃っている。
 だからこそ人出も多く、人混みが得意ではない萌は、数年ぶりにここまで来たのだ。一人なら絶対に来ないが、煌輝がいるなら大丈夫だと思えた。
『着いたよ』
 萌がそんなメッセージを煌輝に送ったのは、待ち合わせの五分前だった。
 きっともうすぐ煌輝も来るはずだ、と萌がそわそわしながら改札の出口に視線を向ける。人の波は絶えず押し寄せているが、そこに煌輝を見つけることはできずに、約束の時間になってしまった。何かあっただろうか、と急に不安になる。
 萌が自身のスマホを取り出した、その時だった。画面に煌輝からのメッセージが映し出される。萌はそれをすぐに開いた。
『ごめん、行けない』
 その文字を見た瞬間、ひゅっ、と喉が鳴いた。気道が狭くなって上手く呼吸ができない。
 その間に次のメッセージが画面に映る。
『もう会えない。ごめん』
 その言葉を見て、萌は今日下ろしたばかりのシャツの裾をギュッと握りしめた。
『会えないって、どういうこと?』
 震えそうになる指に力を入れて、メッセージを返す。既読はつくものの、返信はなかった。萌は唇をぎゅっと結んで、続けてメッセージを送る。
『僕のこと、嫌いになったんならそれでいいよ。今までありがとう』
 一軍男子の気まぐれだと思っていた時なら、こんな言葉を煌輝に言えなかった。煌輝のことを知って、信じているからこそ、試すような言葉が言えた。
『好き。好きだから会いたくない』
 画面に映し出されたその文字が、震えているように見えた。
「なにか、あったんだ……」
 萌は自分が過去にした行動を思い出してぽつりと呟いた。煌輝が今、会いたくても会えない状況なのだとしたら、助けに行けるのは自分だけだ。
 萌は開いたままの画面から音声通話のボタンに触れた。呼び出し音は鳴るものの、煌輝がその着信を取る気配はない。
 萌はこちらから呼び出し音を切ると、大きく呼吸をしてからメッセージ画面を閉じた。検索画面に以前煌輝が連れて行ってくれたレンタルスタジオの名前を打ち込む。
 煌輝の兄がそこにいるかもしれないと思ったのだ。ここでだめなら煌輝の姉の経営するダンス教室へと行くつもりだ。
 検索すると、ここからなら電車で一駅、歩いても二十分ほどの場所のようだったので、萌は迷わず歩き出した。
『僕から会いに行く』
 萌が煌輝にメッセージを送り、スマホをぎゅっと握り込む。その中には昨日の夜中にできたばかりの曲が入っていた。歌はまだ入れていない。この歌を初めて聞くなら、煌輝と一緒がいいと思ったので、一人で録音することもしなかった。
この曲を届けに行きたい。
萌は力強く地面を蹴った。